黒竜はご飯が食べたい

ゆみ

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二章

10※公爵視点

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執事にメイドを任せて数日。色々な事が……起こらなかった。良かった良かった。

メイドの仕事は完璧だった。常に無表情なのは少し気になるが、それ以外は問題ない。
ある日、メイドは空が曇っているにも関わらず洗濯物を干していた。
話を聞くと問題ないと答え、何かの魔法を発動させた。
そうです、空が晴れました。凄ーい……んな訳あるか!
メイド曰く、魔力が万全ではないのでこれ以外は出来ないとの事。
兄上、新しく雇ったメイドは天候を操るようです。
次の瞬間メイドが消える。
俺が呆気に取られていると、洗濯物を抱えたメイドが現れた。

「……メイドよ、今のは?」

「時空間魔法です」

確か、点と点を結び一瞬で移動する魔法だったな。魔方陣無しで使うの初めて見たな。

「大変です!公爵様!」

執事が慌てた様子でやって来る。
ついに何か起こったのか。やはりメイドは何かの目的があって……

「隣国が宣戦布告してきました!」

「メイド関係無いのかよ!」



公爵領の北にあるバルシェ王国。小国ながら、かなりの戦力を持つ軍事国家だ。
現在バルシェ王国軍は国境沿いに展開中。数は約千人。
公爵領の国境警備隊とにらみ合い中だ。

「第三騎士団と魔導師団を送ったし、これで一安心……とはならないだろうな」

会議室で第一、二騎士団の団長と話し合う。

「念のため、王都に援軍を要請するべきでは?」

「……だな」

第一騎士団長の言葉に頷いた時、後ろに執事と供に控えていたメイドが声をかけてきた。

「一つ、よろしいでしょうか?」

「何だ?」

「今回の戦い、早急に終わらせなければ竜王が動きます」

その言葉に会議室内のメイド以外の全員がア然となった。
竜族は人間同士のゴタゴタには殆ど干渉してこないはず……なぜ?

「既に四天竜が竜都に集まっています」

四天竜って、確か竜王と同等の力を持った竜だったな。
本当に何があったの竜族、俺悪い事してないよ!

「何故竜族が動く?」

第二騎士団長がメイドに聞いた。
俺も知りたい事なのでそのままメイドの言葉を待った。

「近々黒竜王様が楽しみにしている事があります。詳しくはお教え出来ませんが、お祭りの様なものと思って下さい」

あー、この先聞きたくない!

「つまりこの戦いで、その祭りに影響がでると?」

「はい」

大変だわ、うん。逆に冷静になってくるね。
竜王と四天竜が出てくるか……。でも、メイドの話しだと黒竜王も出てきそうなんだが?
てか絶対出てくるよね?自分の楽しみを奪った人間どもがーって。

「いつまでに戦いが終われば良いんだ?」

「明日です」

オワタ。
送った騎士団が着くまでに二日は掛かる。
バルシェ王国に手紙書くか?竜族が激おこなので休戦しましょうって。でも無駄だよな~。
そもそも竜族気にするなら最初から仕掛けて来ないしな!
それとも竜族に手紙出すか?
無駄だな、うん。もう四天竜集まってるみたいだし。

「悪い、何も良い案が浮かばない。何かある者はいるか?」


シーン……


だよねー!

「公爵様、宜しいでしょうか?」

「何だ?」

「私が敵を倒して来ましょうか?竜を使えば今日中に終わります」

「……出来るのか?」

「はい。しかし魔力をほぼ使い果たしてしまうので、今後の仕事に差し支えますが」

メイドが天使に見えてきた。天使見た事ないけど。



結果だけ言えばその日のうちに戦いは終わり、翌日バルシェ王国から休戦の手紙が届いた。
報告によると、メイドは巨大な竜に乗り前線へ向かいバルシェ王国軍を壊滅させてきた。

「バルシェ王国軍には死者が出ていないようだが何故だ?」

「殺す価値がありません」

「あ、はい」

確かに死者は出ていない、出ていないが……国境に展開していた軍以外も被害を受け、さらに近隣の街や村にも影響が有ったらしい。
何したんだこのメイド。

「公爵様。これで心置き無く、エルドリン伯爵家で行われるお茶会に出られますね」

「うん?」
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