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第9話 未来世界その1
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私の初めての絵は、私の世界の見知らぬ平凡な大きい公園で描かれた。
次に行く世界はどこにしようか。
自らの世界と後腐れなく別れることが出来たから、別にどの世界でも良かった。
お馴染み、光る世界樹の空間で昴くんと相談をしていた。
「うーん、じゃあルーレット的に決める?」
そんな今晩のおかずを決めるような感覚で……。
いや、それくらいの感覚じゃないと決められないかもしれない。
「じゃあ、じゃんけんで決めよっか。僕が勝ったら空中都市、僕が負けたら水のない世界、あいこだったら未来世界ね」
なにその全部魅力的な世界たち……。
「いっくよー、じゃーんけーん――」
◇ ◇ ◇
来ました、未来です。
「まぁ、未来って言っても並行世界において時間軸なんてあってないようなものだから、本当に未来かどうかなんてわからないんだけどね。あくまで黒江ちゃんがいた時代から見たら未来の文明ってだけな話であって――」
うーん、やっぱりこういう話になると私はまだまだ昴くんについて行けない。
辺りを見回すと一面の星空に一面の草原。
建物は何もないどころか、人も動物も、それこそ小さい虫すらもなにもいない空間だった。
幽霊だから確証はないけど、呼吸は出来るのだと思う。
「多分、待ってると自動的にお迎えが来ると思うから、しばらく待っていようか」
そういうと昴くんは草原に大の字で寝転んでしまった。
「え、そんな悠長な感じで大丈夫なの? この世界って」
正直、未来の世界というものがどういうものなのか全くわからない。
木造のロンドンや魔法のある世界っていうのも、何となく想像は出来る。
でも、未来の世界っていうのはフィクションの中でしか見たことないし、それすら人間の想像の中のものであってリアルではない。
一体どんなものが待ち受けているのだろうか……。
そう身構えていると、一枚の半透明の円盤のようなものが飛んでくるのが見えた。
「お、きたきた」
『精神感応波を検知! 精神感応波を検知! 警告! 警告! ここは進入禁止区域ファーストエルサレムである! 如何なる理由があっても進入を許さず! 幻体居住区域ルンビニへの退去を命じる!』
「はいはい、わかってますよー。サールナート居住区の|幻体《げん|たい》アンドロイド・スバル=グランで照会してみてよ、ファーストとフィフスの立ち入り許可は通《とお》っているはずだよ」
『――照会を開始する』
半透明なフリスビーと会話をする昴くん、完全に手慣れていて何がなんだかわからない。
うーん、やっぱりこういう姿を見ると普段の子供っぽい感じとは違って、頼りがいのある姿に見えてきた。
私の出身世界から彼のことが凄く頼りがいのあるように感じて、少しずつだけど、彼との距離が近づいて、素敵な旦那様に思えてきた。
『照会完了。サールナート居住区は第三十二次アンラマンユ討滅戦にてフィフスエルサレムと共に半壊、貴公の居住権はクシーナガラ第二十四区へ移管され、同時に両エルサレムへの立ち入り権についても剥奪されている』
「えぇー。フィフスはともかくファーストまで剥奪されてるの!?」
『フィフスエルサレム半壊時に立ち入り権についての厳格化が生じ、長期間の立ち入り実績がない者については、権利の剥奪が行われている』
「ちなみに、僕ってどれくらい入ってなかったことになってるの?」
『――照会を開始する』
せめて私のわかる単語を使って欲しい。
多分、現代人が聞いたらそう思うに違いない。
きっと昴くんとこのフリスビーにとっては日常用語なんだろうけど、全く理解ができない。
きっと、昔の人が現代へタイムスリップしてきたらこんな感覚なんだろうなぁ……。
『照会完了。スバル=グランについては一万三千五百二年間の立ち入りが確認されていない。現行制度においては百年間立ち入りがない幻体の立ち入りを禁止している』
「一万三千年かぁー、流石に来るのをサボりすぎたかぁ」
「す、昴くん! いま一万年って!?」
「あぁ、君、警邏四万型だよね? 今って西暦だと何年?」
『現在、西暦五万六千二百四年です』
「というわけ。随分と未来でしょ? 人類はみんなコールドスリープされてこの僕たちが今立ってる巨大施設『エルサレム』の地下に眠ってるんだ」
「未来過ぎるよぉ……」
もっとこう、便利な道具と夢や希望で溢れた未来を期待していたのに……
まさかのディストピアだよぉ……。
「確か西暦四千年くらいに宇宙から機械生命体が襲ってきて人類が滅びかけたんだよね、命名した敵の名前がアンラマンユだったっけか。で、そこから五万年経ってもまだ戦っているってわけ」
「創作物でももっと救いのある内容だよぉ……」
「あ、でもフィフスエルサレムが半壊したってことは人類の六パーセントくらいやられちゃったってこと?」
『肯定。冷凍睡眠施設フィフスエルサレムの破壊によってコールドスリープしていた人類のおよそ十五分の一が死滅しました」
重いよぉ……。
ダメだよこの世界……。重すぎるよぉ……。新婚旅行で来る場所じゃないよぉ……。
「す、昴くん。この世界危なそうだから、早く絵を描いてお暇しましょ……」
「あ、そうだった。絵を描きに来たんだった。僕も久しぶりに来て懐かしくてね。警邏四万型さん、絵を描く時間くらいはいいよね」
頭を掻きながら昴くんが笑っている。
なるほど、昴くんが多少のことで動じないのは、こういう世界も旅していたからなのか……。
それにしても限度ってものがあるよぉ……。
◇ ◇ ◇
そして出来上がった美しい星空の絵は事情を知ってから見ると、何とも言えない儚さがあった。
「あ、これ殆どは星じゃなくて、アンラマンユの要塞基地だよ」
「………………」
人間が誰もいないなら、私達この世界のアダムとイブだね――
なんて冗談が言えるような情勢だったら良かったんだけどなぁ……。
元の世界で私が抱えていた悩みなんて、ちっぽけだったんだなって実感してしまった……。
次に行く世界はどこにしようか。
自らの世界と後腐れなく別れることが出来たから、別にどの世界でも良かった。
お馴染み、光る世界樹の空間で昴くんと相談をしていた。
「うーん、じゃあルーレット的に決める?」
そんな今晩のおかずを決めるような感覚で……。
いや、それくらいの感覚じゃないと決められないかもしれない。
「じゃあ、じゃんけんで決めよっか。僕が勝ったら空中都市、僕が負けたら水のない世界、あいこだったら未来世界ね」
なにその全部魅力的な世界たち……。
「いっくよー、じゃーんけーん――」
◇ ◇ ◇
来ました、未来です。
「まぁ、未来って言っても並行世界において時間軸なんてあってないようなものだから、本当に未来かどうかなんてわからないんだけどね。あくまで黒江ちゃんがいた時代から見たら未来の文明ってだけな話であって――」
うーん、やっぱりこういう話になると私はまだまだ昴くんについて行けない。
辺りを見回すと一面の星空に一面の草原。
建物は何もないどころか、人も動物も、それこそ小さい虫すらもなにもいない空間だった。
幽霊だから確証はないけど、呼吸は出来るのだと思う。
「多分、待ってると自動的にお迎えが来ると思うから、しばらく待っていようか」
そういうと昴くんは草原に大の字で寝転んでしまった。
「え、そんな悠長な感じで大丈夫なの? この世界って」
正直、未来の世界というものがどういうものなのか全くわからない。
木造のロンドンや魔法のある世界っていうのも、何となく想像は出来る。
でも、未来の世界っていうのはフィクションの中でしか見たことないし、それすら人間の想像の中のものであってリアルではない。
一体どんなものが待ち受けているのだろうか……。
そう身構えていると、一枚の半透明の円盤のようなものが飛んでくるのが見えた。
「お、きたきた」
『精神感応波を検知! 精神感応波を検知! 警告! 警告! ここは進入禁止区域ファーストエルサレムである! 如何なる理由があっても進入を許さず! 幻体居住区域ルンビニへの退去を命じる!』
「はいはい、わかってますよー。サールナート居住区の|幻体《げん|たい》アンドロイド・スバル=グランで照会してみてよ、ファーストとフィフスの立ち入り許可は通《とお》っているはずだよ」
『――照会を開始する』
半透明なフリスビーと会話をする昴くん、完全に手慣れていて何がなんだかわからない。
うーん、やっぱりこういう姿を見ると普段の子供っぽい感じとは違って、頼りがいのある姿に見えてきた。
私の出身世界から彼のことが凄く頼りがいのあるように感じて、少しずつだけど、彼との距離が近づいて、素敵な旦那様に思えてきた。
『照会完了。サールナート居住区は第三十二次アンラマンユ討滅戦にてフィフスエルサレムと共に半壊、貴公の居住権はクシーナガラ第二十四区へ移管され、同時に両エルサレムへの立ち入り権についても剥奪されている』
「えぇー。フィフスはともかくファーストまで剥奪されてるの!?」
『フィフスエルサレム半壊時に立ち入り権についての厳格化が生じ、長期間の立ち入り実績がない者については、権利の剥奪が行われている』
「ちなみに、僕ってどれくらい入ってなかったことになってるの?」
『――照会を開始する』
せめて私のわかる単語を使って欲しい。
多分、現代人が聞いたらそう思うに違いない。
きっと昴くんとこのフリスビーにとっては日常用語なんだろうけど、全く理解ができない。
きっと、昔の人が現代へタイムスリップしてきたらこんな感覚なんだろうなぁ……。
『照会完了。スバル=グランについては一万三千五百二年間の立ち入りが確認されていない。現行制度においては百年間立ち入りがない幻体の立ち入りを禁止している』
「一万三千年かぁー、流石に来るのをサボりすぎたかぁ」
「す、昴くん! いま一万年って!?」
「あぁ、君、警邏四万型だよね? 今って西暦だと何年?」
『現在、西暦五万六千二百四年です』
「というわけ。随分と未来でしょ? 人類はみんなコールドスリープされてこの僕たちが今立ってる巨大施設『エルサレム』の地下に眠ってるんだ」
「未来過ぎるよぉ……」
もっとこう、便利な道具と夢や希望で溢れた未来を期待していたのに……
まさかのディストピアだよぉ……。
「確か西暦四千年くらいに宇宙から機械生命体が襲ってきて人類が滅びかけたんだよね、命名した敵の名前がアンラマンユだったっけか。で、そこから五万年経ってもまだ戦っているってわけ」
「創作物でももっと救いのある内容だよぉ……」
「あ、でもフィフスエルサレムが半壊したってことは人類の六パーセントくらいやられちゃったってこと?」
『肯定。冷凍睡眠施設フィフスエルサレムの破壊によってコールドスリープしていた人類のおよそ十五分の一が死滅しました」
重いよぉ……。
ダメだよこの世界……。重すぎるよぉ……。新婚旅行で来る場所じゃないよぉ……。
「す、昴くん。この世界危なそうだから、早く絵を描いてお暇しましょ……」
「あ、そうだった。絵を描きに来たんだった。僕も久しぶりに来て懐かしくてね。警邏四万型さん、絵を描く時間くらいはいいよね」
頭を掻きながら昴くんが笑っている。
なるほど、昴くんが多少のことで動じないのは、こういう世界も旅していたからなのか……。
それにしても限度ってものがあるよぉ……。
◇ ◇ ◇
そして出来上がった美しい星空の絵は事情を知ってから見ると、何とも言えない儚さがあった。
「あ、これ殆どは星じゃなくて、アンラマンユの要塞基地だよ」
「………………」
人間が誰もいないなら、私達この世界のアダムとイブだね――
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