俺のバッドエンドが彼女のハッピーエンドなんてあってたまるか!

めいゆー

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デンジャラス動物園①

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家からバスで30分ほどの所にその動物園はあった。
名前を「デンジャラス動物園」!!!
その動物園は、その名の通り猛獣や毒を持った危険な生物、さらには研究所が遺伝子操作で誕生させたキメラなども飼育されていて危険すぎるイメージがある一方で、カピパラやアルパカ、ウサギなどの子供たちに人気の小動物や猛獣の赤ちゃん等と触れ合えるような癒しスポットもあることからスリルと癒しを求める親子連れやカップルに人気の施設となっていた。
しかし、それは普段の話であって今日は違う。
普段であれば猛獣などがいるデンジャラスゾーンでは人間と動物との境界線がしっかりと定められており動物達は電磁バリアによって各々の縄張りから出る事が出来ないようにしっかりと管理されている。
だが今日は1周年記念と称して全ての区画の電磁バリアを解除するとのことなのだ。
なぜそんなことをしようと思ったのか...
それは、ただ園長が「1周年記念の時ぐら全員休みたくない?」というやる気のない考えが生んだものだった。
すべての従業員が休みなので動物達を管理する人間がいないだけだったのだ。
とりあえずこんな危険生物の無法地帯になった動物園などいくら無料であっても命の危険をさらしてまでは、さすがに誰も来ないだろうというのが動物園側の考えだった。
まあ、誰も来なかったとしても、ただ休みたかったという理由でこんなことをしたというのがバレないように念のため宝探しイベントを付け加え、補足としてもきちんと「何があっても動物園側は一切責任をおいません」とチラシには表記したのだ。
だがしかし、万が一、万が一こんな危険な動物園に訪れる猛者が現れた場合のことも想定して、宝探しイベントの賞品だけは、しっかりと命を懸けるに値するかもしれないものを準備したのだった。
いったいその賞品がどんなものなのか、まだ誰も知らない。

その頃、自宅でダラダラしていた園長に1本の電話が入った。
「園長~!!気になって園の方を見に来たんですけど、結構人集まっちゃってます...」
「なに~!!!バカな!!!いくら入場無料だからって命の方が大事だろ普通!!!」
「それが、普段近くで見れない猛獣やキメラなどを近くでみようというマニア達が防備を整えて押し寄せているようです。それに、宝探しイベントの賞品が命を懸ける程の価値のあるものと噂が噂を呼んで、ある者は金や宝石等の高価なもの、ある者は恋愛の上手くいくアイテム、またある者はアイドルの秘蔵写真やグッズなど様々な憶測と欲望で参加しようとしているようです!!」
「まじか........仕方がない。めんどくさいがここまで盛り上がってしまっているのであれば園長であるこの私が入園の合図を行わなければいけないな。とりあえず開園の時間までにはそちらに向かう。しかし!!!それが終わったらすぐ帰るからな!」
「わかりました園長!お待ちしております。」

『次は~動物園前~動物園前~お降りの際はブザーを押して下さい』
ピンポ~ン♪
バスは予定通り30分ほどでデンジャラス動物園に到着した。
バスから降りて見た光景は異様なものだった。
プロテクターや防具などで身を固め、カメラを持った集団や目をギラギラに輝かせた自称トレジャーハンターですと言いたげな恰好の人々。そんな中、バスを降りた俺たちに周囲の視線が集まった。
なぜなら、そんな殺伐とした空気の中、私服の高校生3人組がやってきたからだ。
しかも、美少女を二人も連れて。
一瞬、間が開いたあと、一斉に言葉の雨が降り注いだ。
「お前ら猛獣舐めてんのか!?」「そんな軽装だとすぐ死ぬぞ!!」「何、美少女二人も連れてるんだこのリア充が!!」「リア充なんか猛獣たちに食べられてしまえばいいんだわ!!!」「僕の宝物もう見つかりました!!」「う~ん、あの男の子タイプだわ」
(みんな好き放題言いやがって!しかも最後の方、タイプってなんだよ!ゴリゴリのおっさんじゃね~か!!!猛獣よりあんたの方がおっかねーよ!!!)
俺が心の中でいろいろ突っ込んでいると、華憐も少しイラっときたようで周りに聞こえるように一人で喋りだした。
「あ~やだやだ、せっかくのデートなのに他の客がこんなにダサい連中ばっかりだなんて目が汚れるわね!あっ、でもそのお陰で湊くんも普段以上に格好よく見えるよ♪このまま、動物園も楽しんで宝探しの賞品も私たちで貰っちゃおっか♪」
それを聞いた周りの連中は、一斉に俺を睨んだ。その中でも、やたら強い視線で俺を見ていたのはゴリゴリのおっさんだった。睨んでいるというより、むしろ頬を赤らめ熱い視線を送っているように見えたので、その瞬間、俺の中でこのおっさんは気を付けるべき猛獣として認定した。
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