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結章
結章 第四部 第五節
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「ったく、どうしてさっき向こうに行ったのに今度はこっちから来るんだよ……狂い頭に通る論理じゃないにしたって、あべこべ過ぎだろ。なんかさっきから妙な地響きまでしてるし。イカレ王子に引き続き、お次は何のお出ましだ? 聖獣か? 怪物か? ジンジルデッデの流れ星か? もれなく化け物じゃねーか。すかぽらちんきどもめ」
やけくそで独りごちるのだが、自棄なりにさほど続くものでもなく、シゾーは自然と口を閉ざした。そして、改めて対峙する―――やや間合いを置いて、敵視を固めたその青年と。
(イヅェン。イヅェン・ア・ルーゼ。ア族ルーゼ家ヴェリザハーが第三子。後継第三階梯。紅蓮の如き翼の頭衣……)
知りうる限りの情報を並べてみるのだが、現実味はまったく湧かなかった。硝子の壁から浸透する下界からの明かりによって、一片隠さずひけらかされているのだから、受け入れるしかないにしても―――
(紅蓮の如き翼の頭衣は、大事な大事な、かけがえのない国宝です。イエスか? ノゥ)
どう見ても血糊としか思えない汚泥を斑に固まらせて、衣服に張り付きかけている長髪を―――その長い羽を、見やる。上着の血痕の広がり方からして、腹部に重傷を負った結果だと思われたが、だとしたら激痛と貧血で腰だめに長モノの武器など構えていられるわけもない。よくよく目を凝らせば、服は確かに指一本分ほど裂けているものの、そこから垣間見える素肌は白かった―――少なくとも、血で汚れた肌の色だ。血の脈打つ臓物のそれではない。まるで、負傷から全快まで数秒で済ませたかのようにも見える。まさか練成魔士の身の上でもあるまいに、そんなことが在り得たとしたら、人間業ではないが。では、誰の成した業だと言うのか。神か? となると―――
(奇跡はない。イエスか? ノゥ)
認めざるをえず、シゾーは身構えた。胸ポケットの懐剣が頭を過ぎるが、度外視するしかなく―――正気なんだからしょうがない―――、拳打の姿勢を取る。脇を締めて右半身を後ろへ下げ、やや膝を曲げてばねが利くようにしておく。身長差から見積もって、リーチはこちらが上だ。棍を無力化するか、棍が無力となる間合いを制することが出来たなら、シゾーに分がある。とはいえ、それこそ正論だ……狂人に通じるのか、甚だ疑わしくはある。どんな隠し玉があるかどころか、いかな暴投がやってきたところでおかしくはない。狂人。
(後継第三階梯は非常に優秀で、その手腕たるや、姉を旗司誓に匿わせつつ暗殺騒ぎを収拾にかかるくらいです。イエスか? ノゥ)
ノゥ。ノゥ。ノゥ。ありとあらゆる物事にこうまで裏切られては、もうなにひとつ信じられたものではない。だから、すべては疑えたものでもなくなる。楽園は失われていない。極は存在する。神はいる。報いる。こたえる。ゆるされる。祈らなくとも、奇跡は起こる―――
(―――起こるさ。奇跡じゃなくとも。それと同じに違いない……何か。何かが。この世では)
直後、
「滅してくれる―――魔物め。わたしだけは。父の。母の。姉君の……為に。彼女の―――」
恫喝を息巻かせるイヅェンに隙は無かった。まるで、念願叶っての決闘に向かうような……しかもその決闘に打ち克つことを既に知り得ているような堂々さで、棍の尖端を揺らして威嚇を加えてきさえする。
勝ち誇ったその居住まいよりも、シゾーの琴線に触れたのは別のことだった。相手の、血染めにされた服の中心を―――臍の横に邪視を向けて、唾棄を返す。
「彼女の、為。為、為、為ってか?」
目を眇めて、シゾーは両手に拳を固めた。
「よっく分かった。殺さないから殴らせなさい。悪く思うんじゃねぇですよ穴兄弟。忌々しくも、虫唾が走るそいつに瓜ふたつのお前が悪い」
「魔物がアアァァァああ!!」
裂帛の気合いと呼気を吐いて、イヅェンが踏み込んできた。こちらの肩を打つ動線で、真正面から振り下ろしてくる。
後ろではなく横へ跳ね、それを回避する……打ち込みで巻き起こされた風を左耳に感じて、シゾーは怒号した。
「お前って奴は昔っから―――そうだ!」
イヅェンはすぐさま棍を辿るように姿勢を入れ替えると、上体を屈めて、間近から突きを落としてくる。こちらの脛を払って転ばせる目論見だ。
それを避けるついでに、腰から一回転して、勢いを乗せた足の甲で、相手の背面に蹴足を回し込む。
「がっ!」
どこに当たってくれたところで構わなかったのだが、うまいこと腰の裏あたりに極まってくれたらしく、イヅェンが呼吸を断絶させてその場に頽れかかる。その、がくんと落ちかかった胸倉を―――無造作に掴み上げたシゾーは、そのまま両手で締め上げた。
腹の傷が痛んだが、ふつふつと沸騰した腹の底に煮上げられて、それどころではない。一心不乱に、吐息さえ触れ合う間際から、目前にある相手の瞳を睨み上げていた。キルルと同じ黄緑色に、彼女とは似ても似つかない情念を見る―――その、煮こごった澱を知っていた。少なくとも、三年前から知り尽くしていた。だからこそ、言い募るしかない。
「怒り狂って泣き叫んで当たり散らして噛みついて、取り返しがつかなくなるまで苦しめておきながら、いつだって喉元過ぎれば熱さを忘れて性懲りもせず試したりして……そのせいだぞボケナス―――あいつが死んだのは。殺しやがって!」
イヅェンは苦しげにもがいていたが、棍を手放さずにいた。数秒もして状況判断したら、こちらの横腹を打突しにくるだろう。だから先手を打つ。なかば持ち上げているイヅェンもろとも身体を反転させて、全身像を乗せている台座―――その石壁に、脊梁から叩き付けた。
その間も、罵倒は続行されてた。肺臓を乱すと分かっていたとしても……言葉は止まらない。
「自殺させた! 武装犯罪者に拉致された! 全部お前が悪いんだ! お前が逃げ出しさえしてなきゃ、ゼラ・イェスカザは<彼に凝立する聖杯>に居た! シザジアフを、死なせた―――」
そしてシゾーは、イヅェンの首筋に巻かれたチョーカーへ左手を掛けた。しゃきり。しゃきり。しゃきり。無傷の羽毛が触れ合っては言祝いてくる福音を掻き分けて、その未成熟な細首を絞扼する。遮二無二に力を込めたようでいて、過去に会得した習性は発揮されていた―――気管を詰まらせた顔面が毛細血管を弾けさせるほど赤らむのと真逆に、瞬く間に血の気が引いていく。その双眸の焦点が失われるまで数秒、とろんと目蓋が下がるまでは更に数瞬。非定型縊頸。
それすら教え、育てた師を知っている。ゼラ・イェスカザから名を呼ばれ、共に切り落としてきた日月を……知っていた。
「あの人を、裏切り者にした……旗司誓と革命を裏切るまで彼を追い詰めたのは、お前なんだ! 息子の分際で、父を楽園に背約させた! この―――裏切り者め! 死んでしまえ―――」
がらん、と足元から音が立つ。脱力したイヅェンの指が、棍を取り落としたようだ。
まるでその硬い音色に膝を折られたかのように、ずるずるとシゾーはその場に座り込んだ。前のめりに―――相手の眉間へ頭突きするような体勢で俯いて、力なく両手を床へ落とす。支えを失くし、ぐったりと石壁に凭れかかったイヅェンの前で四つん這いにへたり込んだまま、せりふだけは続けていた。口を割っていた。告解していたのかも分からなかった。咎人のように。
それもいいと、今ではそう思えた。すげ替わる―――この裏切りの果て、ひょっとしたらあってくれるかもしれない楽園で、極が存在し、神が報い、こたえるとしたら、ゆるされるまま奇跡は起こる。親に付けられた名を呼ばれた……たったそれだけの引き金から、この世界は彼に予言されていた。シゾー。ツァッ シゾー ギ。イェスカザ。アブフ・ヒルビリ。そのように、運命られた日は予てから訪れ始めていた。烙印は押されていた。息子は父からの原罪を負っている。それは罪だ。だから罰だ。
それでも……誰もが誰もを裏切っている背約者のなかで、なお絶望しない。それは、希望を盲信することではない―――現世を儚み来世をのぞむだけで死を選んでしまえるほど、彼の世界は限られていない。そのことを、彼だから知っていた。すげ替わる住処が、たとえ未知の怪物の領域でも―――化け物らしく、みじめに死んでしまいたくなったとしても、ただ生まれ落ちただけで肉体は生きていく。その、業。神業。罪と罰。
だから、懺悔だ。悔い改めることの出来ない不可避、だからこその懺悔だ。
「死んでしまえば―――いいのに。絶望してしまって、よかった……はずなのに。生まれた、だけで……―――こうまでも終らなくて、当り前のように続いていく―――」
奇跡。奇跡?
(こんな……ことが……)
彼は、【な】いた。
ひとつ、ふたつと、その虹彩を満たす月の蜜色と頬をふやかしては睫毛を濡らして零れていく涙のひと粒さえ、彼は拭わなかった。
ぼたぼたと、糞のように垂れていく鼻水混じりの落涙は、排泄物には違いなくとも、聖水だとしてもおかしくはない。これは、その程度の奇跡だ―――大人から子どもが生まれるくらいの。約束に、小指を絡め合うくらいの、ちっぽけな力。
「わらえないなあ。おっかしい」
大丈夫。
こんなことが奇跡でも。もう大丈夫。いつだって、けちょんけちょんに彼を笑い飛ばしてくれる奴がいる。家族だ。帰ってくるのを待てばいい。
やけくそで独りごちるのだが、自棄なりにさほど続くものでもなく、シゾーは自然と口を閉ざした。そして、改めて対峙する―――やや間合いを置いて、敵視を固めたその青年と。
(イヅェン。イヅェン・ア・ルーゼ。ア族ルーゼ家ヴェリザハーが第三子。後継第三階梯。紅蓮の如き翼の頭衣……)
知りうる限りの情報を並べてみるのだが、現実味はまったく湧かなかった。硝子の壁から浸透する下界からの明かりによって、一片隠さずひけらかされているのだから、受け入れるしかないにしても―――
(紅蓮の如き翼の頭衣は、大事な大事な、かけがえのない国宝です。イエスか? ノゥ)
どう見ても血糊としか思えない汚泥を斑に固まらせて、衣服に張り付きかけている長髪を―――その長い羽を、見やる。上着の血痕の広がり方からして、腹部に重傷を負った結果だと思われたが、だとしたら激痛と貧血で腰だめに長モノの武器など構えていられるわけもない。よくよく目を凝らせば、服は確かに指一本分ほど裂けているものの、そこから垣間見える素肌は白かった―――少なくとも、血で汚れた肌の色だ。血の脈打つ臓物のそれではない。まるで、負傷から全快まで数秒で済ませたかのようにも見える。まさか練成魔士の身の上でもあるまいに、そんなことが在り得たとしたら、人間業ではないが。では、誰の成した業だと言うのか。神か? となると―――
(奇跡はない。イエスか? ノゥ)
認めざるをえず、シゾーは身構えた。胸ポケットの懐剣が頭を過ぎるが、度外視するしかなく―――正気なんだからしょうがない―――、拳打の姿勢を取る。脇を締めて右半身を後ろへ下げ、やや膝を曲げてばねが利くようにしておく。身長差から見積もって、リーチはこちらが上だ。棍を無力化するか、棍が無力となる間合いを制することが出来たなら、シゾーに分がある。とはいえ、それこそ正論だ……狂人に通じるのか、甚だ疑わしくはある。どんな隠し玉があるかどころか、いかな暴投がやってきたところでおかしくはない。狂人。
(後継第三階梯は非常に優秀で、その手腕たるや、姉を旗司誓に匿わせつつ暗殺騒ぎを収拾にかかるくらいです。イエスか? ノゥ)
ノゥ。ノゥ。ノゥ。ありとあらゆる物事にこうまで裏切られては、もうなにひとつ信じられたものではない。だから、すべては疑えたものでもなくなる。楽園は失われていない。極は存在する。神はいる。報いる。こたえる。ゆるされる。祈らなくとも、奇跡は起こる―――
(―――起こるさ。奇跡じゃなくとも。それと同じに違いない……何か。何かが。この世では)
直後、
「滅してくれる―――魔物め。わたしだけは。父の。母の。姉君の……為に。彼女の―――」
恫喝を息巻かせるイヅェンに隙は無かった。まるで、念願叶っての決闘に向かうような……しかもその決闘に打ち克つことを既に知り得ているような堂々さで、棍の尖端を揺らして威嚇を加えてきさえする。
勝ち誇ったその居住まいよりも、シゾーの琴線に触れたのは別のことだった。相手の、血染めにされた服の中心を―――臍の横に邪視を向けて、唾棄を返す。
「彼女の、為。為、為、為ってか?」
目を眇めて、シゾーは両手に拳を固めた。
「よっく分かった。殺さないから殴らせなさい。悪く思うんじゃねぇですよ穴兄弟。忌々しくも、虫唾が走るそいつに瓜ふたつのお前が悪い」
「魔物がアアァァァああ!!」
裂帛の気合いと呼気を吐いて、イヅェンが踏み込んできた。こちらの肩を打つ動線で、真正面から振り下ろしてくる。
後ろではなく横へ跳ね、それを回避する……打ち込みで巻き起こされた風を左耳に感じて、シゾーは怒号した。
「お前って奴は昔っから―――そうだ!」
イヅェンはすぐさま棍を辿るように姿勢を入れ替えると、上体を屈めて、間近から突きを落としてくる。こちらの脛を払って転ばせる目論見だ。
それを避けるついでに、腰から一回転して、勢いを乗せた足の甲で、相手の背面に蹴足を回し込む。
「がっ!」
どこに当たってくれたところで構わなかったのだが、うまいこと腰の裏あたりに極まってくれたらしく、イヅェンが呼吸を断絶させてその場に頽れかかる。その、がくんと落ちかかった胸倉を―――無造作に掴み上げたシゾーは、そのまま両手で締め上げた。
腹の傷が痛んだが、ふつふつと沸騰した腹の底に煮上げられて、それどころではない。一心不乱に、吐息さえ触れ合う間際から、目前にある相手の瞳を睨み上げていた。キルルと同じ黄緑色に、彼女とは似ても似つかない情念を見る―――その、煮こごった澱を知っていた。少なくとも、三年前から知り尽くしていた。だからこそ、言い募るしかない。
「怒り狂って泣き叫んで当たり散らして噛みついて、取り返しがつかなくなるまで苦しめておきながら、いつだって喉元過ぎれば熱さを忘れて性懲りもせず試したりして……そのせいだぞボケナス―――あいつが死んだのは。殺しやがって!」
イヅェンは苦しげにもがいていたが、棍を手放さずにいた。数秒もして状況判断したら、こちらの横腹を打突しにくるだろう。だから先手を打つ。なかば持ち上げているイヅェンもろとも身体を反転させて、全身像を乗せている台座―――その石壁に、脊梁から叩き付けた。
その間も、罵倒は続行されてた。肺臓を乱すと分かっていたとしても……言葉は止まらない。
「自殺させた! 武装犯罪者に拉致された! 全部お前が悪いんだ! お前が逃げ出しさえしてなきゃ、ゼラ・イェスカザは<彼に凝立する聖杯>に居た! シザジアフを、死なせた―――」
そしてシゾーは、イヅェンの首筋に巻かれたチョーカーへ左手を掛けた。しゃきり。しゃきり。しゃきり。無傷の羽毛が触れ合っては言祝いてくる福音を掻き分けて、その未成熟な細首を絞扼する。遮二無二に力を込めたようでいて、過去に会得した習性は発揮されていた―――気管を詰まらせた顔面が毛細血管を弾けさせるほど赤らむのと真逆に、瞬く間に血の気が引いていく。その双眸の焦点が失われるまで数秒、とろんと目蓋が下がるまでは更に数瞬。非定型縊頸。
それすら教え、育てた師を知っている。ゼラ・イェスカザから名を呼ばれ、共に切り落としてきた日月を……知っていた。
「あの人を、裏切り者にした……旗司誓と革命を裏切るまで彼を追い詰めたのは、お前なんだ! 息子の分際で、父を楽園に背約させた! この―――裏切り者め! 死んでしまえ―――」
がらん、と足元から音が立つ。脱力したイヅェンの指が、棍を取り落としたようだ。
まるでその硬い音色に膝を折られたかのように、ずるずるとシゾーはその場に座り込んだ。前のめりに―――相手の眉間へ頭突きするような体勢で俯いて、力なく両手を床へ落とす。支えを失くし、ぐったりと石壁に凭れかかったイヅェンの前で四つん這いにへたり込んだまま、せりふだけは続けていた。口を割っていた。告解していたのかも分からなかった。咎人のように。
それもいいと、今ではそう思えた。すげ替わる―――この裏切りの果て、ひょっとしたらあってくれるかもしれない楽園で、極が存在し、神が報い、こたえるとしたら、ゆるされるまま奇跡は起こる。親に付けられた名を呼ばれた……たったそれだけの引き金から、この世界は彼に予言されていた。シゾー。ツァッ シゾー ギ。イェスカザ。アブフ・ヒルビリ。そのように、運命られた日は予てから訪れ始めていた。烙印は押されていた。息子は父からの原罪を負っている。それは罪だ。だから罰だ。
それでも……誰もが誰もを裏切っている背約者のなかで、なお絶望しない。それは、希望を盲信することではない―――現世を儚み来世をのぞむだけで死を選んでしまえるほど、彼の世界は限られていない。そのことを、彼だから知っていた。すげ替わる住処が、たとえ未知の怪物の領域でも―――化け物らしく、みじめに死んでしまいたくなったとしても、ただ生まれ落ちただけで肉体は生きていく。その、業。神業。罪と罰。
だから、懺悔だ。悔い改めることの出来ない不可避、だからこその懺悔だ。
「死んでしまえば―――いいのに。絶望してしまって、よかった……はずなのに。生まれた、だけで……―――こうまでも終らなくて、当り前のように続いていく―――」
奇跡。奇跡?
(こんな……ことが……)
彼は、【な】いた。
ひとつ、ふたつと、その虹彩を満たす月の蜜色と頬をふやかしては睫毛を濡らして零れていく涙のひと粒さえ、彼は拭わなかった。
ぼたぼたと、糞のように垂れていく鼻水混じりの落涙は、排泄物には違いなくとも、聖水だとしてもおかしくはない。これは、その程度の奇跡だ―――大人から子どもが生まれるくらいの。約束に、小指を絡め合うくらいの、ちっぽけな力。
「わらえないなあ。おっかしい」
大丈夫。
こんなことが奇跡でも。もう大丈夫。いつだって、けちょんけちょんに彼を笑い飛ばしてくれる奴がいる。家族だ。帰ってくるのを待てばいい。
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