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戸惑い
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とにかく先に召喚された聖女としての仕事を終わらせようと思った。
この世界に来てそろそろ1年になる。定期的に辺境の地、ブランケンハイムで弱くなった結界と綻んだ箇所の修復をしながら結界魔法が使える魔導士を育てて来た。
私がいなくなったあと、もう誰も召喚しなくていいようにこの世界で強い結界が張れる人を何人も作りたかった。
ひとりでは難しいことも何人かで力を合わせれば強い結界が張れる。それを代々伝えていけば、永遠に結界を張り続けることができ、もう異世界から聖女を召喚しなくてもいい。
「ヴェル、先に仕事を終わらせてしまうわ。そろそろ人も育ってきたし、みんなで一緒に、この国の結界を強いものに張り替えるわ。それが終わってから、父母やアイリーンの頃、お別れを言えなかった人達に会いに行くわ。みんな私をアイリーンとして受け入れてくれるかしら?」
ヴェルミーナはクスクス笑う。
「大丈夫よ。みんなエネルギーでわかるわ。それに毎日みんなは神様にアイリーン様が1日も早く蘇るように祈っていますもの。もう、神に感謝しかないです。みんなに知らせておきますわね」
まさか、ブランケンハイム領でのんびり休日を過ごすはずがこんなことになるなんて思いもしなかった。
結局、前の聖女の話はほとんど聞けなかった。
「まさか、アイリ殿がアイリーン様の生まれ変わりだったとはな」
ジークヴァルトは不思議そうに私を見ている。
「ジークはアイリーンの話を知ってたの?」
「あぁ、子供の頃からばあさんに聞かされてる。あの国には親戚もいっぱいいるから何度も行ったこともある。王都の広場には聖女アイリーン像があって、みんなアイリーン様の復活を祈っている」
「そうなの。なんだかそんなに偉くなっちゃうとちょっと怖いわね。私は普通の娘だったのに」
いつの間にか神格化されているようで驚いた。きっと、腹黒お父様の策略だろう。
「辛かっただろ」
ジークヴァルトがぽつりと呟いた。
「辛かった?」
「うん。無実の罪でみんなの前で断罪され、処刑されただろ。それまでも廃太子と悪女に嫌がらせされていたのだろう?」
「嫌がらせ? あぁ、まぁ、嫌がらせといえば嫌がらせかしらね。学園で有る事無い事言われたくらいよ。でも友人達はみんなわかってくれていたし、腹は立ったけどそんなに辛くはなかったわ」
「アイリ殿は強いな」
「周りに恵まれていたの。でも処刑は嫌だったわ。今でも刃物を持つのは怖いもの」
「刃物なんて一生持たせない」
ジークヴァルトは何かを決意しているかのようだ。強い意志を瞳から感じる。
日本にいた頃は包丁が怖くてハサミで料理していた。グロースクロイツ王国に召喚されてからは料理することもないから、刃物を持つことはない。
アイリーンの事は物語となり、本にもなっているそうだ。ジークママが持っていると探してくれて、見えせくれた。
「アイリーンはかなり美化されていますわ。それに王太子殿下と聖女の悪さ、醜さが盛られてます」
「そんなことないわ。アイリーン様をリアルで知るお祖母様も大伯母様達もこの通りだと言っていたわ。あの国の人達は皆、アイリーン様が蘇るのを毎日楽しみにしていると聞いたけど、神様は神託を現実にしてくれたのね。アイリ様、戻ってきてくれてありがとうございます。あの国の人達もこれで救われます」
いや。そんな大層なものじゃないんだけど。
私は困ってしまった。
この世界に来てそろそろ1年になる。定期的に辺境の地、ブランケンハイムで弱くなった結界と綻んだ箇所の修復をしながら結界魔法が使える魔導士を育てて来た。
私がいなくなったあと、もう誰も召喚しなくていいようにこの世界で強い結界が張れる人を何人も作りたかった。
ひとりでは難しいことも何人かで力を合わせれば強い結界が張れる。それを代々伝えていけば、永遠に結界を張り続けることができ、もう異世界から聖女を召喚しなくてもいい。
「ヴェル、先に仕事を終わらせてしまうわ。そろそろ人も育ってきたし、みんなで一緒に、この国の結界を強いものに張り替えるわ。それが終わってから、父母やアイリーンの頃、お別れを言えなかった人達に会いに行くわ。みんな私をアイリーンとして受け入れてくれるかしら?」
ヴェルミーナはクスクス笑う。
「大丈夫よ。みんなエネルギーでわかるわ。それに毎日みんなは神様にアイリーン様が1日も早く蘇るように祈っていますもの。もう、神に感謝しかないです。みんなに知らせておきますわね」
まさか、ブランケンハイム領でのんびり休日を過ごすはずがこんなことになるなんて思いもしなかった。
結局、前の聖女の話はほとんど聞けなかった。
「まさか、アイリ殿がアイリーン様の生まれ変わりだったとはな」
ジークヴァルトは不思議そうに私を見ている。
「ジークはアイリーンの話を知ってたの?」
「あぁ、子供の頃からばあさんに聞かされてる。あの国には親戚もいっぱいいるから何度も行ったこともある。王都の広場には聖女アイリーン像があって、みんなアイリーン様の復活を祈っている」
「そうなの。なんだかそんなに偉くなっちゃうとちょっと怖いわね。私は普通の娘だったのに」
いつの間にか神格化されているようで驚いた。きっと、腹黒お父様の策略だろう。
「辛かっただろ」
ジークヴァルトがぽつりと呟いた。
「辛かった?」
「うん。無実の罪でみんなの前で断罪され、処刑されただろ。それまでも廃太子と悪女に嫌がらせされていたのだろう?」
「嫌がらせ? あぁ、まぁ、嫌がらせといえば嫌がらせかしらね。学園で有る事無い事言われたくらいよ。でも友人達はみんなわかってくれていたし、腹は立ったけどそんなに辛くはなかったわ」
「アイリ殿は強いな」
「周りに恵まれていたの。でも処刑は嫌だったわ。今でも刃物を持つのは怖いもの」
「刃物なんて一生持たせない」
ジークヴァルトは何かを決意しているかのようだ。強い意志を瞳から感じる。
日本にいた頃は包丁が怖くてハサミで料理していた。グロースクロイツ王国に召喚されてからは料理することもないから、刃物を持つことはない。
アイリーンの事は物語となり、本にもなっているそうだ。ジークママが持っていると探してくれて、見えせくれた。
「アイリーンはかなり美化されていますわ。それに王太子殿下と聖女の悪さ、醜さが盛られてます」
「そんなことないわ。アイリーン様をリアルで知るお祖母様も大伯母様達もこの通りだと言っていたわ。あの国の人達は皆、アイリーン様が蘇るのを毎日楽しみにしていると聞いたけど、神様は神託を現実にしてくれたのね。アイリ様、戻ってきてくれてありがとうございます。あの国の人達もこれで救われます」
いや。そんな大層なものじゃないんだけど。
私は困ってしまった。
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