青眼の烏と帰り待つ羊

鉄永

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3部

無条件の汎愛性とか言ったら、それっぽくない?

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「お前は自分の人生に対する責任もあるし覚悟もできてる。だから私からの助言としては、老若男女関係なく、親切も暴力も、喜びも恐怖も、平等に与えられるようになるといいんじゃないかと思う」
 かずさと律日が働く会社は、仲介や管理を主に行っていた。
 ちょっとやましい、色んな方法でお金を稼ぐ人間の仲を取り持ったり雇ったり、普通の人に頼みにくいことを代わりにやったり…中間管理職とかなんでも屋みたいなもんだよ、とかずさは律日に説明した。
 実際、律日も日雇い一万円という見出しが付きそうな内職に始まり、一日中駅前に立たされたり、キャバクラのボーイをしたり、大量の書類をただシュレッダーしたり、顧客データをもとに片っ端からメールを送るシステムを組まされたり、一貫性のない仕事を言われるままに淡々と続けていた。
 ちなみに現在はまた新しいタイプの仕事で、店の金を持ち逃げしたらしい少女の捜索と恫喝というものだった。
 無事に発見できた少女は、律日とかずさの前におびえた様子で拘束されている。
 この後はどうするのだろうと思っていた律日に説明するように話し始めたかずさの言葉が、冒頭のものだった。
「私たちは悪い人間をやっつける正義のヒーローじゃないから、憐みや感傷を感じるのは自由だけど、その感情は客観的に捉えて、こうしないといけないから」
 かずさは言いながら目の前の少女の横面を殴った。
 鈍い音と共に少女は地面に倒れ、身体をくの字に丸めて泣き出した。
「まあ私もあんまり好きな仕事ではないから、できるようになれと強くは言わないけど…」
 身体を震わせる少女の頭を撫で「ごめんな、痛かったな」と打って変わって優しく言うかずさを冷静に眺める。
 親切も暴力も、喜びも恐怖も、平等に切り分けて誰に対しても与えられるようになる。それがこの仕事を続ける上で必要な素質だと、律日は理解した。
 『少女』という属性に対しては否応なく感傷を覚えるが、その感情を持つことは自由であるため、律日は「よく覚えておきます」と眉を下げてかずさに微笑んだ。

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