異世界料理人

彩夏

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パンティは突然に

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「偵察隊が全滅!?」

 テントで建てられた仮設会議場に集められた俺たちを待っていたのは、衝撃の知らせだった。

「昨日のことだよ。当初の日程であった一週間を使い、ようやくダンジョン中腹にたどり着いたわけだけど、そこで僕らが直面する問題は中ボスなわけだ。それも、道中の難易度からするに、苦戦が予想されるね……」

 それは誰もが考えていたことだ。精鋭中の精鋭を選び、率いてきたこのレイドだが、もといた三十六人中もうすでに、七人もの死者が出ている。言い方が悪いが、数が減れば補充できるのがレイドシステムの一つにあるから、人員不足は無いのだが、それでも精鋭が七人も死んだんだ、過去最高レベルの難易度であることは容易に可能性として考えられる。
 いくらこの世界がゲームのようだと言っても、リスポーンは無いからな。

「そこで、僕らは偵察隊を送ることにしのは知っている通りだ」

 ロキは真剣な表情で淡々と続ける。

「前衛六人、後衛六人の計十二人であたった、勿論戦闘ではなく逃避を最優先に慎重を期して行われた偵察だった……だが、中ボスフロアに入った途端、フロアからの強制的離脱制限、ようするに転移魔法およびツールの使用不可があったらしい。偵察隊との連絡は途中で途切れ、全滅したと考えられている」

 隣に立っていたアルクネルは偵察隊のメンバーの名前をブレンドリストから探しているが、表情から察するにリストから消えているのだろう。

「十二人も……」

「離脱制限など現在の最上部のフルレイドでも稀にしかみないトラップですぞ……それがこのようなレイドで現れるなど……」

「状況は最悪だ。君たちの意見次第だが撤退ということも視野にはいれているよ」

「撤退など、我が青の騎士団にはありえない!」

 このメンバーの中でも最も高いプライドをもつバロンダートは思わず感情を露にした。

「いくら団長といえど、死んでいった仲間を裏切るような判断をすれば、私が射ぬくぞ」

「もちろん、僕は撤退するきはない。それにもう援軍は呼んである。それも幹部たちをね」

 青の騎士団にはそれぞれのジョブごとに幹部というものが存在し、その一人一人が一個大隊と渡りあう力をもつ。

「呼んだのは、バロンダートの師であり、同じ神弓の二つ名をもつクルルシフェル率いる、六人だ。レイドは人数制限はあれど、少数で挑むのはかまわないからな、今回呼んだ者はこれだけだ」

「師匠がここへ……」

 さっきまでの怒気が消え、師の名に少し怖じ気づいている様子のバロンダートを残し、今日の会議は閉会した。

「まさかつい先日までほのぼの面白おかしい系でいってたのに、いきなりここまでシリアス展開になるとは……」

 レイドに挑んだとたん料理コメディから料理ファンタジーに転向した俺のジャンルだが、俺から料理コメディを取ったら残るはたんなる王道ファンタジーしか残らねぇじゃねぇか。

「はぁー、この物語を料理コメディに戻すにはどうしたら……」

 そんな俺の望みを叶えてくれる存在はすぐに現れた。

 目の前にそびえるは偵察隊を全滅させた中ボス。

 その容姿は笹の葉を食い散らかし、ボスフロア中央に座り込み、少女漫画なみのつぶらな瞳でこちらを見つめる、ただでかいだけの"パンダ"だった。

(おい、精鋭偵察隊の人たち、お前らこんなのに殺されたのかよ……)

「くぅ」

 俺の呆れ顔にパンダ、またの名をジャイアントスーパーハイパーウルトラミラクルゴールデンドリームレジェンドパンティは可愛く首をかしげた。

(パンティてなんだよパンティて、パンダだろ、てかなんでパンダが紫色の妖艶なパンティはいてるんだよ)

「王道シリアス返して!!」

 俺は切実に叫んだ。
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