俺のバッドエンドが彼女のハッピーエンドなんてあってたまるか!

めいゆー

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デンジャラス動物園②オセアニア

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開園の時間が刻々と迫り入園ゲートの前は異様な盛り上がりを見せていた。
ゲートの傍には急遽、式台とスタンドマイクがセットされ、開園五分前になるころには園長と思われる人物も現れようやくその時が訪れようとしていた。
「本日は、当園の1周年記念イベントにご参加頂き誠にありがとうございます。しかし!私は本日の入園をおススメしません!なぜなら、本当に危険だと思うからです。それでもあなた達は危険に挑まれますか?」
『おお~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!』
「そんなに宝が欲しいですか?」
『おお~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!』
「欲しけりゃくれてやる!探せ!宝はこの園のどこかに置いてきた!!」
『おお~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!』
「その前に注意事項です。当園の動物を殺すことは禁止とします。一時的な捕縛や麻酔銃などで身を守ることは許可します!以上!!!開園!!!」
それと同時にゲートのシャッターが開き始めた。
我先にと下からくぐる者、それを見てのんびりとシャッターが上がりきるのを待つ者とに分かれた。
俺たち三人は後者を選ぶことにした。
「よ~し、まずはせっかくの動物園だしゆっくり園内を見て回るか~。アン、華憐のことはホント頼んだぞ!」
「うん、任せてお兄ちゃん!とりあえずじゃあ、何かあったらお姉さまは私の半径1m以内に来てね♪」
「わかったわアン。よろしくね。」
「うんじゃ~まずはどこに行ってみようか~?どうする二人とも?」
そういって俺たちは園の入り口にあった施設の案内図を確認した。
案内図を見るとこの動物園は南米、北米、オセアニア、アフリカ、アジア、ヨーロッパと六つのエリアに分けられているらしい。そこで俺たちは比較的安全そうなオセアニアエリアの方を最初に見て回ることにした。
「オセアニアって言ったら、オーストラリアとかニュージーランドの方面だろ?なんか危険そうな動物っていたっけ?」
「私はコアラとかカンガルー、あと羊とか可愛い動物しか思いつかないわね~。アンは何か知ってる??」
「今検索してみたけど、ワニや毒蛇、毒をもった昆虫が危険みたいだよ。あとはサメだったりクラゲだったり海の生き物だから、ここでは大丈夫じゃないかな?あっ、待って!デンジャラス動物園のオセアニアエリアの口コミに『物凄くマッチョで手にボクシンググローブをハメた暴れん坊のカンガルーがいてめっちゃやばい!名前がムキムキカンガルーの桜庭君だってwww』って書き込みがあるんだけど!!」
「アン...それってあれかな...?」
俺が指差す方には体長が180cmはありそうな筋骨隆々のカンガルーがやたらと軽いステップでシャドウボクシングをしている。その周りは幾人もの人が倒れこんでいた。
『ここを通りたければ俺を倒していけ!!』と言わんばかりの迫力である。
「湊くん?あのコをどうにかしないといけなさそうだけど大丈夫?」
「いやいやいやいや!!!!あれは、無理だろ!!!」
「大丈夫だよ!お兄ちゃん!カンガルーには弱点があるの!!!」
「そうなのか!?アン!!その弱点っていったい?」
「それはね!カンガルーは後ろに飛べないんだよ!お兄ちゃん!!!」
「・・・」
「だからね!後ろに飛べないんだよ!」
「だから飛べないからってどうしろって言うんだよ!!!!!!!!!」
それを聞いた華憐が、
「湊くん!ちょっと考えれば分かることよ♪バックステップが使えないってことは、カンガルーの初撃をさえかわしてしまえば、すぐに背後を取れるってことじゃない!!!それで締め落としてしまえば楽勝よ!!!」
「締め落とすだと!?」
「そうよ湊くん!周りで倒れている人の怪我の具合を見る限りじゃ、相手がボクシンググローブを付けてるからとみんなボクシングスタイルで正面からやりやったようね!だけど、ここは獣が解き放たれた戦場よ!バーリトゥードに決まってるじゃない!!!」
「言われてみるとそうだよな!よーしやってやるぜ!!!」
その直後、ムキムキカンガルーの桜庭君に勝負を仕掛けた俺は、初撃がパンチだと思い込んでいたせいで思いっきり前蹴りを受け近くの水辺まで吹っ飛ばされ、水辺の近くにいたワニ達の強烈な顎で体中をかみ砕かれるのであった。
それを目の当たりにした何人かは宝探しを諦め早々にリタイアしていった。
「もう仕方ないんだから湊くんは...アン、私が桜庭君やっつけておくから湊くんの回収お願いね!」
「は~い♪お姉さま♪」
そうやって俺が回収され元通りになるころには、華憐はなんなく桜庭君を締め落としていた。
いったいあんな小さな体のどこにあんなパワーがあるのか...
華憐のポテンシャルの高さに驚きながらも俺たちは次のエリアに進むことにした。
次のアジアエリアにはどんな動物がいるのだろうか。
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