【完結】転生の次は召喚ですか? 私は聖女なんかじゃありません。いい加減にして下さい!

金峯蓮華

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私のこと

 私には前世の記憶があった。とある世界のとある国の公爵令嬢だった私は、魔力が強く、全属性の魔法を使うことができた。

 幼い頃から王太子の婚約者としてその国に尽くしてきたのだが、突然現れた聖女とやらに全てを取られてしまった。

 聖女と呼ばれたあの女は召喚されてあの世界に来た普通の女子高校生だった。
 現れた時は、今思えばセーラー服姿だった。もちろん聖女と呼ばれた女子高生は何のチカラも持ってはいなかった。ただ解熱鎮痛剤を何錠か持っていて、それを高熱が出ていた国王に飲まし、熱が下がったため、魔法の薬を作り出す聖女ということになった。

 鑑定の魔法が使えた私には彼女の持つチカラなど一目瞭然だ。しかし、偽聖女は周りから崇め奉られ、チヤホヤされることに味をしめたのだろう。私を陥れるために、私からいじめられただの、危害を加えられただのと王太子に泣きついたのだ。
 そう、お持ちのダイナマイトボディを駆使して王太子に取り入った。

 私は聖女殺人未遂という無実の罪で捕らえられた。王太子からは突然、婚約を破棄され、そして処刑された。

 まぁ、その時には王妃教育まで終わっていたので婚約破棄した時点で毒杯だし、どちらにしても死ぬ運命だった。

 あの偽聖女とやらには国をどうこうしようなどという野心はなく、ただ見目麗しい王太子を自分のモノにしたい。ドレスや宝石がいっぱい欲しい。贅沢をしたい。みんなからチヤホヤされたい。そんな感じだと思う。
 だから婚約者で公爵家の娘だった私が邪魔だったのだろう。ただそれだけ。

 私が処刑される前の夜に牢まで来て、そんなようなことを言っていたわ。

 私が死んだ後、あの国がどうなったかは知らない。見た目だけの能力のない王太子と贅沢したいだけの力のない偽聖女がおさめる国なんて、ろくな未来はないだろう。王太子が国王になった時にサポートするために、私は小さい頃から遊ぶ間も寝る間も惜しんで王宮で教育を受けていたのだ。あんな王太子にしたのは国王と王妃。いくら私で補填しようとしていたとしても王太子に親心は届かなかったのだ。

 薬を使い果たした後の偽聖女はどんなことになったのか気にならないこともないが、死んでしまった私の知ったことではない。

 処刑された私はなぜか公爵令嬢アイリーン・ワーグナーの記憶を持ったまま日本という国に転生し、岩倉愛莉として産まれ、生きなおすことになった。

 現代の日本で異世界の公爵令嬢の記憶など対して役には立たない。所作が綺麗と褒められるくらいだ。

 ただ、鑑定魔法は、それを使えばどんな人か、ある程度わかるので、身を守るためには役立っている。

 回復魔法は使えてもこっそり自分にやるくらいで、大っぴらに他人にはできない。回復魔法が使えるなんてバレたらマスコミの餌食になるだろう。

 回復魔法をこっそり活かせそうな仕事につくために大学の医学部で学生をしていた。国家試験にも合格し、研修医として大学に併設されている病院に就職も決まり、それなりに楽しく生きているのに異世界に召喚されちゃうなんて、神様の気まぐれにもほとほと困る。

 どうやら、この世界は私がアイリーンの頃にいた世界とはまた別の世界のようだった。
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