【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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06 断ち切る思い

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「……可愛い……」
「そうでございますね」
「あっ」

 鏡を見てつい漏れた独り言なのにメイドさんがお返事をくれた……は、恥ずかしい。

「アウラリス様、そう照れなくても。アウラリス様がお美しく可愛らしいのはお屋敷の全員が知っておりますから」
「えっでもっ……いや、あのその……ありがとう……」
「えっと……はいっ!」

 次の日1日は学園も休んで色々考えをまとめた。思い出せるだけゲームの内容はメモし、アウラリスの常識や残った記憶を頼りにこの世界についても考えてみた……結構矛盾やご都合主義みたいな所もあってやっぱりゲームベースか、なんて妙に納得したこともあった。

 そして翌日からは学園に通うため、メイドさんに起こしてもらい鏡台の前で髪を整えて貰っていたところだ。

「ほ、本当によろしかったのですか?」
「ああ、これからの私は違うっていう意思表示もあるんだし、また伸びてくるしね」
「こんなにお美しいお髪ですのに……もったいないです」
「いいんだよ。何せリズティーアのことを想って伸ばした髪だもの。切っちゃおっ」
「っ! そうでございますねっ!」

 なんとアウラリスの髪は腰まであったので肩くらいでばっさり切り落として貰った。邪魔だからもっと短くしたかったけれど、それは母上に泣かれそうなのでこの辺にしておいた。

「軽くなったよ、ありがとう。テーチャ」
「どういたしましてです!」

 水色のキラキラした髪の毛は何かに使えるかもしれないからと取っておくことにして、私は父上と母上と一緒に朝食をいただき、馬車へ乗って学園へ向かった。当然ながらあの夜から義兄は見ていない。多分このまま家の敷居は跨がせず、シシル子爵家へ帰ってもらうことになると思う。

「まさかダレンがあんな愚行を犯すとは」
「この目で見ても信じられませんでしたわ……」
「運命の番は得難いものだ。しかし我らは貴族なのだ……運命だからといってその衝動にああも簡単に分別をなくされては国民に申し訳が立たん」

 朝は父上と母上の嘆きを同意も否定もせず聞いていた。そして義兄のダレンについてゲーム内と今、私の現実との比較検証を馬車の中でしていた。

「ダレンの立ち位置は凄く曖昧だ。正統な跡継ぎはアウラリスなんだけど、その補佐としてやってきた血の繋がりが薄い一つ年上のアルファ……」

 家は裕福でない子爵家。口減しといえなくもなく養子に出された子。当主にはなれない、補佐のための子……主役になれない子。アウラリスのわがままに振り回され、時には下僕のように扱われる。勉強嫌いなアウラリスに代わり領地を学び、家のために人脈を作り……すべてをアウラリスに明け渡さなければならないそんな子。
 
 そんな子に唯一といっていい差し込んだ一条の運命の光。それが聖女との運命の番……かもしれない救いの光……。飛びつかない訳はない、のだけれど……それはやっちゃダメなことなんだ。アウラリスは認めるわけにはいかない。

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