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126 幸せになりました
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「うわああんっ! アウラも早く子供ができて俺のストレスを分かち合えばいいんだぁ~!」
「キミヒト、イライラは赤ちゃんに良くないよ」
「うう……腹が重くてうまく動けねえよお~」
キミヒトは羨ましいほど順調な妊夫生活を送っている。つわりがあって食べ物を受け付けなくなることもなく、パクパクと何でも食べる。運動も医者が止めるほど走り回ったりしていて元気そのもの。お腹も大きくなってもうしばらくすれば可愛らしい赤ちゃんを産むだろう。でも本人は不満らしくそんな言葉を私に投げかけてきた。
まあ、その呪詛のせいかどうか知らないけれど、ほどなくして私も医者を呼ぶことになった。
「おめでとうございます、アウラリス様。ご懐妊でございます」
「ほ、本当に……?」
「ええ、これからお体を大切にしてゆっくり育んで参りましょう」
「アウリー!!」
「アロウ様!」
「ほっほ、喜ばしいですなあ」
一緒に医者の話を聞いていたアロウ様と手放しに抱き合う。もしかして私は子供ができにくいタイプかと思ったらそんなこともなかったようで、嬉しい報告を皆にすることができた。
「ああああああああああかちゃん!?」
「はわわわわわわ! どうしたらいいんでしょうっ!」
「ヨキシャ……レンスン……君達が慌てることは何もないよ」
「そそそそそれはそうなんですが!」
「わわわわたしたちも何かしなくては!」
何かって何をするつもりなんだろう……? 私より動揺して右往左往するだけの二人を放っておいて、父上と母上にアロウ様と二人で報告をしにいった。
「めでたい! そして私は何をすればいいのだ!?」
「あなたができることは特にないわよ」
「あ、はい……」
母上にピシャリと言い切られしょんぼりする父上。なんだかさっき見た光景と似ている気がする……そうだな、父上の世話をヨキシャとレンスンに頼もうかな? 息が合う気がする。
「入用になるものが色々ありますわね。ああそうだフィーラの方にも連絡をいれましょう。皆様、楽しみに待っていらしたから喜んでくださるわよ」
「そうですね。お手紙を書こうかな……本来なら直接お伝えしたい所だけれども」
「駄目よ、長旅は」
「分かっております」
アロウ様も母上の言葉に何度も頷いている。もちろん二人に従うつもりだ……だってどう考えてもお腹の中に赤ちゃんがいるなんて異次元すぎる出来事、一人でどうにかできるはずもない。それに知識だって全然持ってないんだから経験者の言をもっともとするのは当然だ。
「ベビーベッドがいるわね……やっぱりアルバがお父さんだと赤ちゃんも大きいのかしら?」
「いいえ、フィーラ王家の血を引いても赤ん坊の頃は小さいです。10歳くらいまで変わらないですよ」
「あらぁ~! それならアウラリスが使っていた物でもいいのかしら? ん~でも新調したいわよねぇ~フィーラの家具屋に発注しようかしら!」
「きっと喜びますよ」
「そうよね! そうしましょっ楽しみだわぁ~」
冷静そうだった母上もスキップを踏む勢いで出て行ったから相当嬉しかったらしい。今、私の周りには私達を祝福してくれる人しかいない。使用人も、街の人も、王城の人までも。恨まれて非難の目を向けられて冷たい言葉を投げつけられるそんな悪役だった人間はもうこの場にいなくなった。
「アロウ様、私とても幸せです」
「私もだよ、アウリーは私にいつも最上級の幸せを運んでくれる」
大きな手のひらで包み込んで、太い腕で抱き上げてくれる。アロウ様に抱き上げられるとかなり高い位置にくるのだけれど、まったく揺るがない体幹の安定が恐怖なんて連れてこない。
「いいえ、アロウ様が私に幸せをくれるんです」
「んー……このままでは言い合いになってしまいそうだね……そうだ、きっと幸せな私達の間でさらに幸せが生まれてくる、そういうことだろう?」
「っはい! その通りです」
少し意地を張ってしまいそうになる所に気が付いてくれる所も好きだ。新しくお腹の中で育っていく幸せのことを考えてくれる所も好きだ。思いっきり笑うお顔も好きだ。絶対大丈夫なのに、いつもより歩調がゆっくりでもう気を使ってくれている所も何か問いかける時は必ず視線を合わせて優しく聞いてくださる所も好きだ。
「アウリー? 私の顔になにかついてる?」
少し不思議そうな顔をして聞いてくる所もチャーミングで好きだなと思う。
「ついているというか……私の愛する旦那様はとてもかっこいいので見とれておりました」
「~~っ……アウリーは私をびっくりさせながら嬉しくさせるのが本当に上手だね!」
「うふふ! そうでしょう!」
しっかりした首元に抱き着いて微笑み合う。
ああ、ここに私の幸せは成ったのだ。悪役令息として聖女を虐め、人に嫌われ、悲しくみじめに終わってゆくアウラリスはこの世界にも私の心の中にもうどこにもいない。これからは良く人を愛し、慈しみ、そして愛され、慈しまれてゆく素晴らしい人生を送っていくんだ。
最愛の人と、大切な人達と共に。今の私と私達にはそれができるんだから。
【ポツン食らった悪役令息がおっきい人と幸せになる過程 終】
「キミヒト、イライラは赤ちゃんに良くないよ」
「うう……腹が重くてうまく動けねえよお~」
キミヒトは羨ましいほど順調な妊夫生活を送っている。つわりがあって食べ物を受け付けなくなることもなく、パクパクと何でも食べる。運動も医者が止めるほど走り回ったりしていて元気そのもの。お腹も大きくなってもうしばらくすれば可愛らしい赤ちゃんを産むだろう。でも本人は不満らしくそんな言葉を私に投げかけてきた。
まあ、その呪詛のせいかどうか知らないけれど、ほどなくして私も医者を呼ぶことになった。
「おめでとうございます、アウラリス様。ご懐妊でございます」
「ほ、本当に……?」
「ええ、これからお体を大切にしてゆっくり育んで参りましょう」
「アウリー!!」
「アロウ様!」
「ほっほ、喜ばしいですなあ」
一緒に医者の話を聞いていたアロウ様と手放しに抱き合う。もしかして私は子供ができにくいタイプかと思ったらそんなこともなかったようで、嬉しい報告を皆にすることができた。
「ああああああああああかちゃん!?」
「はわわわわわわ! どうしたらいいんでしょうっ!」
「ヨキシャ……レンスン……君達が慌てることは何もないよ」
「そそそそそれはそうなんですが!」
「わわわわたしたちも何かしなくては!」
何かって何をするつもりなんだろう……? 私より動揺して右往左往するだけの二人を放っておいて、父上と母上にアロウ様と二人で報告をしにいった。
「めでたい! そして私は何をすればいいのだ!?」
「あなたができることは特にないわよ」
「あ、はい……」
母上にピシャリと言い切られしょんぼりする父上。なんだかさっき見た光景と似ている気がする……そうだな、父上の世話をヨキシャとレンスンに頼もうかな? 息が合う気がする。
「入用になるものが色々ありますわね。ああそうだフィーラの方にも連絡をいれましょう。皆様、楽しみに待っていらしたから喜んでくださるわよ」
「そうですね。お手紙を書こうかな……本来なら直接お伝えしたい所だけれども」
「駄目よ、長旅は」
「分かっております」
アロウ様も母上の言葉に何度も頷いている。もちろん二人に従うつもりだ……だってどう考えてもお腹の中に赤ちゃんがいるなんて異次元すぎる出来事、一人でどうにかできるはずもない。それに知識だって全然持ってないんだから経験者の言をもっともとするのは当然だ。
「ベビーベッドがいるわね……やっぱりアルバがお父さんだと赤ちゃんも大きいのかしら?」
「いいえ、フィーラ王家の血を引いても赤ん坊の頃は小さいです。10歳くらいまで変わらないですよ」
「あらぁ~! それならアウラリスが使っていた物でもいいのかしら? ん~でも新調したいわよねぇ~フィーラの家具屋に発注しようかしら!」
「きっと喜びますよ」
「そうよね! そうしましょっ楽しみだわぁ~」
冷静そうだった母上もスキップを踏む勢いで出て行ったから相当嬉しかったらしい。今、私の周りには私達を祝福してくれる人しかいない。使用人も、街の人も、王城の人までも。恨まれて非難の目を向けられて冷たい言葉を投げつけられるそんな悪役だった人間はもうこの場にいなくなった。
「アロウ様、私とても幸せです」
「私もだよ、アウリーは私にいつも最上級の幸せを運んでくれる」
大きな手のひらで包み込んで、太い腕で抱き上げてくれる。アロウ様に抱き上げられるとかなり高い位置にくるのだけれど、まったく揺るがない体幹の安定が恐怖なんて連れてこない。
「いいえ、アロウ様が私に幸せをくれるんです」
「んー……このままでは言い合いになってしまいそうだね……そうだ、きっと幸せな私達の間でさらに幸せが生まれてくる、そういうことだろう?」
「っはい! その通りです」
少し意地を張ってしまいそうになる所に気が付いてくれる所も好きだ。新しくお腹の中で育っていく幸せのことを考えてくれる所も好きだ。思いっきり笑うお顔も好きだ。絶対大丈夫なのに、いつもより歩調がゆっくりでもう気を使ってくれている所も何か問いかける時は必ず視線を合わせて優しく聞いてくださる所も好きだ。
「アウリー? 私の顔になにかついてる?」
少し不思議そうな顔をして聞いてくる所もチャーミングで好きだなと思う。
「ついているというか……私の愛する旦那様はとてもかっこいいので見とれておりました」
「~~っ……アウリーは私をびっくりさせながら嬉しくさせるのが本当に上手だね!」
「うふふ! そうでしょう!」
しっかりした首元に抱き着いて微笑み合う。
ああ、ここに私の幸せは成ったのだ。悪役令息として聖女を虐め、人に嫌われ、悲しくみじめに終わってゆくアウラリスはこの世界にも私の心の中にもうどこにもいない。これからは良く人を愛し、慈しみ、そして愛され、慈しまれてゆく素晴らしい人生を送っていくんだ。
最愛の人と、大切な人達と共に。今の私と私達にはそれができるんだから。
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