【完結】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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番外編

4 春の日の大騒ぎ

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「アロウ様~、お仕事がお手すきになったら本日はお庭でお昼をいただきましょう。シェフやメイド達がたくさんの軽食を用意してくれましたよ」
「はは……そうか、それは中々風流だな」

 なるほど、食べ物の用意も庭で取る軽食で……アルドフェルドにとっては庭に出るだけでも冒険だろうな。

「きゃーい! きゃーい!」
「ほら、アル。あそこの窓辺にお父様がいらっしゃいますよ~」
「きゅ……?」
「んー……まだお父様は言い辛いですね。そうだ、アル。パパがいますよ、パパ、です」
「あー……」
「パ、パ」
「ん~……パー、パッ!」

 気が付いたらバルコニーから庭へ飛び降りていた。



「アウリー、私は幸せ者だね」
「どうしたんですか? 急に」
「いや、しみじみそう思っただけだよ」

 アルドフェルドは軽くサンドイッチや果物などをつまんだ後、すぐに緑の芝生の上に駆けだしていった。その後をヨキシャとレンスンが追いかけている。三人とも視界内にいるから何の心配もない。アウリーは私の隣の椅子に腰かけ、にこりと笑った……バレている気がする。

「アロウ様は頭も良いしい、思考も早くていらっしゃるから……何かとんでもない誤解をして、よくわからない結論にたどり着きましたね?」
「……どうしてそう思うんだい?」

 質問に質問を返すのは良くないと思いつつも、思い返せば恥ずかしく情けない心情を隠したくてそう言ってしまった。

「悲しそうなお顔をしていましたから」

 ああ、アウリーには隠せないんだなあと観念してため息をつく。最愛に隠し事をしようとした罰を受ける為、つい先ほどまで一人で出した馬鹿な結論の話をすべてさらけ出した……本当に恥ずかしい。
 それでもアウリーは笑わず全部聞いてくれる。そしてこう付け足した。

「私は……もし、世界が滅びるとして二人だけ助けようと神に問われたら、アロウ様をお助けはしませんよ」
「なぜ、と聞いても?」

 私はアウリーを助けると思うが、アウリーはそうではないようだ。何だか少し悲しいがきっと私が納得する理由があるんだろう。

「だって、最初にアルドフェルドを助けます。そうしたら後一人しか助けられないじゃないですか。仮に私が助かったとします。でもアロウ様のいない世界で私は生きていけません……無駄です」
「で、ではヨキシャかレンスンは?」
「あの二人は二人で一人分の働きしかできませんよ。一人だけ助けても何の役にも立ちませんし……私やアロウ様がいない世界であの二人が立派に生きていける訳ないじゃないですか」
「えーと……」

 一瞬答えに窮するほど、アウリーはあの二人に対して辛辣な意見を述べた……いや、的確な判断といったほうが正しいな。確かにどちらかが生き残っても一人だとすぐに死んでしまうだろう。

「では残り一人は誰を助けるのだい?」

 アルドフェルドを助けるのなら、世話をする義母上か乳母か。それとも身辺警護にダズを連れてくるのもいいかもしれない……そうだ、私達の子供だ。私達がいなくても何とか生き抜ける可能性の方が高い……もうアウリーなしでは生きられない私とは違って。
 アウリーは誰を助けるのだろう……聞き返すとアウリーはにっこり笑って、そしてお腹を撫でた。

「え」
「ふふふ、決まってますよ」
「もしかして」
「アルドフェルドならお兄ちゃんとして立派に下の兄弟を助けて生きていけます」
「アウリー!!」

 つい、可愛い人を抱き上げた。

「今朝、医者に確認しました」
「そうか……そうだったのか!」
「ええ、楽しみです!」
「そうだな!」

 ぽかぽかの陽気にひけを取らない暖かい笑顔でアウリーを抱き上げたままくるくる回ってしまう。ああ、やっぱり私の伴侶は最高で最愛のこの人だ。私がアウリーがいなくなったら生きていけないように、アウリーも私がいなくなったら生きていけない、そういってくれる聡くて美しい私のアウリー!

「でも、できる事なら皆で一緒に暮らして行きたいですから、助ける人数を制限しちゃう人なんて……ぶっ飛ばしちゃいたいですね」

 おっと、たまに凶暴で……とてもいい事をいう!

「よし、私がアウリーの望みを叶えるとしよう!」
「はい、お願い致します! 私の愛する旦那様」

 アウリー、私達はずっと一緒だよ!


春の日の大騒ぎ 終

 
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