【完結】婚約解消したら消されます。王家の秘密を知る王太子の婚約者は生き残る道を模索する

金峯蓮華

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これでよかったのではないか(エアハルト視点)

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 父から連絡が来たのは少し前のことだった。

 俺は一応、ラメルテオン王国のノルバスク公爵家の嫡男だが、貴族が嫌で国を飛び出し、冒険者をしながらあちこちの国を放浪していた。

 ふと立ち寄ったゾニサミド王国は獣人と人間がうまく一緒に暮らしている不思議な国だった。

 貴族、平民がいるが、獣人だからか、ラメルテオン王国みたいに堅苦しい縛りはなく、自由だった。魔獣が多く、冒険者としての仕事も沢山あり、生活には困らない。
俺はこの国が気に入りしばらく暮らすことにした。

 冒険者として登録する為にギルドに行き、そこでクマ獣人のディートヘルムと知り合った。ディートは辺境伯家の嫡男。クマだし、でかいし、いつも魔獣と戦っているだけあって強いし、魔法の腕も良い。そして貴族らしくないざっくばらんな良いやつだった。魔法が使える俺は辺境の地での仕事依頼も多く、いつのまにかやつとバディになっていた。

 王都での夏祭りで出会った黒豹獣人のリサに番だと言われ、猛アタックを受け、逃げられなくなり、フランドル伯爵家の婿になった。

 よそ者なのに大丈夫か? と心配したが、番ならオールOKらしい。

 獣人は番至上主義で番が全て。番に出会えたのなら、それ以上の幸せはないらしく、みんな祝福してくれた。

 リサはとても良い女でアタックされているうちに好きになった。今では子供もふたりいる。

 結婚する時に父には知らせた。嫡男なのに申し訳ないなぁと言ったら、ここだけの話、ラメルテオン王国はもうダメだと言う。詳しく話を聞いてみて驚いた。

 王家を見限ったミカルディスが裏でプロスタンディン王国に国を売ろうとしているらしい。
 プロスタンディン王国は他国に攻め入り占領し、その国の国民を奴隷するような国だ。
 ミカルディスは暗部としての腕を買われ、自分達だけは良い条件で迎え入れてもらうようだ。
 情報を掴んだ宰相のメドレニックと父が手を組み、セフォチアム王国の属国になるように秘密裏に動いているとの事だった。

 そんな時、王太子がキシロカインの令嬢のエルとの婚約を破棄した。
 そしてどうやらエルはゾニサミドに逃げてきているらしい。

 ミカルディスは王家を排除して、王位継承権のある俺を国王にして、エルを王妃にすると言い出したらしい。

 プロスタンディンはきっとエルの魔力がほしいのだろう。俺は捨て駒だな。

 宰相と父、そして成り行きで引き込まれたキシロカイン公爵が結託しプロスタンディンが介入してくる前に、俺が何も知らないふりをして、ミカルディスに見つかり、国に戻った。
 ミカルディスが油断した、その時にセフォチアム王国の軍隊を入れることに成功した。

 もちろん父達の書いた筋書きどおりだ。

 ミカルディス公爵家はセフォチアム軍に拘束された。

 ラメルテオンはこれからはセフォチアム王国の属国として、宰相と父の改革組がメインになり、王国ではなく、議会制の国に変えていくらしい。

 キシロカイン家は公爵夫妻がリズミック王国に移住したので嫡男のマリウスが継いだ。
 マリウスと宰相の嫡男のテオドール、俺の妹のペネロペは改革組の協力者だ。
 まぁ、若い奴らが前に出て頑張ればラメルテオンも良くなるだろう。
 俺はお役に御免だな。

 それにしてもエルがディートの番だったとはかなり驚いた。

 獣人の愛はすごいぞ。思いぞ。深いぞ。
いままで政略結婚で王太子の婚約者をしていたエルは面食らうだろうなぁ。

 人間同士が揉めて戦うより、魔獣を倒す方がまだましだな。

 俺はラメルテオンの家族に別れを告げ、愛するリサと子供達の待つゾニサミド王国に移動魔法で飛んで帰った。
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