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我儘と新しい出会い
事件から1週間経ち、王宮はかなり落ち着いてきた。
側妃様と王弟殿下の派閥だった貴族たちはなんやかんやと罪が表に出てきて捕らえられたり、廃爵したりした。
我がメトロファン伯爵家は特に何も変わりなくのんびりしている。
今日は私はウェディングドレスの仮縫いをしてもらっている。
お母さまとお義母さまは嬉しそうに私のドレスを眺めている。
ウェディングドレスの仮縫いは2回目だ。
第2王子の婚約者だった時にもしたことがある。あのドレスどうなったのだろう?
お義母さまにもったいないからあれでいいと言ったら「とんでもない!」と怒られてしまった。
それにしてもまだユリウス様と結婚するなんてピンとこない。まぁ、第2王子の時もピンてこなかったけどね。
私はまだ結婚よりも勉強したり、遊んだりしたい。
クリス様は結婚するってことにピンときてるのかな?
私はお義母さまたちにバレないように小さくため息をついた。
明日はユリウス様とお買い物に行く約束をしている。
薔薇園事件の時に行くはずだったお店に行くらしい。美味しいスイーツも食べられるようなので、楽しみといえば楽しみなんだけどね。
お店でドレスやら宝石やらを見だけれど、これといって欲しいものはなかった。
ユリウス様は結婚式の時に東国ではやっている指輪の交換をしようとおっしゃり、お揃いの指輪をオーダーした。
私の指輪はユリウス様の髪色のプラチナブロンドに合わせたプラチナとゴールド、そして瞳の色のタンザナイトをあしらった。
ユリウス様の指輪は私の髪色のシャンパンゴールドに瞳の色のアメシスト。
来週には出来上がるそうだ。
ウェディングドレスや指輪を作り、いよいよ結婚するんだなぁと思うけど、まだ実感がわかない。私は余程往生際が悪いのだろう。
「ヴィオ、どうしたの? なんだか浮かない顔だね」
おっと、顔にでていたのか? せっかく王子妃教育受けたのに、活かされてないや。
「暑さのせいですかね。なんだか体調がすぐれなくて……」
咄嗟に嘘をついた。
「そうだね。湿度が高いからドレスを着ていると辛いよね」
ユリウス様は指をパチンと鳴らした。
馬車の中に爽やかな風が吹いてくる。温度も少し下がったようだ、
「魔法ですか?」
「うん。私は水、氷、風の魔法が得意なんだ」
それで怒ると寒くなるのか。
「気持ちいいです。ありがとうございます」
「ヴィオが喜ぶならなんでもするよ。もっと私に我儘を言って欲しい。私は頼りにならないかな?」
そう言われてもなぁ。頼りになるかならないかといえば、間違いなく頼りになるけれどね。
我儘を言えと言われても、特に希望はないのよね~。
欲しいものも特にないし、やりたいことはだいたいやれているし。
第2王子と結婚するのだけが嫌だったけど、それも無くなったし、今、めっちゃ快適なんだけどね。
あっ、あった。ひとつだけ。
「頼りになりますよ。信頼しています。それでは、我儘を言ってもよろしいですか?」
「もちろん」
ユリウス様は私の顔を覗き込んだ。
「結婚を延期してもらえないでしょうか」
ユリウス様は一瞬固まった。
「なぜ? 理由は? 私が嫌なのかな?」
「いえ、ユリウス様が嫌だとかそんなことはないのです。ただ今の私はユリウス様には相応しくないような気がして。
もう少し大人になるまで待ってもらうのはダメですか? その間にお好きな方ができればその方と結婚してもらっても……」
「それは聞けない」
私の話はユリウスの言葉に遮れた。気のせいか馬車の中が爽やかな風どころか極寒になってませんか?
「私が嫌いでないのなら、結婚してから大人になればいい。それにヴィオ以外に好きな女などできる訳がない」
も~、我儘言えと言ったくせに。
「我儘でした。申し訳ありません。もう言いませんわ」
私は臍を曲げたような顔をしてやった。
それからユリウス様は私の機嫌を取るような話をしていたが、無関心な態度で相槌を打つだけにした。
馬車が屋敷に到着した。
「今日はありがとうございました」
私はユリウスさまのエスコートを待たずに馬車からピョンと降り、スタスタと屋敷に入って行った。
ユリウス様がどんな顔をしていたか知らないけど、我儘を言えと言ったのだ。我儘にさせてもらう。
「ヴィオお帰り。どうしたユリウス君と喧嘩でもしたか?」
「喧嘩するほど仲良くありませんわ」
私の答えにお父さまはくすくす笑っていた。
あれ、誰かお客様かな?
サロンに見知らぬ男女が座っている。男性は私と同じ歳くらいで、女性は少し若いかなぁ?
お父さまが私にお二人を紹介した。
「ヴィオ、今日からしばらくうちに滞在することになった、私の甥のフィルと姪のライザだ」
お父さまの甥と姪って?
「メトロファン伯爵家の長女のヴィオレッタでございます」
私はとりあえずカーテシーをした。
「フィリップス・ヴァンガーリンです。しばらくお世話になります」
「妹のエリザベス・ヴァンガーリンです。よろしくお願いします」
綺麗なカーテシーだ。
ヴァンガーリンということは、ヴァンガーリン国の王族か?
普段すっかり忘れているが、お父さまはヴァンガーリン国の国王陛下の弟だ。
「第3王子のお見合いよ」
お母さまはふふふと笑う。
妹の見合いに兄が付いてきたのか?
「叔父上のところに一度来てみたかったので、この、機会にライザについてきました。従兄弟のヴィオレッタ嬢やリカルド殿にもお会いしたかった」
フィリップ様は私の手を取りキスをした。
いや~、こんなことユリウス様以外からされたことない。
私は真っ赤になってしまったようだ。
側妃様と王弟殿下の派閥だった貴族たちはなんやかんやと罪が表に出てきて捕らえられたり、廃爵したりした。
我がメトロファン伯爵家は特に何も変わりなくのんびりしている。
今日は私はウェディングドレスの仮縫いをしてもらっている。
お母さまとお義母さまは嬉しそうに私のドレスを眺めている。
ウェディングドレスの仮縫いは2回目だ。
第2王子の婚約者だった時にもしたことがある。あのドレスどうなったのだろう?
お義母さまにもったいないからあれでいいと言ったら「とんでもない!」と怒られてしまった。
それにしてもまだユリウス様と結婚するなんてピンとこない。まぁ、第2王子の時もピンてこなかったけどね。
私はまだ結婚よりも勉強したり、遊んだりしたい。
クリス様は結婚するってことにピンときてるのかな?
私はお義母さまたちにバレないように小さくため息をついた。
明日はユリウス様とお買い物に行く約束をしている。
薔薇園事件の時に行くはずだったお店に行くらしい。美味しいスイーツも食べられるようなので、楽しみといえば楽しみなんだけどね。
お店でドレスやら宝石やらを見だけれど、これといって欲しいものはなかった。
ユリウス様は結婚式の時に東国ではやっている指輪の交換をしようとおっしゃり、お揃いの指輪をオーダーした。
私の指輪はユリウス様の髪色のプラチナブロンドに合わせたプラチナとゴールド、そして瞳の色のタンザナイトをあしらった。
ユリウス様の指輪は私の髪色のシャンパンゴールドに瞳の色のアメシスト。
来週には出来上がるそうだ。
ウェディングドレスや指輪を作り、いよいよ結婚するんだなぁと思うけど、まだ実感がわかない。私は余程往生際が悪いのだろう。
「ヴィオ、どうしたの? なんだか浮かない顔だね」
おっと、顔にでていたのか? せっかく王子妃教育受けたのに、活かされてないや。
「暑さのせいですかね。なんだか体調がすぐれなくて……」
咄嗟に嘘をついた。
「そうだね。湿度が高いからドレスを着ていると辛いよね」
ユリウス様は指をパチンと鳴らした。
馬車の中に爽やかな風が吹いてくる。温度も少し下がったようだ、
「魔法ですか?」
「うん。私は水、氷、風の魔法が得意なんだ」
それで怒ると寒くなるのか。
「気持ちいいです。ありがとうございます」
「ヴィオが喜ぶならなんでもするよ。もっと私に我儘を言って欲しい。私は頼りにならないかな?」
そう言われてもなぁ。頼りになるかならないかといえば、間違いなく頼りになるけれどね。
我儘を言えと言われても、特に希望はないのよね~。
欲しいものも特にないし、やりたいことはだいたいやれているし。
第2王子と結婚するのだけが嫌だったけど、それも無くなったし、今、めっちゃ快適なんだけどね。
あっ、あった。ひとつだけ。
「頼りになりますよ。信頼しています。それでは、我儘を言ってもよろしいですか?」
「もちろん」
ユリウス様は私の顔を覗き込んだ。
「結婚を延期してもらえないでしょうか」
ユリウス様は一瞬固まった。
「なぜ? 理由は? 私が嫌なのかな?」
「いえ、ユリウス様が嫌だとかそんなことはないのです。ただ今の私はユリウス様には相応しくないような気がして。
もう少し大人になるまで待ってもらうのはダメですか? その間にお好きな方ができればその方と結婚してもらっても……」
「それは聞けない」
私の話はユリウスの言葉に遮れた。気のせいか馬車の中が爽やかな風どころか極寒になってませんか?
「私が嫌いでないのなら、結婚してから大人になればいい。それにヴィオ以外に好きな女などできる訳がない」
も~、我儘言えと言ったくせに。
「我儘でした。申し訳ありません。もう言いませんわ」
私は臍を曲げたような顔をしてやった。
それからユリウス様は私の機嫌を取るような話をしていたが、無関心な態度で相槌を打つだけにした。
馬車が屋敷に到着した。
「今日はありがとうございました」
私はユリウスさまのエスコートを待たずに馬車からピョンと降り、スタスタと屋敷に入って行った。
ユリウス様がどんな顔をしていたか知らないけど、我儘を言えと言ったのだ。我儘にさせてもらう。
「ヴィオお帰り。どうしたユリウス君と喧嘩でもしたか?」
「喧嘩するほど仲良くありませんわ」
私の答えにお父さまはくすくす笑っていた。
あれ、誰かお客様かな?
サロンに見知らぬ男女が座っている。男性は私と同じ歳くらいで、女性は少し若いかなぁ?
お父さまが私にお二人を紹介した。
「ヴィオ、今日からしばらくうちに滞在することになった、私の甥のフィルと姪のライザだ」
お父さまの甥と姪って?
「メトロファン伯爵家の長女のヴィオレッタでございます」
私はとりあえずカーテシーをした。
「フィリップス・ヴァンガーリンです。しばらくお世話になります」
「妹のエリザベス・ヴァンガーリンです。よろしくお願いします」
綺麗なカーテシーだ。
ヴァンガーリンということは、ヴァンガーリン国の王族か?
普段すっかり忘れているが、お父さまはヴァンガーリン国の国王陛下の弟だ。
「第3王子のお見合いよ」
お母さまはふふふと笑う。
妹の見合いに兄が付いてきたのか?
「叔父上のところに一度来てみたかったので、この、機会にライザについてきました。従兄弟のヴィオレッタ嬢やリカルド殿にもお会いしたかった」
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私は真っ赤になってしまったようだ。
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