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到着しました

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 何日も馬車に揺られ、たどり着いたスバリーナ国の王都はとても賑やかなところだった。

 留学生達は王宮に到着し、国王陛下に謁見した。

 とても大きな熊みたいな国王陛下は遠い国から来た子供達を歓迎してくれているようだ。
王子や王女様と仲良くして欲しいと言っていた。

 王子はジークハルト様達より少し年上かな。王女様もジーク様達と同じ年くらいに見える。

 謁見の間で緊張している留学生達に、
「今夜はみんなの歓迎パーティーを催すので、楽しんでほしい」
 国王陛下はそう言った。
歓迎パーティーか。私はパーティーが苦手だな。少し気が重くなった。

 留学生達が留学中に滞在する部屋は王宮の中に用意されていた。
 私の部屋は広くて可愛い雰囲気の家具が置かれている。浴室も付いている。そしてなぜかジークハルト様の隣の部屋だった。

 ジークハルト様は腕組みをしている。
「一緒でいいと言ったけど、ダメだと言われたので隣で我慢した」
 ジークハルト様は残念そうだが、当たり前だ。一緒なんて勘弁して欲しい。部屋を別にしてくれた関係者に感謝したい。侍女のリンダやジークハルト様の従者のマイクさんにもゲストの使用人用の部屋が用意されている。

 王太子殿下と一緒に留学したからか、かなり良い待遇だと思う。

 ランソプラズム国と良い関係なんだろう。王宮の使用人たちもみんな親切で優しい気がする。

 部屋でのんびりくつろいでると侍女のリンダが声をかけてきた。
「お嬢様、そろそろパーティーの用意を致しましょう」
 リンダは私を着飾らせるのが大好きなのだがなかなか機会がない。

「ジークハルト様が狭量で最低限の社交の場にしか行かせてもらえないので、なかなか腕を振るうことができない鬱憤を今日はぶつけさせてもらいますよ! 昔は心が広い方だと思っていたのですが、思い違いでしたね」
 狭量って。確かにそのとおりだと笑ってしまう。そう言えばリンダは昔、心が広い方だと言っていたな。酷い勘違いだ。
 まぁ、ジークハルト様のせいだけではなく、私があまり社交の場に行きたくないので、その狭量ぶりを利用させてもらっているのもあると私はほくそ笑む。

「地味でいいの。私はまだ子供なんだし、着飾ってもさほど美しくないもの」
「何をおっしゃっているのですか!
お嬢様は天使の如く美しいのに。このリンダ精魂込めてお支度させていただきます」
 怖いって。何でそんなにチカラが入っているのか。私はリンダの気迫に押されている。

 今日のパーティーのドレスはパステルピンクの地に黒いリボンと黒い花が沢山付いている。
 髪は緩く編み込みにし、もちろん黒いリボンと黒い花をつけている。そしてアクセサリーは可愛いデザインだけどブラックダイヤモンド。
 誰から贈られたものか一目瞭然。リンダに狭量と言われている黒い髪と黒い瞳のあの男からだ。

 どうかエリーゼ様も王太子殿下の色のドレスやアクセサリーで登場しますようにと祈る私だった。
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