70 / 127
70 不幸より希望を愛する者
しおりを挟む
身軽に勉強したいとか言いながら、神殿までひょいひょい遊びに来たいだけじゃなんじゃないかと疑っちゃうレイシャル様とレニーちゃんなのだが、その日俺は気が付いてしまった。
「あ」
「どうしました?ルーチェ様」
隣にいたセラフィスさんに顔を覗き込まれるけれど、俺はセラフィスさんの手をきゅっと握ってしまった。
「レイシャル様とレニーちゃんに話がある。セラフィスさんも来て」
「お供いたします」
二人は顔を見合わせたけれど、セラフィスさんは何か気づいたみたいだった。俺も含め4人であまり広くない部屋に入る。このことを公表していいか分からないし、とにかくレイシャル様とレニーちゃんにはとても大切な事だから、まず二人に確認したい。
「レイシャル様、ミレニア様。聞いてください」
俺の畏まった様子に二人は静かにはい、と答えてくれた。
「その子が、俺を封印できる子です」
レニーちゃんのぺったんこのお腹を指差して俺は告げる。とうとう俺を封印できる力を持った子供が現れるんだ。
「ついに、ですか」
セラフィスさんの呟きに俺はこくりと頷いた。
「でも、聞いて欲しい。俺を封印できるほどの力を持つ子供……それでも多分、封印の為に全能力を使わなければならないと思う。だからその子は普通には暮らせないかもしれない、二人の可愛い子供の運命を俺は捻じ曲げてしまった……ごめんなさい」
俺に関わらなければ、レイシャル様とレニーちゃんの最初の子供は素晴らしいお世継ぎ様になった事だろう。それなのに「邪神封印」という仕事を押し付けてしまったのだ。
「そ、それは……どういう事でしょうか」
流石の二人も青ざめて聞いてくる。俺は答えられる限り答えてやる義務がある。
「多分、だけど。その子は体が弱く生まれる。体の中にたくさんの魔力を持ちながら、俺を封印するまで魔法は一切使えないかもしれない……封印に全てを注ぎ込む為に。もしかしたらおしゃべりするのも遅いかもしれない、言葉を覚えるのも、字を覚えるのも全部人並み以下かもしれない……。ごめん……最初の赤ちゃんにこんな重い荷物を背負わせてしまう事になる」
「……私達の子は……無事産まれるのでしょうか」
「それは、多分……大丈夫。でも辛い人生が待っているかもしれない」
レイシャル様とレニーちゃんは顔を見合わせて、そして笑った。なんで!?俺のせいで二人の可愛い赤ちゃんが不幸になるかもしれないんだよ!
「だって!私達の赤ちゃんが必ず無事に産まれてくるって分かったんですよ!こんなに嬉しい事ありますか!?」
「というか、赤ちゃんが産まれるなんて!凄い、凄いよ!レニー!最高だ!」
レイシャル様はレニーちゃんを抱き上げてくるくると回った。あ、あれ?あれれ???
「心配ご無用ですよ!ルーチェ様。この世に私達の子供が生まれて来たら皆でうんと可愛がってあげればいいんですから!不幸なんてあるはずがない!」
「そうですよ!ルーチェ様も可愛がってくれるでしょう!あー!早く会いたいわ~!」
俺はきょとんと二人を見る。なんで?どうして?大事な子供にそんな重荷を背負わせる俺を恨んでいいのに、どうしてそんなに嬉しそうなの?
「とても、とても強いお二人ですね」
セラフィスさんが俺の肩を抱き寄せる。
「不安より希望を愛する、とても強いお二人です」
「……うん……」
俺を封印できる子供が、この二人を両親として生まれてくる事に感謝をささげた。
「あ」
「どうしました?ルーチェ様」
隣にいたセラフィスさんに顔を覗き込まれるけれど、俺はセラフィスさんの手をきゅっと握ってしまった。
「レイシャル様とレニーちゃんに話がある。セラフィスさんも来て」
「お供いたします」
二人は顔を見合わせたけれど、セラフィスさんは何か気づいたみたいだった。俺も含め4人であまり広くない部屋に入る。このことを公表していいか分からないし、とにかくレイシャル様とレニーちゃんにはとても大切な事だから、まず二人に確認したい。
「レイシャル様、ミレニア様。聞いてください」
俺の畏まった様子に二人は静かにはい、と答えてくれた。
「その子が、俺を封印できる子です」
レニーちゃんのぺったんこのお腹を指差して俺は告げる。とうとう俺を封印できる力を持った子供が現れるんだ。
「ついに、ですか」
セラフィスさんの呟きに俺はこくりと頷いた。
「でも、聞いて欲しい。俺を封印できるほどの力を持つ子供……それでも多分、封印の為に全能力を使わなければならないと思う。だからその子は普通には暮らせないかもしれない、二人の可愛い子供の運命を俺は捻じ曲げてしまった……ごめんなさい」
俺に関わらなければ、レイシャル様とレニーちゃんの最初の子供は素晴らしいお世継ぎ様になった事だろう。それなのに「邪神封印」という仕事を押し付けてしまったのだ。
「そ、それは……どういう事でしょうか」
流石の二人も青ざめて聞いてくる。俺は答えられる限り答えてやる義務がある。
「多分、だけど。その子は体が弱く生まれる。体の中にたくさんの魔力を持ちながら、俺を封印するまで魔法は一切使えないかもしれない……封印に全てを注ぎ込む為に。もしかしたらおしゃべりするのも遅いかもしれない、言葉を覚えるのも、字を覚えるのも全部人並み以下かもしれない……。ごめん……最初の赤ちゃんにこんな重い荷物を背負わせてしまう事になる」
「……私達の子は……無事産まれるのでしょうか」
「それは、多分……大丈夫。でも辛い人生が待っているかもしれない」
レイシャル様とレニーちゃんは顔を見合わせて、そして笑った。なんで!?俺のせいで二人の可愛い赤ちゃんが不幸になるかもしれないんだよ!
「だって!私達の赤ちゃんが必ず無事に産まれてくるって分かったんですよ!こんなに嬉しい事ありますか!?」
「というか、赤ちゃんが産まれるなんて!凄い、凄いよ!レニー!最高だ!」
レイシャル様はレニーちゃんを抱き上げてくるくると回った。あ、あれ?あれれ???
「心配ご無用ですよ!ルーチェ様。この世に私達の子供が生まれて来たら皆でうんと可愛がってあげればいいんですから!不幸なんてあるはずがない!」
「そうですよ!ルーチェ様も可愛がってくれるでしょう!あー!早く会いたいわ~!」
俺はきょとんと二人を見る。なんで?どうして?大事な子供にそんな重荷を背負わせる俺を恨んでいいのに、どうしてそんなに嬉しそうなの?
「とても、とても強いお二人ですね」
セラフィスさんが俺の肩を抱き寄せる。
「不安より希望を愛する、とても強いお二人です」
「……うん……」
俺を封印できる子供が、この二人を両親として生まれてくる事に感謝をささげた。
121
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる