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黄昏堂

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虚無感

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夏の日、私はすべてを失った。
生きる意味も、明日の意味も、信頼していた人の中身はとんでもなく屑だった。
それは救いようのない程に。

世界が藍色に染まり上がる。

手足が鉛のように重くなり指を動かすのもままならない。

息をするのも辛い。

そんな日が続いた。
ひたすら逃げた。
それから毎日逃げた。
それは、僕から季節感を奪い、僕は未だに夏に取り残された。
あの暑さも、あの鬱陶しい蝉時雨も昨日のように覚えている。

今は辛うじて少しは逃げきれた。
だが、深手を負った。
対処しきれない程の。
今思えば馬鹿な話だ。
分かってる。
嫌と言う程に。

気づけばもう、世間はクリスマス一色だ。
そして僕はまた、人間不信になった。
別に戻っただけ。
むしろ少し学んだ。
何者であろうと信じるに値しないことを。
だから、僕は昔の様に誰も信じない。
だから、また僕は独りになる。
だから、僕は独創的になる。
それが良い方向か、なんて分からないままねじ曲がってゆく。
それが定めだ。
小学校2年生の時に言われ続けた、あの暴言たちから全て変わった。
人々はエゴイズムにしか生きる事が出来ない。
そもそも、彼等はエゴイズムに生きている事すら気付かない哀れな愚者な事も、僕は知ってる。
だから、尚更だ。

だから、僕は一人になる。そう言い聞かせる。
そうしてまた、今日が終わりを告げる。
朝日が無言のまま昇って征く。
朝日は人々を温めるが、僕は独り凍える。
人々のエゴイズムに縛られるよりかはマシだから。
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