【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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「だ、駄目ですうっアルバルストさまぁ! け、結婚前にぃ、そんなことをしてはしゅ、醜聞になりますぅ!」
「分かっているっ! だが、止められん、くそッやはり私が馬車から飛び降り……」
「もっと駄目ですーっ! 興奮状態のあなたが別の人に襲い掛かる方がもっと駄目ですーっ! それならまだ、アウラリス様の方がなんとかなりますぅー!」

 ああ、そういえばそうだっけ……オメガのヒートに当てられたアルファは性的興奮状態になって誰かに襲いかかりたくなるんだっけ……そうか、そうだね、私ならどのみち近いうちに結婚するんだ、少し順序が前後した所でどうにかなるよね?

「アロウさま、私は……あなたを受け入れます……」
「アウリー!!」
「煽るようなこと言わないで下さいぃいいいーー!」

 レンスンが叫んでいる……そんなつもりじゃなかったけれど、それが一番良いんじゃないかって思ったんだ。

「急いでディーズ邸へーーっ」
「も、もう少し、もう少しですーーっ」

 御者のサムの必死の叫び声が聞こえ、車輪の音はとても大きく、揺れも激しい。事故を起こさないギリギリの速度で走っているんだとは思う……。

「ア、アウリー……逃げて」
「どこへ逃げるっていうんですっ! ヒート中のオメガを外に出したらそれこそ大変なことになりますよぉっ」
「う、うう……っ」

 ああ、そうか……私はヒートを起こしたのか。しかも初めてのヒートだ……初めては凄く強烈だと習った気がする……だからアロウ様がこんな風におかしくなってしまったのか……とても申し訳ない。

「アルバルストさまぁっもう少し耐えてぇ~!!」

 レンスンは必死で私とアロウ様の間に体を捩じ込もうとしてくるが、力の差は歴然で、片手で押し返されている。

「む、無理だ、もう……無理だぁっああっアウリー、アウリーっ!」
「アロウ……様……」

 まるで獣のような息遣いのアロウ様が目の前まで迫ってきている。私は今からこの人に抱かれるんだろう。きっと乱暴にこんな狭い馬車の中で……しかも泣いて鼻水まみれのレンスンと口から血を流して気絶しているヨキシャの目の前で衣服を剥ぎ取られる。
 ぞくりと背中に何かが駆け抜ける。でも不思議なことにそれは恐怖じゃない気がしている。何だろう、おかしいな……でもこの人ならいい気がするんだ。この人になら一刻乱暴に扱われても大丈夫。だってこの先、必ず私を大切にしてくれるって知っているから、少し熱に浮かされていたって大丈夫なんだ。むしろ今、苦しんで耐えているこの人を助けてあげられるのは私しかいない。だから大丈夫なんだ。

「アロウ様……きて……」
「アウリーーッ!!」

 馬車はディーズ邸の広い敷地の中に飛び込んだようではあった。

「門を閉めてーっ! 人を、人を呼んでっアウラリス様がヒートですぅ!!」

 御者の叫び声が遠くで聞こえた気がする。でももうアロウ様は目の前だ……もう理性が振り切れたようなアロウ様は履いていたトラウザーズのベルトに手をかけ、ズルリと脱ぎ下げた。

「うわ」

 最初に声を上げたのはレンスンだった。そして私も絶句したのだ。

「で、でかい」

 何もかもの思考を吹っ飛ばしてその感想が口から溢れでた。

「な、なにそれ……腕? あ、足……?!」

 レンスンが真っ青な顔でとんでもない例えをする。でもそれくらいでかいんだ……長さ、大きさ……こ、こんなの初めてみた。え? 第三の足? 

「え」
「あ……」

 流石に現れたアロウ様のアレの大きさに、ぽかんと間抜けな顔を晒してしまう。もう一度確認して、それからアロウ様の顔を見る……本当に、コレあなたの? とそんな目で見てしまったかもしれない。

「あ……」
「アロウ様っ?!」

 アロウ様の顔からとんでもない速度で色が消えていく。真っ赤だったのが、真っ青を通り越して白くなって……なんだか土気色に変わっていく。

「アロウ様っ?!」

 大きな体からふらりと揺れたと思うとちょうど急停止した馬車の慣性も加わって、後ろに倒れた。
 ゴツン! とものすごい音がして後頭部を思いっきり打ちつけたアロウ様はそのまま動かなく……気を失っていた。

「アロウ様っ! アロウ様っ?!」

 大慌てで声をかけても完全に白目だ……!

「アウラリス様っ! ご無事ですかぁああっ」
「アウラリスさまぁあっ!!」

 家から使用人が飛び出してきて、馬車の扉を開ける。とりあえず、制服のジャケットを脱いでアロウ様の大事な所を隠した。

「そ、それにしても……」

 つい、横目で見てしまう……今は割と大人しくなっているけれど、なんか……凄かった、凄かった……。

「あ、アルバルスト様が大きすぎて婚約破棄されたって、もしかして股間のアレのこと……?」

 レンスンの呟きに、流石の私もヒュッと喉が鳴った。そ、そうか……なるほどな……アロウ様の元婚約者は小柄な方だったと聞いている。ならばアレは無理か……? 優秀なアロウ様が婚約破棄なんてあり得ないと思っていたけれど、それなら納得できる。
 そう腑に落ちると同時に……え、アレを突っ込まれるの……? 私? そこに考えが至って目の前が暗くなった。

「アウラリスさまーーっ!」

 レンスンの声が遠くなる。将来の閨事情を想像したせいじゃなくて、初ヒートで疲れたから気を失ったんだ、絶対そう。
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