【完結】闇暗殺者と入れ替わった社畜の俺を聖騎士様が離さない

鏑木 うりこ

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57 正直、ザマーミロとしか(サファイア

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「……会議はアメジスト、お前に任せる」
「はあ? 何いってんの、司会進行はお前の役目だろうフロウライト」
「それどころではない」

 一瞬見ただけで「それどころではない」状態なことは分かったけれど、正直可哀想とは思えなかった。

「ぎゃはは! フロウライトはねぇ、凛莉ちゃんに愛想尽かされたのさ! 笑うーウケるー!」
「え? マジで? ざまぁ……ヒッ!」
「焼くぞ、お前ら」

 本気なのか狂気なのか分からない聖騎士の返答に竜騎士は少しだけ顔を青くし、錬金術師はそれでも面白そうにニヤニヤしている。

 俺はサファイア。今日は極会議だけれど、俺ら闇暗殺者・極の席に座るべき主人はいない。俺はそれを伝える為にこの会議所に顔を出した。

「マジ?」
「凛莉師匠の行方なら分かりませんよ」
「マジか」

 くそ汚い手段で俺のハジメテを奪って行ったダイヤモンドさんがそっと寄って来て小声で聞いて来るが、それしか返せない。

「あの人が本気で消えたんなら誰に探せるって言うんです? 無理ですよ、痕跡すら掴めません」
「あちゃー……指輪に探知機能つけときゃ良かったか?」
「無効加工されますよ、完璧に」
「だよねー」

 国王暗殺未遂事件の後、凛莉師匠は消えた。どうもあの石頭馬鹿がやらかしたんだ……昔と違って中身が入れ替わった凛莉師匠は優しくてエロくて冗談も上手くて……それでいて強さは変わらない、そんな最高の師匠になったのに、あの石頭ぁ!
 俺も心の中で思いっきり罵倒している、師匠が姿を見せなくなってからずっと。

「失礼する」

 やつれてボロボロの顔のまま出て行くけれどざまーみろ、としか思えない。ご自慢のマントも擦り切れてぼろぼろだけど、唾でも吐きかけてやりたいくらいだ!

「今日の会議は中止で良いな? なんで定例通り開催したのか意味が分からんな」
「凛莉ちゃんが来るかと一縷の望み? って奴をもったんじゃないのかなぁ~馬鹿だねぇフロウライトは。笑っちゃう!」
「……マジなんだ」
「街でマークちゃん見たぁ? ここずっと居ないよねぇ? そゆこと」
「……確かに見てねぇな……」

 あの律儀な師匠が表の顔であるマークをなんの処理もしないままいなくなったから、街の人は物凄く心配している。俺達の中で表の顔持ちは何とか街の人に説明して回ってるが……あの石頭馬鹿が邪魔でしょうがない。

「フロウライト、死んでね?」
「むしろ何でまだ生きてるか不思議ですね」

 目は落ち窪んで虚。頬はこけてあの聖騎士と同一人物とは思えない。そんな一睡もしていなさそうな石頭馬鹿が街を徘徊してるんだ、マークがいなくなって何かあったのがバレバレじゃないか!

「良くない状況だよね」
「師匠が心配です。今どこで何をしているのか……あのでっかいおっぱいとぷりんぷりんのお尻が萎んでないか……ああ、心配で堪らない」
「確かにその通りだ。あのおっぱいとお尻は守られるべきものだ」
「こういう意見が合うところは好きですよ、ダイヤモンドさん」
「俺はサファイアのこと大体好きだよ! もっとおっぱいは育つべきだと思うけど!」

 だからいつも揉んで来るのか! わちゃわちゃと怪しい手付きのダイヤモンドさんはさておき、師匠ならは本当にどこに行ってしまったんだろう……一人で泣いてなきゃ良いけど。

「ああ見えてあの人、優しいからなぁ」
「あの人ってマラカイト・凛莉か?」
「うん。あの人は身内に凄く優しいよ、ここ最近は」
「ここ最近? 見えるようになってから?」
「そう、ぱんつくれるようになってから」

 ああ、師匠。本当にどこに行っちゃったんだろう。俺にはまた予備のぱんつがあるから正気を保っていられますが、無くなったらフロウライト・アイアンメイデンと並んで死体のように街を徘徊するかもしれませんよ。
 お願いだからその前に戻ってきて下さいね。


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