【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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34 運命なんかじゃない

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「嫌いになんてなるものか……むしろ前より……日を追うごとに愛しくて愛しくてたまらない。なんだろう……まるで強く……運命すら感じるほどに君のことを離したくない」

 私の目を見てしっかり言葉にするアロウ様だけれど、私は小さく首を横に振った。

「運命なんて言葉を使わないで下さい。私達は知り合い、確かめ合い、誰に強要されることもなくお互いに好きになった……そうでしょう? 誰かに用意された運命じゃなくて、私達自身で選び取ったもののはずです」

 私の言いたいことをアロウ様は的確に感じ取って下さったようで、にこりと笑って抱きしめてくれる。私は運命というものに好感を抱けない。

「そうだ……私は私自身の心に従って君を大好きになった。そこに神だろうがなんだろうが介入なんてない。ああ、可愛いアウラリス。私は君のことが一番大切で愛しいよ」
「アロウ様……私もです」
「……ウォッホンッ!」

 父上が大きな咳払いをするまで、アロウ様と抱きしめあっていた。後日、父上に

「アウラリスがその……アルバルスト様に埋まってしまうのではないかと少し心配してな?」

 なんて言われてしまったけれど、流石に苦笑してしまった。

「ちょっと埋まっていた方が安心できるんですよ」

 なんて返したら、大笑いされてしまった。

「無用な心配であったな! 末永く可愛がってもらえるようにな」
「もちろんです」

 そして、小さく呟いた。

「リズティーアと一緒にいた時よりいい顔をしている……アルバルスト様には感謝しかないな」 
「……はい」

 父上だってあの頃よりいい笑顔ですよ、と言ってあげたかった。



「アウリー、ヨキシャ、レンスン。私達は冒険者になるぞ」
「へ?」

 後日、アロウ様の一声に私達は驚いて、レンスンは食べていたクッキーのカゴを全部床に落としてしまったくらいだった。

「アルバルストさまぁ?! なに言ってんですかぁ!?!」

 慌てて床に転がっているクッキーを集めながら泣きそうな声を上げるレンスン。大好物のアーモンドクッキーが汚れたせいじゃないと思うけど、私も驚いて質問をしてしまう。

「ええと……理由を伺ってもよろしいですか?」

 するとアロウ様は頷いてから皆が納得する理由を教えてくれた。

「アウリーには麻痺とか睡眠とか状態異常にすることが出来る魔法を覚えてもらいたい。そしてヨキシャとレンスンは体を鍛えて……私を押さえつけられるくらいになって貰いたい!」
「無理です」
「むりぃ」

 即答でした。

「……アウリーの魔法が発動するまでの時間稼ぎだ」
「それなら……なんとか?」
「むりぃ」

 なるほど、アロウ様の考えは伝わった。

「私がこの前のようにアウリーに襲いかかりそうに今後ならないという保証はない、むしろあるだろう! 何故ならアウリーが可愛いからだ」
「確かに!」
「なるほどぉ~」

 突然の愛の告白に頬が上気する。そ、そうじゃないでしょ!

「うむ! そういう訳だ!」
「了解しました!」
「アウラリス様の可愛さは偉大ですからねぇ」
「ち、違うだろう! ヨキシャ、レンスン! 未然に防ぐ方法の一つとしてやってみようってことでしょう! 私が可愛いとかそういうことじゃなくてー」

 なのに三人は聞いていない。

「アウラリス様はー可愛い~」
「世界一可愛くて~お優しい~」
「うむ!」

 恥ずかしいからやめて欲しい!
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