28 / 34
5部
第一話
しおりを挟む
その日、生の帰りが遅く、ちひろは玄関で生の帰りを待っていた。
薄い毛布を肩にかけ、白湯を飲み、スマートフォンの通知を眺める。
そのままうとうとと船を漕いでいると、ガチャリと鍵が開き、扉が開かれた。
は、と顔を上げて、いつものように口を開こうとするが、いつもより勢いよく家に入り、ちひろと目を合わせず、土足のままで横を通り過ぎる生に、おかえりなさいよりも先に、ちひろは困惑の声を上げた。
「え?…い、いく」
慌てて立ち上がり、追いかける。
早足で風呂場に入っていく生の手を取ろうとするが、間に合わない。
ちひろの指の先で扉は閉じ、そのまま鍵もかけられる。
次いで、勢いよく咳き込む生の声にちひろは息を詰まらせた。
「い、いく!いく?大丈夫?どうしたの?」
何か大きいものがぶつかるような音がして、扉が揺れる。
「いく、どっか怪我したの、痛いの?」
「ぅ、あ、ゲホッ」
かすかに鼻をつく酸味のある匂いと、勢いよく息を吸う鋭い音。
ザアッとシャワーの栓が開けられ、扉からゆるく湯気が漏れる。
「ちひろ、」
「いる、ここにいるよ」
水か、着替えか、それとも薬か。何を頼まれるのか、とちひろは身構える。
「し、寝室に」
「うん」
「かぎ、閉めて、…出ないで、絶対」
「そ、そんなの」
できるわけない、と言いかけて、ちひろは口をつぐむ。
シャワーの水音と、荒い息に合わせて揺れる影。
もしちひろの予想が正しいなら、きっと今の生は、ちひろを傷つけないために閉じこもっている。
もし自分が強引に中に入ったとして、ちひろは安心できても、生が苦しむなら意味が無い。
こんな状態でもきちんと帰ってきてくれた生の優しさを無下にはできなかった。
ちひろは不安で引きつりそうな息を必死に整える。
「いく、し、死なない?」
「…ん」
「明日には、普通?」
必死そうな生の声が、少し笑うように震えた。
「…ん、そう、だから、安心して、おやすみ」
「わ、かった。だめなら、えっと、扉ばんばんするとかして、教えてね」
「ン」
ちひろは小走りで自室に戻り、言われた通り鍵をかけようとして、少し考えてからそのままベッドにもぐりこんだ。
何もできない自分の、ほんの少しの抵抗だった。
***
遠ざかる足音に、生は深く息を吐く。
ぐらぐらと揺れる視界に眉を寄せながら、服を脱いで浴槽にかけていく。
冷水にしたシャワーの感触すら辛い。
震える手ではうまくボタンも外れず、なんとか脱いだ靴と靴下、そしてスマートフォンを浴槽に投げ込み、声を上げようとする口は手で蓋をする。
ぎりぎりと嚙みちぎる勢いで手を噛み、痛みで覚める脳でなんとか理性の手綱を引く。
もう認めてしまってもいいじゃないか。
自分はちひろに対して愛情以上の、汚い欲を抱いている。
あのまま彼女を中に引き込んで押さえつけて暴けばよかったじゃないか。
きっと許してくれるし、自分もこの行き場のない疼きをどうにかできる。
「そんなわけ、ないだろ」
浴室の鍵に伸ばしかけた手を握りこみ、浴槽に叩きつける。
そんなものは猿と一緒だ。
確かにちひろは許すだろう。
いつものように柔らかく微笑んで、受け入れてくれるだろう。
それでも、生は知っている。
人は、相手が大切な人間であればあるほど、いくらでも虚言を重ねて体を委ねることができるのだ。
ちひろにそんなことはさせられない。させないために自分はこの家に彼女を閉じ込めたのだ。
だから、こんなくだらない一時の衝動で、ちひろを傷つけるくらいなら死んだほうがましだった。
今の自分の全てを排水溝に流すように、生はシャワーの水勢を強める。
熱と胃液と汗でぐちゃぐちゃになりながら、意識を強制的に沈ませる。
夢を見た。
白昼夢でも見るほど馴染みのある夢だ。
窓の外の雨は強く、遠雷の音が聞こえていた。
不快な人肌の臭いと、素肌にあたる布の居心地の悪い感触。
現状を冷静に捉えている自分と、彼女が起きるのを恐ろしがる自分が同時に存在して、まるで脳が二つになったようだった。
ああ、もうすぐ朝だ。彼女が起きる。
しかしその夢は、こんこんと扉を叩く軽い音で終わりを迎えた。
生はぼんやり目を覚ます。
ゆっくりと身体を起こすと、少しだけ体の奥が痺れる感覚は残っているが、大分マシだった。
浴槽の床に転がっているスマートフォンを拾い、時間を確認して、息を吐く。
「いく…おはよ…大丈夫?」
扉の先から控えめなちひろの声が聞こえる。
「おはよ、大丈夫だよ」
明らかに大丈夫ではない自分のひび割れた声に自嘲する。
「生、お帰り、おつかれさま」
「ただいま、ありがと」
「寝る?」
「んーん…」
「ごはん?」
「いや。ちょっと、また出てくる」
「えっ!」
そういえば、いつも帰宅時にしている会話さえしていなかったなと思いながら、生はちひろの問いかけに答える。
帰ってはきたものの、後処理が済んでいないため、もう一仕事してこないとキリが悪い。
ちひろが起こしてくれて助かった。
「夜までには帰ってこれるから」
「だ、だ、だめだよ!」
「大丈夫、心配かけてごめん」
頭が冴えてくると、今更のように体が寒さを訴えはじめ、手袋を外して吐息で温める。
うわ、と手袋の下の惨状に顔をしかめながら、シャワーの水を減らしてお湯を増やし、張り付いた服を脱ぐ。
「いく」
「なぁに」
「か、かえって、くる?ちゃんと」
「うん、帰るよ」
「おやすみも、取る?」
「うん、まあ、休めるときはね」
「す、すぐだよ!今日お仕事行って、また…また、明日も、すぐに、行っちゃう、の…?」
「うーん、明日の朝までは、ゆっくりできるかな」
「ちゃんと寝る?」
「寝るよ」
「ご飯食べる?」
「食べる食べる」
これは包帯も取り替えないと外に出られないな、とげんなりしながら、ふと生は思い出す。
そういえば昨日はすぐちひろを寝室に行かせてしまったし、ちひろのことだから、自分と合わせるために朝食もまだなのではないだろうか。
「ちひろは、ご飯食べた?俺はいいから、きちんと、ね」
「…っ、ばか!」
「ん…?」
バタバタと足音が遠ざかっていく。
ちひろの怒りに理解が追い付かず、生は動きを止めて呆ける。
一拍遅れて我に返り、水気のふき取りもそこそこに、最低限の服を着てちひろを追う。
鍵をかけられたちひろの部屋の前に立てば、中からすすり泣く声が聞こえてくる。
控えめにノックをすれば、「いないです!」と返答があった。
生は困惑する。
ちひろを怒らせたポイントが何だったのか分からないのだ。
このままちひろを放置するのも心残りだが、時間もない。
生は数秒考えてから、ちひろの寝室の前から離れ、仕事の準備を始めた。
***
生はどうしてあんな風に自分のことに対して無頓着なんだろう。
あんな風に言われるなら、やっぱり無理にでも押し入ればよかっただろうか。
ちひろはベッドで毛布にくるまりながらグズグズと鼻を鳴らす。
結局昨夜は微かに聞こえる水音と苦しむ生の声に耳をすませ、ほとんど眠れなかった。
ちひろを傷つけないための選択だったのは分かるし、辛いのは生であってちひろではない。
だからこそ、俺はいいからなんて、自分を蔑ろにするようなことは言ってほしくなかったのだ。
だからといって、疲れている生に感情をぶつけていい理由にはならないけれど。
勝手に怒ってへそを曲げる自分の子どもっぽさに腹が立つが、すぐに謝りにいけるほど落ち着くにはもう少し時間がかかりそうだった。
「行ってきます」
寝室の外からかけられた生の声に、ちひろは肩を揺らす。
返事をしようと口を開くが、今は生を引きとめる言葉しか出てこない気がして、何も言えない。
生の足音が遠ざかるのを確認してから、ちひろは部屋の扉を少し開け、様子を見た。
生が振り返らずに扉の向こうへ行く姿に、じわりと涙が滲む。
「いく」
ちひろの小さな言葉は、涙と一緒にポロリと床に落ちた。
薄い毛布を肩にかけ、白湯を飲み、スマートフォンの通知を眺める。
そのままうとうとと船を漕いでいると、ガチャリと鍵が開き、扉が開かれた。
は、と顔を上げて、いつものように口を開こうとするが、いつもより勢いよく家に入り、ちひろと目を合わせず、土足のままで横を通り過ぎる生に、おかえりなさいよりも先に、ちひろは困惑の声を上げた。
「え?…い、いく」
慌てて立ち上がり、追いかける。
早足で風呂場に入っていく生の手を取ろうとするが、間に合わない。
ちひろの指の先で扉は閉じ、そのまま鍵もかけられる。
次いで、勢いよく咳き込む生の声にちひろは息を詰まらせた。
「い、いく!いく?大丈夫?どうしたの?」
何か大きいものがぶつかるような音がして、扉が揺れる。
「いく、どっか怪我したの、痛いの?」
「ぅ、あ、ゲホッ」
かすかに鼻をつく酸味のある匂いと、勢いよく息を吸う鋭い音。
ザアッとシャワーの栓が開けられ、扉からゆるく湯気が漏れる。
「ちひろ、」
「いる、ここにいるよ」
水か、着替えか、それとも薬か。何を頼まれるのか、とちひろは身構える。
「し、寝室に」
「うん」
「かぎ、閉めて、…出ないで、絶対」
「そ、そんなの」
できるわけない、と言いかけて、ちひろは口をつぐむ。
シャワーの水音と、荒い息に合わせて揺れる影。
もしちひろの予想が正しいなら、きっと今の生は、ちひろを傷つけないために閉じこもっている。
もし自分が強引に中に入ったとして、ちひろは安心できても、生が苦しむなら意味が無い。
こんな状態でもきちんと帰ってきてくれた生の優しさを無下にはできなかった。
ちひろは不安で引きつりそうな息を必死に整える。
「いく、し、死なない?」
「…ん」
「明日には、普通?」
必死そうな生の声が、少し笑うように震えた。
「…ん、そう、だから、安心して、おやすみ」
「わ、かった。だめなら、えっと、扉ばんばんするとかして、教えてね」
「ン」
ちひろは小走りで自室に戻り、言われた通り鍵をかけようとして、少し考えてからそのままベッドにもぐりこんだ。
何もできない自分の、ほんの少しの抵抗だった。
***
遠ざかる足音に、生は深く息を吐く。
ぐらぐらと揺れる視界に眉を寄せながら、服を脱いで浴槽にかけていく。
冷水にしたシャワーの感触すら辛い。
震える手ではうまくボタンも外れず、なんとか脱いだ靴と靴下、そしてスマートフォンを浴槽に投げ込み、声を上げようとする口は手で蓋をする。
ぎりぎりと嚙みちぎる勢いで手を噛み、痛みで覚める脳でなんとか理性の手綱を引く。
もう認めてしまってもいいじゃないか。
自分はちひろに対して愛情以上の、汚い欲を抱いている。
あのまま彼女を中に引き込んで押さえつけて暴けばよかったじゃないか。
きっと許してくれるし、自分もこの行き場のない疼きをどうにかできる。
「そんなわけ、ないだろ」
浴室の鍵に伸ばしかけた手を握りこみ、浴槽に叩きつける。
そんなものは猿と一緒だ。
確かにちひろは許すだろう。
いつものように柔らかく微笑んで、受け入れてくれるだろう。
それでも、生は知っている。
人は、相手が大切な人間であればあるほど、いくらでも虚言を重ねて体を委ねることができるのだ。
ちひろにそんなことはさせられない。させないために自分はこの家に彼女を閉じ込めたのだ。
だから、こんなくだらない一時の衝動で、ちひろを傷つけるくらいなら死んだほうがましだった。
今の自分の全てを排水溝に流すように、生はシャワーの水勢を強める。
熱と胃液と汗でぐちゃぐちゃになりながら、意識を強制的に沈ませる。
夢を見た。
白昼夢でも見るほど馴染みのある夢だ。
窓の外の雨は強く、遠雷の音が聞こえていた。
不快な人肌の臭いと、素肌にあたる布の居心地の悪い感触。
現状を冷静に捉えている自分と、彼女が起きるのを恐ろしがる自分が同時に存在して、まるで脳が二つになったようだった。
ああ、もうすぐ朝だ。彼女が起きる。
しかしその夢は、こんこんと扉を叩く軽い音で終わりを迎えた。
生はぼんやり目を覚ます。
ゆっくりと身体を起こすと、少しだけ体の奥が痺れる感覚は残っているが、大分マシだった。
浴槽の床に転がっているスマートフォンを拾い、時間を確認して、息を吐く。
「いく…おはよ…大丈夫?」
扉の先から控えめなちひろの声が聞こえる。
「おはよ、大丈夫だよ」
明らかに大丈夫ではない自分のひび割れた声に自嘲する。
「生、お帰り、おつかれさま」
「ただいま、ありがと」
「寝る?」
「んーん…」
「ごはん?」
「いや。ちょっと、また出てくる」
「えっ!」
そういえば、いつも帰宅時にしている会話さえしていなかったなと思いながら、生はちひろの問いかけに答える。
帰ってはきたものの、後処理が済んでいないため、もう一仕事してこないとキリが悪い。
ちひろが起こしてくれて助かった。
「夜までには帰ってこれるから」
「だ、だ、だめだよ!」
「大丈夫、心配かけてごめん」
頭が冴えてくると、今更のように体が寒さを訴えはじめ、手袋を外して吐息で温める。
うわ、と手袋の下の惨状に顔をしかめながら、シャワーの水を減らしてお湯を増やし、張り付いた服を脱ぐ。
「いく」
「なぁに」
「か、かえって、くる?ちゃんと」
「うん、帰るよ」
「おやすみも、取る?」
「うん、まあ、休めるときはね」
「す、すぐだよ!今日お仕事行って、また…また、明日も、すぐに、行っちゃう、の…?」
「うーん、明日の朝までは、ゆっくりできるかな」
「ちゃんと寝る?」
「寝るよ」
「ご飯食べる?」
「食べる食べる」
これは包帯も取り替えないと外に出られないな、とげんなりしながら、ふと生は思い出す。
そういえば昨日はすぐちひろを寝室に行かせてしまったし、ちひろのことだから、自分と合わせるために朝食もまだなのではないだろうか。
「ちひろは、ご飯食べた?俺はいいから、きちんと、ね」
「…っ、ばか!」
「ん…?」
バタバタと足音が遠ざかっていく。
ちひろの怒りに理解が追い付かず、生は動きを止めて呆ける。
一拍遅れて我に返り、水気のふき取りもそこそこに、最低限の服を着てちひろを追う。
鍵をかけられたちひろの部屋の前に立てば、中からすすり泣く声が聞こえてくる。
控えめにノックをすれば、「いないです!」と返答があった。
生は困惑する。
ちひろを怒らせたポイントが何だったのか分からないのだ。
このままちひろを放置するのも心残りだが、時間もない。
生は数秒考えてから、ちひろの寝室の前から離れ、仕事の準備を始めた。
***
生はどうしてあんな風に自分のことに対して無頓着なんだろう。
あんな風に言われるなら、やっぱり無理にでも押し入ればよかっただろうか。
ちひろはベッドで毛布にくるまりながらグズグズと鼻を鳴らす。
結局昨夜は微かに聞こえる水音と苦しむ生の声に耳をすませ、ほとんど眠れなかった。
ちひろを傷つけないための選択だったのは分かるし、辛いのは生であってちひろではない。
だからこそ、俺はいいからなんて、自分を蔑ろにするようなことは言ってほしくなかったのだ。
だからといって、疲れている生に感情をぶつけていい理由にはならないけれど。
勝手に怒ってへそを曲げる自分の子どもっぽさに腹が立つが、すぐに謝りにいけるほど落ち着くにはもう少し時間がかかりそうだった。
「行ってきます」
寝室の外からかけられた生の声に、ちひろは肩を揺らす。
返事をしようと口を開くが、今は生を引きとめる言葉しか出てこない気がして、何も言えない。
生の足音が遠ざかるのを確認してから、ちひろは部屋の扉を少し開け、様子を見た。
生が振り返らずに扉の向こうへ行く姿に、じわりと涙が滲む。
「いく」
ちひろの小さな言葉は、涙と一緒にポロリと床に落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる