【完結】妻に逃げられた辺境伯に嫁ぐことになりました

金峯蓮華

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21話 結界

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 結界強化計画が始まった。

 この国は王家だけが移動魔法を使える。アルトゥール様や私もちょっとだけではあるが王家の血が流れているので、国王陛下の許可があれば移動魔法を使ってもいいのだ。

 アルトゥール様は国王に結界強化計画の為に私達と魔導士の移動魔法許可を申請した。

 国王陛下から『アルトゥール、並びにディートリントは王家の血が流れている。辺境の地は移動が困難を極めるゆえ、二人についてはここの判断で移動魔法を使うことを許す。二人が決定を下した時は二人以外の者を移動させることを許可する』と許可証が届いた。

 伯父様、グッジョブ! 勝手に移動魔法が使えるなんてすごく便利だ。辺境の地は広いので有難い。

 しかも、結界を張る様子を見たいと伯父様も来るという。全くフットワークの軽い王様だ。それに伯父様も魔法が使える。手伝ってもらおう。


◆◆  ◆


 私達は早速、結界魔導士達を持ち場に飛ばし、私達も領地の一番端に来た。

「今から結界の土台を作ります。ディーママ、強化魔法を掛けて」

 アンネリーゼの言葉に頷き、私はアンネリーゼが繰り出す魔法に強化魔法をかけていく。

 アルトゥール様がアンネリーゼの隣で結界を調整していたが、手を止めて私の顔を見た。

「ディー、こちらは大丈夫だ。私は北回りで調整していく。ディーは南回りで頼む」

「わかったわ。アル様、気をつけてね」

「あぁ、ディーもな。陛下、父上、モーリッツ、ラート、リーゼを頼むぞ」

「あぁ」

「わかった」

「承知いたしました」

「おう、任せろ」

 アンネリーゼのフォローと警護を陛下と義父、モーリッツ様、コンラート様に託し、私達は結界の調整のために各地にいる結界魔導士の元に飛んだ。

 私は魔導士達に増強魔法をかけていく。

「どう?」

「はい。すごいです。魔力が上がっています。魔力を放出しても身体から楽です。これならお嬢様がおっしゃる強度の結界が作れそうです」

「よかったわ。もう一息だから頑張ってね」

 私は背中をポンと叩いて、次の場所に移動する。

 途中でアルトゥール様とすれ違った。

「北側はいい感じだ。上手く張れている」

「南側もバッチリよ。元の地に着く頃には張り終わってそうですね」

 ぐるっと一周まわり、元の地点に戻ると、アンネリーゼは最後の空の部分を張っているところだった。

 私はもう一度、アンネリーゼに増強魔法をかけた。

 アンネリーゼをフォローしている義父やモーリッツ様にもかける。

 マグダレーナも頑張って魔力を出して結界を張っている。確かに魔力は強い。

 私は出来つつある結界にさらに増強魔法をかける。結界の強度はどんどん強くなる。

 なんとか結界を張り終えた。

 アンネリーゼはエマが用意してくれたサンドイッチをもぐもぐ食べている。

 張り終えた結界に、アルトゥール様が色々な魔法を付与していく。

 グローズクロイツ領の結界の張り直しが終わり、屋敷に戻った頃には、もう夜が深くなっていた。

 移動魔法で結界魔導士達も屋敷に戻ってきた。

 屋敷では、義母やエマ達が食事の準備をして待ってくれていた。

「皆さん、お疲れ様でした。さぁ、いっぱい食べてくださいね。お酒もたくさんありますよ」

 みんな、おいしそうに食べている。

 私はアンネリーゼの隣に立ち肩を叩いた。

「リーゼ、お疲れさま。やり遂げたわね」

「ディーママこそ、凄かったわ。初めて増強魔法をかけてもらったけど、体力や魔力が強くなっているのがよくわかった。増強魔法凄いわ」

 そうか、自分にはかけられないので体感がわからないが、そんなに凄いなら嬉しい。

「奥様、凄いです!」

「やはり、皆が言うように女神だった」

「お嬢様も凄い! グローズクロイツ領は安泰だ!」

 私達のチカラに対して疑心暗鬼だった結界魔導士達は口々にそんなことを言っている。

「ディーもリーゼも有難う。これで外からの脅威は軽減される。次は中の改革だな」

 アルトゥール様が微笑んでいる。

 私はとにかく眠い。

「アル様、眠いのでひと足先に下がらせてもらってもよろしいでしょうか?」

「ああ、気がつかなくて悪かった」

 アルトゥール様は私を抱き上げた。

「キャー! 領主様! 素敵!」
「愛ね~!」

 メイド達から黄色い声があがる。

 いやいや、恥ずかしいって。

 ふと見ると、アンネリーゼとマグダレーナがニヤニヤ笑っている。

「ディーママ、お父様、お疲れ様。お父様、ディーママをよろしくお願いします」

「リーゼは大丈夫か?」

「私は大丈夫です。どうやらディーママは睡眠で回復するタイプみたいですね。私は食事で回復するみたいなので食べたら復活できます。お父様は愛で復活ですね」

 ニヤニヤしながら何が言っているが眠すぎてよく聞こえなかった。愛がなんとかかんとか……」

「では、私達は下がる。みんなは楽しくやってくれ。明日は休みだ」

「「「「お~!」」」」

 みんな夜中だからか、やけにテンションが高い。

 私達はホールから出た。廊下をアルトゥール様にお姫様抱っこされながら歩いているようだ。楽ちんだな。

 それにしてもグローズクロイツ領に来てから毎日忙し過ぎる。

 まだまだやることがいっぱいだ。

 まさか、今夜は閨事はないだろう。でもさっき、アルトゥール様のエネルギー源は愛だと言っていたような……。愛って愛よね? そっちじゃないわよね。

 私はビビりながら眠りに落ちていった。


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