【完結】良い子な邪神に転生した俺は強すぎて封印不可?頑張って封印されます!

鏑木 うりこ

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70 不幸より希望を愛する者

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 身軽に勉強したいとか言いながら、神殿までひょいひょい遊びに来たいだけじゃなんじゃないかと疑っちゃうレイシャル様とレニーちゃんなのだが、その日俺は気が付いてしまった。

「あ」

「どうしました?ルーチェ様」

 隣にいたセラフィスさんに顔を覗き込まれるけれど、俺はセラフィスさんの手をきゅっと握ってしまった。

「レイシャル様とレニーちゃんに話がある。セラフィスさんも来て」

「お供いたします」

 二人は顔を見合わせたけれど、セラフィスさんは何か気づいたみたいだった。俺も含め4人であまり広くない部屋に入る。このことを公表していいか分からないし、とにかくレイシャル様とレニーちゃんにはとても大切な事だから、まず二人に確認したい。

「レイシャル様、ミレニア様。聞いてください」

 俺の畏まった様子に二人は静かにはい、と答えてくれた。

「その子が、俺を封印できる子です」

 レニーちゃんのぺったんこのお腹を指差して俺は告げる。とうとう俺を封印できる力を持った子供が現れるんだ。

「ついに、ですか」

 セラフィスさんの呟きに俺はこくりと頷いた。

「でも、聞いて欲しい。俺を封印できるほどの力を持つ子供……それでも多分、封印の為に全能力を使わなければならないと思う。だからその子は普通には暮らせないかもしれない、二人の可愛い子供の運命を俺は捻じ曲げてしまった……ごめんなさい」

 俺に関わらなければ、レイシャル様とレニーちゃんの最初の子供は素晴らしいお世継ぎ様になった事だろう。それなのに「邪神封印」という仕事を押し付けてしまったのだ。

「そ、それは……どういう事でしょうか」

 流石の二人も青ざめて聞いてくる。俺は答えられる限り答えてやる義務がある。

「多分、だけど。その子は体が弱く生まれる。体の中にたくさんの魔力を持ちながら、俺を封印するまで魔法は一切使えないかもしれない……封印に全てを注ぎ込む為に。もしかしたらおしゃべりするのも遅いかもしれない、言葉を覚えるのも、字を覚えるのも全部人並み以下かもしれない……。ごめん……最初の赤ちゃんにこんな重い荷物を背負わせてしまう事になる」

「……私達の子は……無事産まれるのでしょうか」

「それは、多分……大丈夫。でも辛い人生が待っているかもしれない」

 レイシャル様とレニーちゃんは顔を見合わせて、そして笑った。なんで!?俺のせいで二人の可愛い赤ちゃんが不幸になるかもしれないんだよ!

「だって!私達の赤ちゃんが必ず無事に産まれてくるって分かったんですよ!こんなに嬉しい事ありますか!?」

「というか、赤ちゃんが産まれるなんて!凄い、凄いよ!レニー!最高だ!」

 レイシャル様はレニーちゃんを抱き上げてくるくると回った。あ、あれ?あれれ???

「心配ご無用ですよ!ルーチェ様。この世に私達の子供が生まれて来たら皆でうんと可愛がってあげればいいんですから!不幸なんてあるはずがない!」

「そうですよ!ルーチェ様も可愛がってくれるでしょう!あー!早く会いたいわ~!」

 俺はきょとんと二人を見る。なんで?どうして?大事な子供にそんな重荷を背負わせる俺を恨んでいいのに、どうしてそんなに嬉しそうなの?

「とても、とても強いお二人ですね」

 セラフィスさんが俺の肩を抱き寄せる。

「不安より希望を愛する、とても強いお二人です」

「……うん……」

 俺を封印できる子供が、この二人を両親として生まれてくる事に感謝をささげた。


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