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第10話 未来世界その2
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未来の世界で絵を描き終わり、次はどこへ行こうか相談している最中に私は気づいてしまった。
「――あっ」
思わず声に出してしまったのは、失態だったと思っている。
慌てて口を手で抑えたけど、当然のように聞かれてしまっていた。
「どうかしたの? 黒江ちゃん?」
「ううん、なんでもないよ」
昴くんがキョトンとした眼でこちらを見てくる。
こういうときの昴くんは鋭いから困る。
「なんでもないなら言っても大丈夫だよね? なぁに?」
「うぅ……」
ほら、やっぱり。
「えぇっと……。私達って一応結婚した関係なわけだよね……?」
「一応も何もめちゃくちゃ結婚した関係だよ!」
「えっと、私達って結婚した割に結婚指輪してないなぁーって思って……」
私の言葉に、昴くんは後頭部でも殴られたかのような衝撃を受けた顔をしている。
実際、どうして忘れてしまっていたんだろうという自責の念に囚われ、驚いていた顔が青ざめて来ている。
「そうだった……。なんで僕、忘れてたんだろ……」
自分の頭をポカポカと両手で殴り、物凄く自戒している彼を静止し、何とか話し合いが出来るまでに至った。
「だ! 大丈夫だから! ちょっと思っただけだったから!! 別に必要だとか欲しいだとかそういうわけではないから!」
「駄目だよ! ちゃんとそういう所はしっかりしておかなきゃ!」
私の肩を少し痛いくらいに両手でつかんでくる。きっと本当に彼にとって指輪というものは形式的なものじゃなくて、絵と同じで想いを形にしたものなんだろう。
「えぇっと、指輪を作ってくれる宝石店には心当たりがあるから、そこで買ってもいいんだけど……。せっかくなら宝石自体も手に入れたいよね!?」
「えっ!? そんなこと出来るの!?」
「出来るも何も、黒江ちゃんのいた世界だってどこかでは採掘してたんだからどこでも出来るよ」
「いや、まぁ、確かにそうなのかもしれないけど……」
確かに宝石というものがある以上、どこかかしらで採掘されているものだとは思うけど……。
「警邏四万型さん!」
『はい、絵が書き終わったようであれば退去をお願いします』
「退去するのは構わないけど、クシーナガラ第二十四区に僕の居住権が移住されているって言ってたよね? クシーナガラ居住区のどこかに宝石の原石を扱う店ってあるかな?」
『退去勧告に従うようであれば当該検索依頼を受理します』
絵を描かせてくれたこともそうだけど、意外と柔軟な対応をしてくれる機械だ。
規律があるだろうに、この四万型さんは緩めの人工知能なのだろうか。
『検索完了、クシーナガラ第十五区にクズ石を扱う工場があります。そこで使用しない宝石類を処理しています』
「ありがとう、警邏四万型さん!」
『礼には及びません、それでは退去をお願いします』
「はいはーい」
◇ ◇ ◇
昴くんと私は上下左右が光だらけの空間に立っている。どうやら何かの乗り物らしい。
これで移動しているらしいのだけど……。世界樹の空間とはまた違った不思議な感覚で、どこが地面なのかわからなくなる。
「未来と言っても光速で移動できるなんて技術はなくてね、これも精々音速程度の速度じゃないかな、時速三百キロメートルくらい」
「音速……。あ、いやでも、新幹線とそこまで変わらないと考えたらそこまで異常ではないのかな……?」
これ何の乗り物なんだろう……。乗った時から光に包まれていてよく分からなかった……。
「昴くん、これってどういう仕組で動いてるの……?」
「さぁ、僕もよくわからない」
「えぇ……」
「黒江ちゃんだってさ、電子レンジとかパソコンとか、そういうのがどういう仕組みで動いているかわかる?」
「う、うーん。何となくイメージはできるけど知らないかも……」
「それと同じだよ、僕だって利用はしてるけどよく知らないものなんてたくさんあるさ」
ぐうの音も出ない。
確かに私も使っているけど具体的に「どうやって動いているのか?」と聞かれたら詳しく説明できないものはたくさんある。
そう考えると、色んな物を発明したり、改良する人は本当にすごいなぁ……。
「もうそろそろ到着するよ」
昴くんのその声と同時に眼前が蛍光灯のような人工的な明かりではなく、太陽のような温かい光で包まれた。
「――あっ」
思わず声に出してしまったのは、失態だったと思っている。
慌てて口を手で抑えたけど、当然のように聞かれてしまっていた。
「どうかしたの? 黒江ちゃん?」
「ううん、なんでもないよ」
昴くんがキョトンとした眼でこちらを見てくる。
こういうときの昴くんは鋭いから困る。
「なんでもないなら言っても大丈夫だよね? なぁに?」
「うぅ……」
ほら、やっぱり。
「えぇっと……。私達って一応結婚した関係なわけだよね……?」
「一応も何もめちゃくちゃ結婚した関係だよ!」
「えっと、私達って結婚した割に結婚指輪してないなぁーって思って……」
私の言葉に、昴くんは後頭部でも殴られたかのような衝撃を受けた顔をしている。
実際、どうして忘れてしまっていたんだろうという自責の念に囚われ、驚いていた顔が青ざめて来ている。
「そうだった……。なんで僕、忘れてたんだろ……」
自分の頭をポカポカと両手で殴り、物凄く自戒している彼を静止し、何とか話し合いが出来るまでに至った。
「だ! 大丈夫だから! ちょっと思っただけだったから!! 別に必要だとか欲しいだとかそういうわけではないから!」
「駄目だよ! ちゃんとそういう所はしっかりしておかなきゃ!」
私の肩を少し痛いくらいに両手でつかんでくる。きっと本当に彼にとって指輪というものは形式的なものじゃなくて、絵と同じで想いを形にしたものなんだろう。
「えぇっと、指輪を作ってくれる宝石店には心当たりがあるから、そこで買ってもいいんだけど……。せっかくなら宝石自体も手に入れたいよね!?」
「えっ!? そんなこと出来るの!?」
「出来るも何も、黒江ちゃんのいた世界だってどこかでは採掘してたんだからどこでも出来るよ」
「いや、まぁ、確かにそうなのかもしれないけど……」
確かに宝石というものがある以上、どこかかしらで採掘されているものだとは思うけど……。
「警邏四万型さん!」
『はい、絵が書き終わったようであれば退去をお願いします』
「退去するのは構わないけど、クシーナガラ第二十四区に僕の居住権が移住されているって言ってたよね? クシーナガラ居住区のどこかに宝石の原石を扱う店ってあるかな?」
『退去勧告に従うようであれば当該検索依頼を受理します』
絵を描かせてくれたこともそうだけど、意外と柔軟な対応をしてくれる機械だ。
規律があるだろうに、この四万型さんは緩めの人工知能なのだろうか。
『検索完了、クシーナガラ第十五区にクズ石を扱う工場があります。そこで使用しない宝石類を処理しています』
「ありがとう、警邏四万型さん!」
『礼には及びません、それでは退去をお願いします』
「はいはーい」
◇ ◇ ◇
昴くんと私は上下左右が光だらけの空間に立っている。どうやら何かの乗り物らしい。
これで移動しているらしいのだけど……。世界樹の空間とはまた違った不思議な感覚で、どこが地面なのかわからなくなる。
「未来と言っても光速で移動できるなんて技術はなくてね、これも精々音速程度の速度じゃないかな、時速三百キロメートルくらい」
「音速……。あ、いやでも、新幹線とそこまで変わらないと考えたらそこまで異常ではないのかな……?」
これ何の乗り物なんだろう……。乗った時から光に包まれていてよく分からなかった……。
「昴くん、これってどういう仕組で動いてるの……?」
「さぁ、僕もよくわからない」
「えぇ……」
「黒江ちゃんだってさ、電子レンジとかパソコンとか、そういうのがどういう仕組みで動いているかわかる?」
「う、うーん。何となくイメージはできるけど知らないかも……」
「それと同じだよ、僕だって利用はしてるけどよく知らないものなんてたくさんあるさ」
ぐうの音も出ない。
確かに私も使っているけど具体的に「どうやって動いているのか?」と聞かれたら詳しく説明できないものはたくさんある。
そう考えると、色んな物を発明したり、改良する人は本当にすごいなぁ……。
「もうそろそろ到着するよ」
昴くんのその声と同時に眼前が蛍光灯のような人工的な明かりではなく、太陽のような温かい光で包まれた。
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