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105 私達はしゃちほこ(しゃち視点
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私は落伍者だった。名前はなかったが、尊いお方が「シャチホコ君」と呼ぶので私の名前はシャチホコなんだろう。中々洒落た名前ではないか。
私がいつも通り湖の深い場所で瞑想しているとものすごく大きな気配を感じた。湖の傍に何かとても尊い者が来ていらっしゃると。気になって浮上してみれば……いつも人間どもが湖に投げ込んで魚を釣る餌の一つが目を焼き切るほど強い光と力を放っているではないか!?な、なんだのだあれは!?
宝石!?いや、宝玉!?何か分からないがものすごいモノだという事だけは確かだ。欲しい!アレが欲しい!!!この湖で一番強いのは私だ。ならばアレは私の物でいいはず!!うおおおおおおおおお!ぱくん!とそれに食いついた。
「いてっ。え?針と糸?これ、本当に魚釣り用の餌だったのか??」
唇に深々と刺さった針はじくじくと痛んだが、飲み込んだ餌の美味さと力の奔流に私は目を回しかける。
「うまあああああああああああああああああい!それとみなぎるゥーーーーーー!」
これなら何度試しても登れなかったあの滝を一瞬で登れそうだ!いや、登るどころか空を飛べそうなんだけど!??ハァハァさっそく滝を攻略して私も神の末席に加えて貰おう……そう思ったのだが、糸がついている針がクイクイと引かれるではないか。
「邪魔な……引きちぎって……うっ!?切れない、だと!?」
この私の力を以てしても破れぬ強化魔法がかけられている!?まさか、神へと届く私の力より上の者が!?油断はなかったはずなのに、私はこの世の物とは思えぬ怪力で釣りあげられてしまったのだ。ば、馬鹿なっ!!
地上に引き上げられた私が見た物は金色の髪に金の瞳で少し浅黒い肌をした青年だった。私が釣れた事で喜んでいるようで、満面の笑みだった。
そして私はすぐに気が付いたのだ。
『あ、この方がルーチェ様だ』
と。何千年も前に封印されたというわれらが龍神の愛し子。その封印も龍神のせいであったというから、我らの神の後悔たるや凄まじいもので、龍の力を持った者はすべからく「ルーチェ様」に仕えるべしと何度も何度も通達がきている、そんな御子だ。なるほど、ならば私も龍の末。このお方の為ならば何でもしよう、そう心に決めた。
「おい、魔物。お前でかすぎ、縮めるぞ」
話をするにもこやつの巨体は邪魔だ。無理やり死なない程度に圧縮する。3メートルくらいのワニになったぞ。
「静かにしろ」
魔物は体を縮められた痛みで大声を上げようとするが音は封じた。うるさいのはあの方に迷惑だ。
「あのお方は金色の鯉をご所望だ。お前今から金の鯉にするからな」
「……!?……!!……!!」
何か抗議の声を上げているようだけれど、聞こえないし聞く気もない。
「良いか、良く聞け。お前はあの方のお陰で龍の末席に加えて貰えるんだ、分かるか?お前みたいな魔物が、たかが1000年くらい生きただけの!魔物がだぞ!あそこにおられる「動く神様チート、ルーチェ様」のお陰だからな!?これがどれだけ幸運な事かわかってるのか!?皆、皆、修業して修業して、大半が神に届かず、消えていくのに!お前は何の努力もなしにもう神の力を手に入れるんだぞ!世の中の修行者に謝れっ馬鹿野郎ッ」
「……!?」
「お前みたいなラッキー、ないんだからなっ!ルーチェ様に、ルーチェ様に全身全霊を以て仕えろっ馬鹿野郎~!くそー!羨ましい!羨ましい~~~~~~~!ま、そんな俺もルーチェ様の覚えがめでたいラッキーな魚なんだけどね!」
えへっ!俺だってこの先何千年修業したって神の力には届かなかっただろう。それなのにルーチェ様の血がちょびっとついた餌を食べたらほら、ごらんのとおり!こんなにすごい力を貰ってしまった!ルーチェ様最高!ルーチェ様最高!
「と、言うわけで今からお前を金色の鯉にするけど、粗相はしないように」
こくこく、と黒ワニは一生懸命首を縦に振っている。よしよしそれでいい。そうやって俺は黒いワニを金色の鯉に変えてルーチェ様の元に戻った。
「はいっ!金の鯉です!」
「わーーーい!シャチホコちゃんだ~!」
「ア、アア……、ワレ、シャ、ち、ホコ」
元魔物は頭の方も残念だったようで、やっと言葉を使い始めたが、これからルーチェ様の加護でどんどんまともになって行くだろう。
「これから俺とセラの家を守ってね」
「ア、アア、ワレ、マモル……イエ、マモル……」
「では転送路を開きますから、先に家の方へ行っていてくださいね」
「わかった」
ルーチェ様の隣にいるのは悪逆非道神官セラフィスだろう。龍神様の苦々しい言葉が蘇る。
「セラフィス……セラフィス、実に羨ましい上にけしからん奴。憎いと言えば憎いが、ルーチェが気に入っている以上憎むわけにもいかん……ああだが羨ましい。雄っぱいがちょっと良かったからって……くそう、私も雄っぱいをなんとかあのレベルに……うううう」
確かに立派な胸筋をしているようだが、雄っぱいとは……?私も鍛えるべきなんだろうか、ルーチェ様の家の屋根にくっ付くシャチホコとしては。
そうして私達は湖の主からシャチホコになった。ちょっと辛いポーズで屋根の上にずっと居なければならないけれども、龍神様が良く降臨なさって
「いやあ、君たちがピカピカしてるから目印になって良いよ~頑張ってね。私の末達が屋根にいるなんて私も鼻が高いよ」
なんて直々に声をかけていただけるもので、神としての位も爆上がりで良い事づくめだ。
「こんな世界があるなんてなあ……湖が全てだと思ってた」
「こんな幸運もあるもんなんだなあ」
私と魔物……名前はルーチェ様が「しゃち」と「ほこ」なんて呼んでいるから私がしゃちで元魔物の相方がほこだ。酷い名前?そんなことないぞ、凄い力の籠った良い名前だ。
「屋根の上でちょっと退屈な時もあるけれど、たまに遊びに行っても良いし」
「ルーチェ様は優しいからな~」
私達は人型になって屋根の上で並んで話をしている。ルーチェ様が指定したシャチホコポーズは疲れるから、結局は家を守れていればそれでいいって事になっているんだ。神様が降りられるときは目印になるようにあのシャチホコポーズになるけれどね。
「まあこれからもよろしくな、ほこ」「こっちこそありがとう、しゃち」
私達は概ね仲良く、ルーチェ様の家を守っている。
私がいつも通り湖の深い場所で瞑想しているとものすごく大きな気配を感じた。湖の傍に何かとても尊い者が来ていらっしゃると。気になって浮上してみれば……いつも人間どもが湖に投げ込んで魚を釣る餌の一つが目を焼き切るほど強い光と力を放っているではないか!?な、なんだのだあれは!?
宝石!?いや、宝玉!?何か分からないがものすごいモノだという事だけは確かだ。欲しい!アレが欲しい!!!この湖で一番強いのは私だ。ならばアレは私の物でいいはず!!うおおおおおおおおお!ぱくん!とそれに食いついた。
「いてっ。え?針と糸?これ、本当に魚釣り用の餌だったのか??」
唇に深々と刺さった針はじくじくと痛んだが、飲み込んだ餌の美味さと力の奔流に私は目を回しかける。
「うまあああああああああああああああああい!それとみなぎるゥーーーーーー!」
これなら何度試しても登れなかったあの滝を一瞬で登れそうだ!いや、登るどころか空を飛べそうなんだけど!??ハァハァさっそく滝を攻略して私も神の末席に加えて貰おう……そう思ったのだが、糸がついている針がクイクイと引かれるではないか。
「邪魔な……引きちぎって……うっ!?切れない、だと!?」
この私の力を以てしても破れぬ強化魔法がかけられている!?まさか、神へと届く私の力より上の者が!?油断はなかったはずなのに、私はこの世の物とは思えぬ怪力で釣りあげられてしまったのだ。ば、馬鹿なっ!!
地上に引き上げられた私が見た物は金色の髪に金の瞳で少し浅黒い肌をした青年だった。私が釣れた事で喜んでいるようで、満面の笑みだった。
そして私はすぐに気が付いたのだ。
『あ、この方がルーチェ様だ』
と。何千年も前に封印されたというわれらが龍神の愛し子。その封印も龍神のせいであったというから、我らの神の後悔たるや凄まじいもので、龍の力を持った者はすべからく「ルーチェ様」に仕えるべしと何度も何度も通達がきている、そんな御子だ。なるほど、ならば私も龍の末。このお方の為ならば何でもしよう、そう心に決めた。
「おい、魔物。お前でかすぎ、縮めるぞ」
話をするにもこやつの巨体は邪魔だ。無理やり死なない程度に圧縮する。3メートルくらいのワニになったぞ。
「静かにしろ」
魔物は体を縮められた痛みで大声を上げようとするが音は封じた。うるさいのはあの方に迷惑だ。
「あのお方は金色の鯉をご所望だ。お前今から金の鯉にするからな」
「……!?……!!……!!」
何か抗議の声を上げているようだけれど、聞こえないし聞く気もない。
「良いか、良く聞け。お前はあの方のお陰で龍の末席に加えて貰えるんだ、分かるか?お前みたいな魔物が、たかが1000年くらい生きただけの!魔物がだぞ!あそこにおられる「動く神様チート、ルーチェ様」のお陰だからな!?これがどれだけ幸運な事かわかってるのか!?皆、皆、修業して修業して、大半が神に届かず、消えていくのに!お前は何の努力もなしにもう神の力を手に入れるんだぞ!世の中の修行者に謝れっ馬鹿野郎ッ」
「……!?」
「お前みたいなラッキー、ないんだからなっ!ルーチェ様に、ルーチェ様に全身全霊を以て仕えろっ馬鹿野郎~!くそー!羨ましい!羨ましい~~~~~~~!ま、そんな俺もルーチェ様の覚えがめでたいラッキーな魚なんだけどね!」
えへっ!俺だってこの先何千年修業したって神の力には届かなかっただろう。それなのにルーチェ様の血がちょびっとついた餌を食べたらほら、ごらんのとおり!こんなにすごい力を貰ってしまった!ルーチェ様最高!ルーチェ様最高!
「と、言うわけで今からお前を金色の鯉にするけど、粗相はしないように」
こくこく、と黒ワニは一生懸命首を縦に振っている。よしよしそれでいい。そうやって俺は黒いワニを金色の鯉に変えてルーチェ様の元に戻った。
「はいっ!金の鯉です!」
「わーーーい!シャチホコちゃんだ~!」
「ア、アア……、ワレ、シャ、ち、ホコ」
元魔物は頭の方も残念だったようで、やっと言葉を使い始めたが、これからルーチェ様の加護でどんどんまともになって行くだろう。
「これから俺とセラの家を守ってね」
「ア、アア、ワレ、マモル……イエ、マモル……」
「では転送路を開きますから、先に家の方へ行っていてくださいね」
「わかった」
ルーチェ様の隣にいるのは悪逆非道神官セラフィスだろう。龍神様の苦々しい言葉が蘇る。
「セラフィス……セラフィス、実に羨ましい上にけしからん奴。憎いと言えば憎いが、ルーチェが気に入っている以上憎むわけにもいかん……ああだが羨ましい。雄っぱいがちょっと良かったからって……くそう、私も雄っぱいをなんとかあのレベルに……うううう」
確かに立派な胸筋をしているようだが、雄っぱいとは……?私も鍛えるべきなんだろうか、ルーチェ様の家の屋根にくっ付くシャチホコとしては。
そうして私達は湖の主からシャチホコになった。ちょっと辛いポーズで屋根の上にずっと居なければならないけれども、龍神様が良く降臨なさって
「いやあ、君たちがピカピカしてるから目印になって良いよ~頑張ってね。私の末達が屋根にいるなんて私も鼻が高いよ」
なんて直々に声をかけていただけるもので、神としての位も爆上がりで良い事づくめだ。
「こんな世界があるなんてなあ……湖が全てだと思ってた」
「こんな幸運もあるもんなんだなあ」
私と魔物……名前はルーチェ様が「しゃち」と「ほこ」なんて呼んでいるから私がしゃちで元魔物の相方がほこだ。酷い名前?そんなことないぞ、凄い力の籠った良い名前だ。
「屋根の上でちょっと退屈な時もあるけれど、たまに遊びに行っても良いし」
「ルーチェ様は優しいからな~」
私達は人型になって屋根の上で並んで話をしている。ルーチェ様が指定したシャチホコポーズは疲れるから、結局は家を守れていればそれでいいって事になっているんだ。神様が降りられるときは目印になるようにあのシャチホコポーズになるけれどね。
「まあこれからもよろしくな、ほこ」「こっちこそありがとう、しゃち」
私達は概ね仲良く、ルーチェ様の家を守っている。
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