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いよいよ最終章(ミランダ視点)

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 シンシアが亡くなったことにして、フレデリック様の元へ旅立たあと、私は側妃から王妃に昇格した。

 カインロッドと婚約者のリンジー、フレデリック様の姪のアンジェラ達は貴族達が通う学園に入学した。

 どうやらカインロッドはマキリート伯爵の令嬢に言い寄られているらしい。

 アンジェラはマキリート令嬢が禁忌の魅了の魔法を使おうとしているかもしれないと言い出したそうで、無効化魔法が使えるリンジーがカインロッドやその側近達に魅了魔法の無効化の魔法をかけてくれた。これは何故がレオンハルトも知っていて、早めに魅了の魔法を封じる手立てを考えていた。

 さぁ、そろそろ最後の仕上げといきましょうか。

 マキリート伯爵は学生の頃から国王の腰巾着だった。元々は子爵だったのだが、手柄をあげ伯爵になった。何の手柄を上げたのかは誰も知らない。きっと美しい愛妾を沢山紹介した位の手柄だろう。謎の王命で伯爵となった事は貴族達は皆知っている。

 しかし、国王同様無能なので領地経営は上手く行っていない。お金を引き出す為に娘をランドルフかカインロッドに嫁がせようと企んでいた。

 ランドルフは留学したまま戻らないし、後ろ盾がない。カインロッドは婚約しているが、禁忌の魅了の魔法にかければ思いのままだと思っていたようだ。

 まさか、婚約者のリンジーが無効化魔法を使えるなんて夢にも思っていなかったのだろう。

 私は秘密の通路にある部屋でレオンと会っていた。

「マキリート伯爵に兄上は若い愛妾を欲しがっているようだ。誰かいないか? でもまぁ、すぐ飽きるだろうからなぁと耳打ちしておいた」

「相変わらず黒いわね」

 私は悪い顔で微笑んだ。

 いくら好色な国王でも相手は友達の娘だ。子供の頃から知っている、はいそうですかと愛妾にはしないだろう。きっと魅了の魔法をかけてくるはずだ。楽しみだな。

 私達の予想どおり、マキリート伯爵の令嬢は国王に近づいた。

 さすがに国王もそれは難しいと言っていたが、あっと言う間に愛妾になった。

 ドレスや宝石をねだり、やりたい放題だ。国王はどんどん深く魅了の魔法漬けになっている。もう、マキリート伯爵令嬢の言いなりだ。ここまで上手くいくとは思わなかった。

「ミランダ、マキリート伯爵令嬢が懐妊したらしいぞ。誰の子供なんだろうな?」

 レオンは悪い顔をして笑う。

 愛妾に子供ができるとややこしいので、国王には避妊魔法がかかっている。

 どれだけ交わっても子供はできない。それを知っているのは私とレオン、そしてフレデリック様とシンシア、ソフィアとジェフ、ライザとアーサーだけだ。

 リンジーなら解けるがリンジーは知らないし、解く必要もない。

「影に父親を調べさせるわ」

「もう、分かっている。その家も仲間とみなそう」

 やっぱりレオンは腹黒だわ。


 いよいよ最終章がはじまったわね。私はコーヒーをひと口飲んだ。

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