3 / 11
どうなってるんだ? (ハインリッヒ視点)
しおりを挟む
「ハインリッヒ、今日の夜会が始まる前にデビュタントの挨拶に参加することになった。お前も私の護衛として謁見の間についてくれ。謁見が終わったら会場の警備に戻ってくれていい」
俺は王太子殿下に言われ驚いた。
(謁見の間ですか? 私がいて大丈夫でしょうか?」
「ああ、大丈夫だろう。私の後ろだし、挨拶に来た子息、令嬢達からは
そんなに見えないはずだ。それに皆、緊張しているのでお前のことなど気にならないと思うぞ」
殿下は執務をしながら俺の顔を見る。
「よく見ると、整っているし、なかなかのイケメンなのだが、その威圧感のある大きな身体と頬の傷が令嬢達には恐怖の対象なのだろうな。私やこの国にとっては頼もしい存在なんだがな」
俺はこの国の騎士団に所属していて、今は王太子殿下の護衛騎士をしている。同じ年の殿下とは子供の頃からの縁だ。騎士の家門に生まれた俺は生まれながらにして、王太子殿下の側近、護衛騎士となることが運命づけられていた。
生まれつき身体が大きく、口下手で無表情な俺は威圧感があるらしく、騎士などしているせいか眼光も鋭いらしい。その上、魔物との戦いで頬に目立つ傷をおってしまい、怖さに拍車がかかったようだ。
それゆえ、この年になってもまだ婚約者すらいない。まぁ、殿下も婚約していないのでよしとしよう。どうやら親も俺が結婚することは半ば諦めているようだ。
デビュタントが挨拶に来る謁見の間の護衛なんて気が重い。出来るだけ気配を消しておこう。
『シュープリームス侯爵家シャーロット嬢』
次の名前が呼ばれている。
次はシュープリームス侯爵の令嬢か。
小さいな。小動物みたいだ。父親は泣く子も黙る宮廷魔導士団の団長だから、あの令嬢も魔法の腕は凄いのだろうか?
俺はそんなことを思いながら陛下と令嬢の会話を聞いていた。
「おめでとうシャーロット嬢」
「敬愛なる国王陛下、王妃様、王太子殿下、本日は夜会にご招待いただきありがとうございます。これからは貴族の一員として、この国にお尽くしする所存でございます」
「よろしく頼むぞ。頭を上げなさい」
陛下の言葉に顔を上げた令嬢と目が合ってしまった。
令嬢は顔を真っ赤にして固まっている。ヤバい。怖すぎて発熱したのか?
俺は魔力を強めにして気配を薄くした。
「シャーロット嬢はどうしたのかしら? なんだか固まっていたわね」
王妃様が口を開いた。
「アーノルドを見てときめいたのだろうか? それともハインリッヒが怖かったのだろうか?」
国王陛下、それはひどいです。
「いや、あれはひと目惚れだな。アーノルド、シャーロット嬢はどうだ?」
確かに陛下の言う通り、アーノルド殿下とシャーロット嬢なら美男美女で似合いだろう。
「私好みではないですね。ハインリッヒどうだ」
アーノルド殿下が突然振ってきたので、俺は慌てて咳き込んでしまった。
謁見の間の警護を終えほっとした。今年も沢山の子ども達が夜会にデビューする。夜会の間、俺は会場ではなく周辺の警備をする。
もうシャーロット嬢に会うことも無いだろう。同じ爵位ではあるが、俺となど釣り合うはずもない……えっ? 俺は何を考えているんだ。
つまらないことなど考えないで、仕事をしよう。
会場の周りを巡回していると、前に立ち尽くしている令嬢らしき姿を発見し、俺は声をかけた。
爆発物や薬物などを仕掛けている輩かもしれない。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
俺の声に振り返ったその人はシャーロット嬢だった。
俺の顔が怖かったのがシャーロット嬢は固まっている。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
やはり、俺が怖いんだな。
シャーロット嬢は顔を真っ赤にしている。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
私が怖いにきまっているのに、私になど気を使わなくていい。
俺は右手を差し出し今来た方向を指差した。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやらシャーロット嬢は反対の方向に歩いてきてしまったようだ。
「では、失礼致します」
一礼し、奥の方に向かって歩き出した。早くこの場を離れたい。あんな可愛い人に怖がれては、さすがの俺も辛い。
奥に向かって歩きだした俺の背後から走っているような足音が聞こえてきた。
「お待ち下さい!」
シャーロット嬢が追いかけてきたのか?
「何か?」
俺が振り向くと。シャーロット嬢はの腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
突然そんなことを言われ俺はかたまってしまった。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
シャーロット嬢は俺の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれているようだ。ちょっと待て、これはどういうことだ。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと俺はシャーロットの腕を振り解こうとした。
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
俺の声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
こんな姿を見られてはシャーロット嬢に悪い噂が立つかもしれない。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
どうして離れないんだ。シャーロット嬢! 早く離れてくれ。
シャーロット嬢が俺の顔を見つめる。
「私ではだめですか?」
「何を言っている」
「私は貴方様が好きです」
そんな事を急に言われ俺は思考が停止した。
俺は王太子殿下に言われ驚いた。
(謁見の間ですか? 私がいて大丈夫でしょうか?」
「ああ、大丈夫だろう。私の後ろだし、挨拶に来た子息、令嬢達からは
そんなに見えないはずだ。それに皆、緊張しているのでお前のことなど気にならないと思うぞ」
殿下は執務をしながら俺の顔を見る。
「よく見ると、整っているし、なかなかのイケメンなのだが、その威圧感のある大きな身体と頬の傷が令嬢達には恐怖の対象なのだろうな。私やこの国にとっては頼もしい存在なんだがな」
俺はこの国の騎士団に所属していて、今は王太子殿下の護衛騎士をしている。同じ年の殿下とは子供の頃からの縁だ。騎士の家門に生まれた俺は生まれながらにして、王太子殿下の側近、護衛騎士となることが運命づけられていた。
生まれつき身体が大きく、口下手で無表情な俺は威圧感があるらしく、騎士などしているせいか眼光も鋭いらしい。その上、魔物との戦いで頬に目立つ傷をおってしまい、怖さに拍車がかかったようだ。
それゆえ、この年になってもまだ婚約者すらいない。まぁ、殿下も婚約していないのでよしとしよう。どうやら親も俺が結婚することは半ば諦めているようだ。
デビュタントが挨拶に来る謁見の間の護衛なんて気が重い。出来るだけ気配を消しておこう。
『シュープリームス侯爵家シャーロット嬢』
次の名前が呼ばれている。
次はシュープリームス侯爵の令嬢か。
小さいな。小動物みたいだ。父親は泣く子も黙る宮廷魔導士団の団長だから、あの令嬢も魔法の腕は凄いのだろうか?
俺はそんなことを思いながら陛下と令嬢の会話を聞いていた。
「おめでとうシャーロット嬢」
「敬愛なる国王陛下、王妃様、王太子殿下、本日は夜会にご招待いただきありがとうございます。これからは貴族の一員として、この国にお尽くしする所存でございます」
「よろしく頼むぞ。頭を上げなさい」
陛下の言葉に顔を上げた令嬢と目が合ってしまった。
令嬢は顔を真っ赤にして固まっている。ヤバい。怖すぎて発熱したのか?
俺は魔力を強めにして気配を薄くした。
「シャーロット嬢はどうしたのかしら? なんだか固まっていたわね」
王妃様が口を開いた。
「アーノルドを見てときめいたのだろうか? それともハインリッヒが怖かったのだろうか?」
国王陛下、それはひどいです。
「いや、あれはひと目惚れだな。アーノルド、シャーロット嬢はどうだ?」
確かに陛下の言う通り、アーノルド殿下とシャーロット嬢なら美男美女で似合いだろう。
「私好みではないですね。ハインリッヒどうだ」
アーノルド殿下が突然振ってきたので、俺は慌てて咳き込んでしまった。
謁見の間の警護を終えほっとした。今年も沢山の子ども達が夜会にデビューする。夜会の間、俺は会場ではなく周辺の警備をする。
もうシャーロット嬢に会うことも無いだろう。同じ爵位ではあるが、俺となど釣り合うはずもない……えっ? 俺は何を考えているんだ。
つまらないことなど考えないで、仕事をしよう。
会場の周りを巡回していると、前に立ち尽くしている令嬢らしき姿を発見し、俺は声をかけた。
爆発物や薬物などを仕掛けている輩かもしれない。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
俺の声に振り返ったその人はシャーロット嬢だった。
俺の顔が怖かったのがシャーロット嬢は固まっている。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
やはり、俺が怖いんだな。
シャーロット嬢は顔を真っ赤にしている。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
私が怖いにきまっているのに、私になど気を使わなくていい。
俺は右手を差し出し今来た方向を指差した。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやらシャーロット嬢は反対の方向に歩いてきてしまったようだ。
「では、失礼致します」
一礼し、奥の方に向かって歩き出した。早くこの場を離れたい。あんな可愛い人に怖がれては、さすがの俺も辛い。
奥に向かって歩きだした俺の背後から走っているような足音が聞こえてきた。
「お待ち下さい!」
シャーロット嬢が追いかけてきたのか?
「何か?」
俺が振り向くと。シャーロット嬢はの腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
突然そんなことを言われ俺はかたまってしまった。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
シャーロット嬢は俺の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれているようだ。ちょっと待て、これはどういうことだ。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと俺はシャーロットの腕を振り解こうとした。
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
俺の声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
こんな姿を見られてはシャーロット嬢に悪い噂が立つかもしれない。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
どうして離れないんだ。シャーロット嬢! 早く離れてくれ。
シャーロット嬢が俺の顔を見つめる。
「私ではだめですか?」
「何を言っている」
「私は貴方様が好きです」
そんな事を急に言われ俺は思考が停止した。
58
あなたにおすすめの小説
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
【完結】私の愛する人は、あなただけなのだから
よどら文鳥
恋愛
私ヒマリ=ファールドとレン=ジェイムスは、小さい頃から仲が良かった。
五年前からは恋仲になり、その後両親をなんとか説得して婚約まで発展した。
私たちは相思相愛で理想のカップルと言えるほど良い関係だと思っていた。
だが、レンからいきなり婚約破棄して欲しいと言われてしまう。
「俺には最愛の女性がいる。その人の幸せを第一に考えている」
この言葉を聞いて涙を流しながらその場を去る。
あれほど酷いことを言われってしまったのに、私はそれでもレンのことばかり考えてしまっている。
婚約破棄された当日、ギャレット=メルトラ第二王子殿下から縁談の話が来ていることをお父様から聞く。
両親は恋人ごっこなど終わりにして王子と結婚しろと強く言われてしまう。
だが、それでも私の心の中には……。
※冒頭はざまぁっぽいですが、ざまぁがメインではありません。
※第一話投稿の段階で完結まで全て書き終えていますので、途中で更新が止まることはありませんのでご安心ください。
番など、今さら不要である
池家乃あひる
恋愛
前作「番など、御免こうむる」の後日談です。
任務を終え、無事に国に戻ってきたセリカ。愛しいダーリンと再会し、屋敷でお茶をしている平和な一時。
その和やかな光景を壊したのは、他でもないセリカ自身であった。
「そういえば、私の番に会ったぞ」
※バカップルならぬバカ夫婦が、ただイチャイチャしているだけの話になります。
※前回は恋愛要素が低かったのでヒューマンドラマで設定いたしましたが、今回はイチャついているだけなので恋愛ジャンルで登録しております。
ヤンデレ王子に鉄槌を
ましろ
恋愛
私がサフィア王子と婚約したのは7歳のとき。彼は13歳だった。
……あれ、変態?
そう、ただいま走馬灯がかけ巡っておりました。だって人生最大のピンチだったから。
「愛しいアリアネル。君が他の男を見つめるなんて許せない」
そう。殿下がヤンデレ……いえ、病んでる発言をして部屋に鍵を掛け、私をベッドに押し倒したから!
「君は僕だけのものだ」
いやいやいやいや。私は私のものですよ!
何とか救いを求めて脳内がフル稼働したらどうやら現世だけでは足りずに前世まで漁くってしまったみたいです。
逃げられるか、私っ!
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
運命の人は貴方ではなかった
富士山のぼり
恋愛
「パウラ・ ヴィンケル……君との婚約は破棄させてもらう。」
「フレド、何で……。」
「わざわざ聞くのか? もう分かっているだろう、君も。」
「……ご実家にはお話を通されたの?」
「ああ。両親とも納得していなかったが最後は認めてくれた。」
「……。」
「私には好きな女性が居るんだ。本気で愛している運命の人がな。
その人の為なら何でも出来る。」
お飾りの私と怖そうな隣国の王子様
mahiro
恋愛
お飾りの婚約者だった。
だって、私とあの人が出会う前からあの人には好きな人がいた。
その人は隣国の王女様で、昔から二人はお互いを思い合っているように見えた。
「エディス、今すぐ婚約を破棄してくれ」
そう言ってきた王子様は真剣そのもので、拒否は許さないと目がそう訴えていた。
いつかこの日が来るとは思っていた。
思い合っている二人が両思いになる日が来ればいつの日か、と。
思いが叶った彼に祝いの言葉と、破棄を受け入れるような発言をしたけれど、もう私には用はないと彼は一切私を見ることなどなく、部屋を出て行ってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる