【完結】運命の人は虐げられた聖人でした。私があなたを守ります!

金峯蓮華

文字の大きさ
13 / 18

まさかの

しおりを挟む

「飲んでもいいわよ。あいつらを油断させて捕らえる?」

「ダメだ! ハイデマリー殿下が犠牲になることはない!」

 私の言葉にリュディガー様は声を荒げた。

「大丈夫ですわ。私は毒や薬には耐性があります。精神拘束系の魔法や薬、媚薬も全く効きません」

「それでもダメだ。危ない目に遭わせたくない。君は早く国に戻れ。戻ってくれ。魔法を使えばすぐに戻れるのだろう?」

 リュディガー様は私の顔を覗きこむ。

「すぐに帰れますよ。でも帰る時は一緒です。あなたを置いて帰るなんて有り得ません」

 私はリュディガー様の手を握った。

「だめだ。だめだハイデマリー殿下。私はこの邪悪な血を後世に残したくないんだ。あんな男が父親じゃなかったら……」

「リュディガー様……」

 スティーブが一歩前に出た。

「このことを知るのは今ではもう私だけとなってしまいました。いや、現公爵も知っているでしょう。だからあなた様に辛く当たるのです。実はあなた様は公爵の息子ではありません。あなた様の実の父はブラウンフェル伯爵の子息だったモーリッツ様です」

 スティーブの言葉にリュディガー様は固まる。

「えっ? どういうことだ? 母が不貞をしたと言うのか?」

「いえ、そうではありません。お二人は恋人同士でいらっしゃいました。結婚のお約束をされており、とても仲睦まじかったのです。しかし、モーリッツ様が火事で亡くなり、お腹に子供がいることを承知であの男が婚姻を申し出たのです。今思えば、ブラウンフェル伯爵家の火事もボーデ伯爵達の仕業かもしれません。結局原因は分からずじまいでしたからね」

 スティーブは冷静な顔で怖いことを言う。

 リュディガー様は衝撃を受けたようで固まっている。

「スティーブ、それでは、私は父も母もあの者達に殺されたのか?」

「そうなります。ブラウンフェル伯爵家のことはあの時私達も総出で調べましたが、残念ながら証拠を不自然なほどに消されていて分かりませんでした。あの頃、ボーデ伯爵家と現公爵が繋がっていて、あいつらが仲間だと分からなかった。悔しいです」

 スティーブは目を伏せた。

 私はスティーブの話を聞き、頭を整理した。
要するに敵は側妃と現ヴェルトミュラー公爵夫妻、マインラート。そして姉妹の親のボーデ伯爵か。
 しかし、神の守護を馬鹿にしたこの国の貴族達も報いを受けなければならないと思う。

「リュディガー様、ご家族の仇を討ちましょう。あなたはあの男の邪悪な血など受け継いでいません。ブラウンシェル伯爵家のモーリッツ様とはどのような方だったのだったのかスティーブは知っているのですか?」

 私はスティーブの顔を見た。

「はい。存じ上げております。今まで話さなかったのはこれ以上リュディガー様を混乱さすまいと思ってでしたが、そんな風にお思いならもっと早く話しておけばよかったです」

 スティーブは眉根を寄せ、リュディガー様の実の父の話をはじめた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪役だから仕方がないなんて言わせない!

音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト オレスト国の第一王女として生まれた。 王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国 政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。 見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。

拾った指輪で公爵様の妻になりました

奏多
恋愛
結婚の宣誓を行う直前、落ちていた指輪を拾ったエミリア。 とっさに取り替えたのは、家族ごと自分をも売り飛ばそうと計画している高利貸しとの結婚を回避できるからだ。 この指輪の本当の持ち主との結婚相手は怒るのではと思ったが、最悪殺されてもいいと思ったのに、予想外に受け入れてくれたけれど……? 「この試験を通過できれば、君との結婚を継続する。そうでなければ、死んだものとして他国へ行ってもらおうか」 公爵閣下の19回目の結婚相手になったエミリアのお話です。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

【完結】もう一度貴女に精霊の祝福を

いづい そうこ
恋愛
伯爵令嬢リリーナ・ブロッサムは、偶然手にしたエメラルド色の不思議なノートに書き込むことで、顔も名前も知らない“名無しさん”と文字だけのやりとりを始める。 穏やかで優しい言葉をくれる名無しさんとの交流は、やがて日々の小さな楽しみとなり、 リリーナの大事な生活の一部となっていた。 やがて彼女には、誠実で思いやり深い青年、カイル・ドゥヴァルという素敵な婚約者ができる。 しかしある日、名無しさんは静かに告げる。 『あの男は君を不幸にする』 それは警告なのか、嫉妬なのか、それとももっと深い感情なのか。 ノートの向こう側の“あなた”はいったい誰なのか。 甘酸っぱさと切なさが交差する、優しくて少し苦いファンタジーラブストーリー。 完結済み 現在1話ずつ改稿しています。 通知が行ってたらすみません。

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

『まて』をやめました【完結】

かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。 朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。 時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの? 超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌! 恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。 貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。 だから、もう縋って来ないでね。 本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます ※小説になろうさんにも、別名で載せています

処理中です...