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番外編
1 私達は悪役令息の取り巻きです。
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私の名前はヨキシャ。ヨキシャ・ルマンという。ルマン子爵家の長男でルマン家の跡取りとして大事に育てられた。それなのに、ある日突然父上から呼び出された。
「ディーズ侯爵家のアウラリス様と友誼を結んでくるように。アウラリス様にくれぐれも失礼のないように! 分かるな?ディーズ侯爵家に睨まれたら我が家など即一家離散だということが!」
「そ、そんな……どうしてですか?」
「お前がアウラリス様と同じ年だからだ! 怒らせたら大変だが上手く取り入れば我が家は安泰よ……ふふ……ふふふ」
「アウラリス? 聞いたこともないです」
「様をつけろ! 何があってもアウラリス様に逆らわず付き従うんだ、わかったな!」
それまでメイドに命令する立場だった私は、命令される立場になる場所へ無理やり送り込まれた。
指定された日にディーズ家へ行くとその屋敷の大きさと豪華さに度肝を抜かれた。私だって貴族だから良い家に住んでいると思っていたけれど、ディーズ家は桁が違った。
「よく来てくれたな、子供達よ。紹介しよう、私の可愛い息子のアウラリスだ。仲良くしてくれ」
「……父上、私は友達なんか要りません」
「そんなことを言うものではないよ、アウラリス。まあ従者だと思えばよいだろう」
「……それならいいですけどぉ」
目の前にうちの父上なんかより物凄く立派な服を着たディーズ侯爵がいる。ああ金持ちって本当に違うんだなとびっくりしたのと……父上からきつく言われたアウラリス様がいる。そのアウラリス様を見て、私はとても驚いた。こんなに可愛い子が存在してるんだってまじまじと見てしまった。青い髪に大きな水色の目。肌は真っ白ですべすべ、手足も細くて華奢で……そこいらの女の子なんて比較にならないほど可愛らしい子だったけれど……口は悪い。私達を見下している。好きになれないタイプだって直感した。
それでも今この場に集められている子供達……なんと私の他にもかなりいて20人くらいはいると思う。アウラリス様は全員を友達にするつもりなのか? 首を傾げていると、あまり大きくない声だったが隣にいる名前も知らない少し年上っぽい奴がぽつりとつぶやいた。
「従者ってなんだよ。私は友人候補を募っているからと聞いて来たのに、従者ならお断りだな……」
そいつのいうことももっともだと思う。従者と友人じゃまったく違うもんな、と納得しかけた瞬間、アウラリス様が口を開いた。
「父上、あいつ要りません」
「……アウラリスがいうならそうしよう」
「え……」
細くて白くて……可愛らしいアウラリス様の指は私の隣のヤツを指差している。パッとそいつから距離を取る。巻き込まれたらたまったものじゃないから。
「今日はこのくらいにしておこう、解散とする」
「あ……」
隣にいたヤツは何か言いたそうだったけれど、ディーズ侯爵はもう後ろを向いて歩き始めているし、アウラリス様も付き従って行ってしまった……もうどうすることもできない。集められた私達はそれぞれの家に帰される。
きっと次に呼ばれた時にコイツはいないだろうな、と子供ながらに思った。
次に呼ばれた時は更に人が減っていた……もちろん私の隣にいた奴はいなかった。
「今日は庭でお茶会とします」
執事が決定事項としてそういい、私達について来いと歩き始める。
「あ、あわ……あわわ! うわっ」
「おっとっと……」
ちょうど前を歩いていた奴がこけた。どんくさい奴だな、と思ったけれど、そいつに手を差し伸べる。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ありがと……えと、ヨキシャ・ルマン子爵令息」
「私のことを知ってるのか?」
「名前だけ……」
「ふうん、君はなんていうの?」
「ぼくはレンスンだよ」
「そうなんだ、よろしく」
「うん、よろしく~」
私とレンスンの最初の出会いはそんな感じだった。
「ディーズ侯爵家のアウラリス様と友誼を結んでくるように。アウラリス様にくれぐれも失礼のないように! 分かるな?ディーズ侯爵家に睨まれたら我が家など即一家離散だということが!」
「そ、そんな……どうしてですか?」
「お前がアウラリス様と同じ年だからだ! 怒らせたら大変だが上手く取り入れば我が家は安泰よ……ふふ……ふふふ」
「アウラリス? 聞いたこともないです」
「様をつけろ! 何があってもアウラリス様に逆らわず付き従うんだ、わかったな!」
それまでメイドに命令する立場だった私は、命令される立場になる場所へ無理やり送り込まれた。
指定された日にディーズ家へ行くとその屋敷の大きさと豪華さに度肝を抜かれた。私だって貴族だから良い家に住んでいると思っていたけれど、ディーズ家は桁が違った。
「よく来てくれたな、子供達よ。紹介しよう、私の可愛い息子のアウラリスだ。仲良くしてくれ」
「……父上、私は友達なんか要りません」
「そんなことを言うものではないよ、アウラリス。まあ従者だと思えばよいだろう」
「……それならいいですけどぉ」
目の前にうちの父上なんかより物凄く立派な服を着たディーズ侯爵がいる。ああ金持ちって本当に違うんだなとびっくりしたのと……父上からきつく言われたアウラリス様がいる。そのアウラリス様を見て、私はとても驚いた。こんなに可愛い子が存在してるんだってまじまじと見てしまった。青い髪に大きな水色の目。肌は真っ白ですべすべ、手足も細くて華奢で……そこいらの女の子なんて比較にならないほど可愛らしい子だったけれど……口は悪い。私達を見下している。好きになれないタイプだって直感した。
それでも今この場に集められている子供達……なんと私の他にもかなりいて20人くらいはいると思う。アウラリス様は全員を友達にするつもりなのか? 首を傾げていると、あまり大きくない声だったが隣にいる名前も知らない少し年上っぽい奴がぽつりとつぶやいた。
「従者ってなんだよ。私は友人候補を募っているからと聞いて来たのに、従者ならお断りだな……」
そいつのいうことももっともだと思う。従者と友人じゃまったく違うもんな、と納得しかけた瞬間、アウラリス様が口を開いた。
「父上、あいつ要りません」
「……アウラリスがいうならそうしよう」
「え……」
細くて白くて……可愛らしいアウラリス様の指は私の隣のヤツを指差している。パッとそいつから距離を取る。巻き込まれたらたまったものじゃないから。
「今日はこのくらいにしておこう、解散とする」
「あ……」
隣にいたヤツは何か言いたそうだったけれど、ディーズ侯爵はもう後ろを向いて歩き始めているし、アウラリス様も付き従って行ってしまった……もうどうすることもできない。集められた私達はそれぞれの家に帰される。
きっと次に呼ばれた時にコイツはいないだろうな、と子供ながらに思った。
次に呼ばれた時は更に人が減っていた……もちろん私の隣にいた奴はいなかった。
「今日は庭でお茶会とします」
執事が決定事項としてそういい、私達について来いと歩き始める。
「あ、あわ……あわわ! うわっ」
「おっとっと……」
ちょうど前を歩いていた奴がこけた。どんくさい奴だな、と思ったけれど、そいつに手を差し伸べる。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ありがと……えと、ヨキシャ・ルマン子爵令息」
「私のことを知ってるのか?」
「名前だけ……」
「ふうん、君はなんていうの?」
「ぼくはレンスンだよ」
「そうなんだ、よろしく」
「うん、よろしく~」
私とレンスンの最初の出会いはそんな感じだった。
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