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どうなってるんだ? (ハインリッヒ視点)
「ハインリッヒ、今日の夜会が始まる前にデビュタントの挨拶に参加することになった。お前も私の護衛として謁見の間についてくれ。謁見が終わったら会場の警備に戻ってくれていい」
俺は王太子殿下に言われ驚いた。
(謁見の間ですか? 私がいて大丈夫でしょうか?」
「ああ、大丈夫だろう。私の後ろだし、挨拶に来た子息、令嬢達からは
そんなに見えないはずだ。それに皆、緊張しているのでお前のことなど気にならないと思うぞ」
殿下は執務をしながら俺の顔を見る。
「よく見ると、整っているし、なかなかのイケメンなのだが、その威圧感のある大きな身体と頬の傷が令嬢達には恐怖の対象なのだろうな。私やこの国にとっては頼もしい存在なんだがな」
俺はこの国の騎士団に所属していて、今は王太子殿下の護衛騎士をしている。同じ年の殿下とは子供の頃からの縁だ。騎士の家門に生まれた俺は生まれながらにして、王太子殿下の側近、護衛騎士となることが運命づけられていた。
生まれつき身体が大きく、口下手で無表情な俺は威圧感があるらしく、騎士などしているせいか眼光も鋭いらしい。その上、魔物との戦いで頬に目立つ傷をおってしまい、怖さに拍車がかかったようだ。
それゆえ、この年になってもまだ婚約者すらいない。まぁ、殿下も婚約していないのでよしとしよう。どうやら親も俺が結婚することは半ば諦めているようだ。
デビュタントが挨拶に来る謁見の間の護衛なんて気が重い。出来るだけ気配を消しておこう。
『シュープリームス侯爵家シャーロット嬢』
次の名前が呼ばれている。
次はシュープリームス侯爵の令嬢か。
小さいな。小動物みたいだ。父親は泣く子も黙る宮廷魔導士団の団長だから、あの令嬢も魔法の腕は凄いのだろうか?
俺はそんなことを思いながら陛下と令嬢の会話を聞いていた。
「おめでとうシャーロット嬢」
「敬愛なる国王陛下、王妃様、王太子殿下、本日は夜会にご招待いただきありがとうございます。これからは貴族の一員として、この国にお尽くしする所存でございます」
「よろしく頼むぞ。頭を上げなさい」
陛下の言葉に顔を上げた令嬢と目が合ってしまった。
令嬢は顔を真っ赤にして固まっている。ヤバい。怖すぎて発熱したのか?
俺は魔力を強めにして気配を薄くした。
「シャーロット嬢はどうしたのかしら? なんだか固まっていたわね」
王妃様が口を開いた。
「アーノルドを見てときめいたのだろうか? それともハインリッヒが怖かったのだろうか?」
国王陛下、それはひどいです。
「いや、あれはひと目惚れだな。アーノルド、シャーロット嬢はどうだ?」
確かに陛下の言う通り、アーノルド殿下とシャーロット嬢なら美男美女で似合いだろう。
「私好みではないですね。ハインリッヒどうだ」
アーノルド殿下が突然振ってきたので、俺は慌てて咳き込んでしまった。
謁見の間の警護を終えほっとした。今年も沢山の子ども達が夜会にデビューする。夜会の間、俺は会場ではなく周辺の警備をする。
もうシャーロット嬢に会うことも無いだろう。同じ爵位ではあるが、俺となど釣り合うはずもない……えっ? 俺は何を考えているんだ。
つまらないことなど考えないで、仕事をしよう。
会場の周りを巡回していると、前に立ち尽くしている令嬢らしき姿を発見し、俺は声をかけた。
爆発物や薬物などを仕掛けている輩かもしれない。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
俺の声に振り返ったその人はシャーロット嬢だった。
俺の顔が怖かったのがシャーロット嬢は固まっている。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
やはり、俺が怖いんだな。
シャーロット嬢は顔を真っ赤にしている。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
私が怖いにきまっているのに、私になど気を使わなくていい。
俺は右手を差し出し今来た方向を指差した。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやらシャーロット嬢は反対の方向に歩いてきてしまったようだ。
「では、失礼致します」
一礼し、奥の方に向かって歩き出した。早くこの場を離れたい。あんな可愛い人に怖がれては、さすがの俺も辛い。
奥に向かって歩きだした俺の背後から走っているような足音が聞こえてきた。
「お待ち下さい!」
シャーロット嬢が追いかけてきたのか?
「何か?」
俺が振り向くと。シャーロット嬢はの腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
突然そんなことを言われ俺はかたまってしまった。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
シャーロット嬢は俺の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれているようだ。ちょっと待て、これはどういうことだ。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと俺はシャーロットの腕を振り解こうとした。
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
俺の声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
こんな姿を見られてはシャーロット嬢に悪い噂が立つかもしれない。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
どうして離れないんだ。シャーロット嬢! 早く離れてくれ。
シャーロット嬢が俺の顔を見つめる。
「私ではだめですか?」
「何を言っている」
「私は貴方様が好きです」
そんな事を急に言われ俺は思考が停止した。
俺は王太子殿下に言われ驚いた。
(謁見の間ですか? 私がいて大丈夫でしょうか?」
「ああ、大丈夫だろう。私の後ろだし、挨拶に来た子息、令嬢達からは
そんなに見えないはずだ。それに皆、緊張しているのでお前のことなど気にならないと思うぞ」
殿下は執務をしながら俺の顔を見る。
「よく見ると、整っているし、なかなかのイケメンなのだが、その威圧感のある大きな身体と頬の傷が令嬢達には恐怖の対象なのだろうな。私やこの国にとっては頼もしい存在なんだがな」
俺はこの国の騎士団に所属していて、今は王太子殿下の護衛騎士をしている。同じ年の殿下とは子供の頃からの縁だ。騎士の家門に生まれた俺は生まれながらにして、王太子殿下の側近、護衛騎士となることが運命づけられていた。
生まれつき身体が大きく、口下手で無表情な俺は威圧感があるらしく、騎士などしているせいか眼光も鋭いらしい。その上、魔物との戦いで頬に目立つ傷をおってしまい、怖さに拍車がかかったようだ。
それゆえ、この年になってもまだ婚約者すらいない。まぁ、殿下も婚約していないのでよしとしよう。どうやら親も俺が結婚することは半ば諦めているようだ。
デビュタントが挨拶に来る謁見の間の護衛なんて気が重い。出来るだけ気配を消しておこう。
『シュープリームス侯爵家シャーロット嬢』
次の名前が呼ばれている。
次はシュープリームス侯爵の令嬢か。
小さいな。小動物みたいだ。父親は泣く子も黙る宮廷魔導士団の団長だから、あの令嬢も魔法の腕は凄いのだろうか?
俺はそんなことを思いながら陛下と令嬢の会話を聞いていた。
「おめでとうシャーロット嬢」
「敬愛なる国王陛下、王妃様、王太子殿下、本日は夜会にご招待いただきありがとうございます。これからは貴族の一員として、この国にお尽くしする所存でございます」
「よろしく頼むぞ。頭を上げなさい」
陛下の言葉に顔を上げた令嬢と目が合ってしまった。
令嬢は顔を真っ赤にして固まっている。ヤバい。怖すぎて発熱したのか?
俺は魔力を強めにして気配を薄くした。
「シャーロット嬢はどうしたのかしら? なんだか固まっていたわね」
王妃様が口を開いた。
「アーノルドを見てときめいたのだろうか? それともハインリッヒが怖かったのだろうか?」
国王陛下、それはひどいです。
「いや、あれはひと目惚れだな。アーノルド、シャーロット嬢はどうだ?」
確かに陛下の言う通り、アーノルド殿下とシャーロット嬢なら美男美女で似合いだろう。
「私好みではないですね。ハインリッヒどうだ」
アーノルド殿下が突然振ってきたので、俺は慌てて咳き込んでしまった。
謁見の間の警護を終えほっとした。今年も沢山の子ども達が夜会にデビューする。夜会の間、俺は会場ではなく周辺の警備をする。
もうシャーロット嬢に会うことも無いだろう。同じ爵位ではあるが、俺となど釣り合うはずもない……えっ? 俺は何を考えているんだ。
つまらないことなど考えないで、仕事をしよう。
会場の周りを巡回していると、前に立ち尽くしている令嬢らしき姿を発見し、俺は声をかけた。
爆発物や薬物などを仕掛けている輩かもしれない。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
俺の声に振り返ったその人はシャーロット嬢だった。
俺の顔が怖かったのがシャーロット嬢は固まっている。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
やはり、俺が怖いんだな。
シャーロット嬢は顔を真っ赤にしている。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
私が怖いにきまっているのに、私になど気を使わなくていい。
俺は右手を差し出し今来た方向を指差した。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやらシャーロット嬢は反対の方向に歩いてきてしまったようだ。
「では、失礼致します」
一礼し、奥の方に向かって歩き出した。早くこの場を離れたい。あんな可愛い人に怖がれては、さすがの俺も辛い。
奥に向かって歩きだした俺の背後から走っているような足音が聞こえてきた。
「お待ち下さい!」
シャーロット嬢が追いかけてきたのか?
「何か?」
俺が振り向くと。シャーロット嬢はの腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
突然そんなことを言われ俺はかたまってしまった。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
シャーロット嬢は俺の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれているようだ。ちょっと待て、これはどういうことだ。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと俺はシャーロットの腕を振り解こうとした。
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
俺の声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
こんな姿を見られてはシャーロット嬢に悪い噂が立つかもしれない。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
どうして離れないんだ。シャーロット嬢! 早く離れてくれ。
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「私ではだめですか?」
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そんな事を急に言われ俺は思考が停止した。
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