【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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33 離れません!

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「全治1ヶ月でっす!」
「すまない、ヨキシャ」
「問題ないです! 何とかなって良かったですー! しかもたくさん見舞金までいただいて、助かります!」

 あれからしばらくして、ヨキシャの部屋にお見舞いに来た。ヨキシャは肋骨が折れ、かなり危険な状態になっていたけれど、回復ポーションや回復魔法で一命を取り留めた。

「本当にすまない!」
「いえ! 私がお役に立てることも証明できましたし、末長くお仕えさせて下さいよぉっ」

 ベッドの上で冗談をいいながらケラケラ笑っているヨキシャをみて安堵する。

「早くよくなってよぉ~僕一人で護衛なんて無理だからー! 早く助けてぇ」
「分かってる、分かってるって。レンスン!」
「ヨキシャぁー」

 レンスンの怪我は大したことなくて、鼻血が出たくらいだった。

「二人ともごめん。私の体調管理が甘くて迷惑をかけた」

 あんな場所でヒートなんて……この程度で済んだのは奇跡としかいいようがない事件だった。ヨキシャとレンスンとアロウ様には本当に申し訳ない。

「大丈夫ですよ! アウラリス様。初ヒートなんて誰にも予測できませんし! ご無事でよかったです」
「ほんとですぅ~! アウラリス様がご無事なのが一番ですぅ~!」

 何度謝っても二人とも私の無事が一番だといってくれる……なんて心優しい友人に恵まれたんだろう。感謝してもし足りない。

「私も二人に謝りたい」
「それも大丈夫ですから、アルバルスト様。これからもよろしくお願いしますね!」
「お願いしまーす!」
「ヨキシャ……レンスン、ありがとう」

 アロウ様も二人と笑い合った。ヨキシャもレンスンもアロウ様のことを嫌うことも恐れることもなく、普段通り。やっぱり私は良い友人を持ってとても幸せだと思う。

 ヨキシャを見舞った後、私とアロウ様は父上の元に出向き、今回の騒動の顛末を話し合う事にした。

「私が婚約破棄された理由を今までしっかり話せなくてすまなかった。アウリー……どうしても君に嫌われたくなくて、怖がらせたくなくて……いえなかった」
「……はい」

 父上もため息をついた。ということは父上は婚約破棄理由を知っていたんだな。でもことがことだけに、本人からいうべきだろうと静観していたのか。

「アウリー……君が嫌ならこの話はなかったことに……」
「大丈夫! 私ならいける気がします!」

 つい、アロウ様の話を途中で遮ってしまった。彼の口から続きを絶対に聞きたくなかったからだ。

「し、しかしオメガとはいえ男性はやはり」
「いけますっ!」

 確かにちょっと怖気づいた。でもこの人と離れて暮らすなんてもう考えられない。

「アウリー……」
「わ、私はアロウ様のことが大好きです! 駄目です、いなくなっては駄目なんです。それともアロウ様は私のことが嫌いになってしまったんですか……?」

 そんなのは嫌だ……でもつい口から素直な気持ちが出てきてしまった。私は父上の前で何をいっているんだろう、恥ずかしい。それでもこの人を繋ぎ止められるなら何だってできる、それくらい必死になっていた。

「嫌いな訳ないだろう! 大好きだよ、運命を感じるくらいアウリーのことが大好きだ、ずっと離したくない、一生一緒にいたい、私の愛する半身!」
「アロウ様っ! 私もですっ」

「……結婚はアウラリスが卒業したらすぐにしましょうか」

 呆れ声で父上が呟いた。そうだった、父上の前だったんだ! 恥ずかしくなってアロウ様の立派な左腕で顔を隠した。



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