黒竜はご飯が食べたい

ゆみ

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三章

16※騎士団長視点

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「俺の養子になるノワール嬢を迎えに行ってほしい」

ある日、公爵様に呼ばれそう言われた。
ノワール嬢。確か探知能力が高く、それを公爵様に買われて養子に迎えられた……だったはず。

「公爵様、何故第一騎士団長の自分が行かねばならないのですか?騎士団長の仕事も有りますし」

「グシオン、お前でなければならない理由……それは」

「そ、それは……?」

「それは……!」

「それは?」

「それは!」

「早く言えよ!」

「一番ツッコミ能力が高いからだ!」

ん?
んん?

「ノワール嬢は無意識にボケてくる。その不意に襲ってくるボケに対応するには、俺も認めるツッコミ能力を持つグシオンにしか出来ぬ」

認められるのは嬉しいが……そんな理由かよ!
実力とかじゃ無いのかよ!

「勿論、実力も認めている」

「ソウデスカ……」

まあ……公爵様直々の命令だし、行くしかないな!

「出発は明日な」

「もっと早く言えよ!」

「ノワール嬢はこのような感じでボケてくるので気を付けるんだ」

「……普通に教えてください」

「一応言っておくが、明日出発は本当だからな」

おい!








ノワール嬢……これからはノワールお嬢様か?
ノワールお嬢様の護衛は俺を入れて三人。公爵令嬢を迎えに行くには不安の残る人数だが、急な出発だったので仕方がない。
何かあったら恨みますぜ、公爵様。



そしてエルドリン伯爵邸には問題なく到着した。
嘘です。実際は問題有りでした。
まともに準備をする時間が無く、伯爵邸へ向かう途中でノワールお嬢様が乗る馬車等を準備した。
本当、もっと早く言えよ……。

兎に角、まずはノワールお嬢様とご対面だ。

「お迎えご苦労様」

伯爵邸から黒髪の少女が出てくる。
この少女がノワールお嬢様だろう。公爵様から聞いていた外見と一致する。
家族から虐待を受けているだったか……酷いもんだな。
見送りが誰もいない様だし、さっさと出発するか。

「私はドラグーン公爵領、第一騎士団長のグシオン・イグニスです。公爵様からの御命令でノワールお嬢様を公爵邸まで護送致します」

「あー……もっと楽にして良いわよ。呼び方も『ノワちゃん』で良いし」

「いや、しかし……ノワちゃん?」

「毎回『ノワールお嬢様』って呼ぶの面倒じゃない?それに堅苦しいのは天使達でお腹一杯なの」

……ん?天使?



聞き間違いだな、うん。
真実の神の加護が効かないって公爵様が言っていたが……とりあえず保留にしよう。

「では、お嬢様で」

「もう一声!」

「お嬢?」

「もう一声!貴方なら出来るわ!」

「おじょ?」

「更なる高みへ!」

「お」

「完璧よ」

「『お』って誰だよ意味分からねーよ!てか『おじょ』ってなんだ?ドジョウの親戚か⁉」

「はぁ……なら『お嬢』で良いわよ。まったく……」

解せぬ。






お嬢を出来るだけ早く公爵邸に連れて行く為、一日の殆んどが移動に費やされる。
しかし、一日中ずっと移動する訳にも行かない。「疲れて賊に襲われました」なんてシャレにならないからな。
なので川辺で一端休憩する。
休憩中に持ち物の確認をしているとお嬢が近づいて来た。

「何をしているの?」

「持ち物の確認です」

「ほーん」

「やっぱポーションが少ないな。部下に買わせ行くか……」

「ん?ポーションなら私作れるわよ。(女神に教わったから)結構得意なのよ~」

「……マジで?」

「マジで。試しに作ろっか?薬草と水を探さないといけないけど」

ポーションは簡単に言えば薬草師や錬金術師が作る傷や病気を治す薬だ。
作り方は水に薬草を入れ、魔力を込めるだけ。
だがしかしポーション作りは奥が深い。
使う薬草の種類や状態は当然だが、作る時の気温や湿度も影響する。
もちろん込める魔力も大切だ。魔力は人によって違うのでポーション作りに適した魔力とそうでない魔力がある。
つまり……作るだけなら誰でも出来るが、効果の高い物を作るとなるとかなりの手間が掛かるのだ。
そんな効果の高い、上級ポーションなんて呼ばれる物の作り方は師から弟子へ受け継がれるのが普通だ。
お嬢が知っているとは思えない。もし知っていたとしても、この辺りには薬草がほとんど無いしな。

「この辺りにはポーション草しか有りませんが……大丈夫です?」

一般的に薬草といえば【ポーション草】だ。
そのままでも薬として使え、ポーションを作る際必ず使う薬草。
しかしネーミングそのまんまだな……分かりやすくて良いが。

「大丈夫、大丈夫。私はポーション草と水だけで作るポーションが得意なのよ!(それ以外は女神が教えてくれなかったのよね~)」

「それ……得意って言いますかね?」

「……多分得意!」



せっかくなので一つ作ってもらう事にした。



「味は何が良い?オススメは『お肉味』よ!」

「え?味、変えられるんですか?」

「得意だって言ったでしょ。それくらい出来るわよ」

「なら味はなしでお願いします。強いていえば『水の味』ですかね?」

「本当にそれで良いの?もったいない……」

ポーションの欠点……それは効果が高い程、不味い事だ!
無論命を懸けた戦いの最中など、そんな事を言ってられないのは分かっている……分かっているが不味いものは不味い!
本当に味を変えられるのか?それ以前に効き目は問題無いのか……?

部下二人に事情を説明し、薬草を集めてもらう。
お嬢と俺はポーション作りや瓶の準備だ。

結果はCMの後で!

注・CMはありません。







効果ありました。
上級とは言えないがかなりのもんだ。ポーション草と水だけで作ったとは思えないな。
しかも不味くない(ここ重要)!
ポーションを買いに行く手間が省けたし、お嬢にこんな特技があったとは……。

「「「疑ってごめんなさい」」」

「ムフフん」





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