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前編
しおりを挟む「私はこんな政略結婚の婚約じゃなくて、ちゃんとした恋愛をしたいんだ!」
ふ~ん。私はそんな貴方と婚約していたために王子妃教育やらなんやらと、自分の時間というものをこれまで持てたのかもわからないんですけどね!
「セバスチャン!」
「は、ただいま用意いたします。」
「ではこの契約用紙にサインをお願いいたします。何事も契約が大事ですからね。そもそもこの政略結婚自体が契約ですし」
わたくし、ナーヴ公爵家では契約を重んじるのです。
契約内容はこうです。
『王太子アレクシス=ダイナブの恋愛を認める。ただし、下記の事案が認められた場合には直ちに婚約破棄とする。
・恋愛相手がアレクシス王太子の子を身ごもった場合
・エレンシア=ナーヴを王太子の恋愛相手が侮辱した場合
・エレンシア=ナーヴが王太子の恋愛相手により心、若しくは体が傷つけられた場合
・アレクシス王太子が恋愛相手をエレンシア=ナーヴよりも重用した場合 』
こんなところでしょうか?
「何か質問疑問などはありますか?」
「私と恋愛相手がどうなるかわからないだろう?」
「だからこの契約なのです」
「恋愛相手が身ごもるって…ないだろう?」
「ありえなくはないでしょう?他の事も無きにしも非ずなことばかりです。常識的にはあり得ないことですが、非常識なことというのが存在するもので。だからこそ『非常識』という言葉が存在するのです」
王太子殿下は契約書にサインをしました。1部は王太子殿下もう1部はわたくしが保管しておきます。サインをしたところはセバスチャンがしっかりと見ております。
王家としましては我がナーヴ家との婚約なくては民からの信頼も得られないし、もちろん金銭的にも無理があります。何としてもわたくしとアレクシス王太子の婚約を維持したいでしょうね。
それなのに、ここに来てアレクシス王太子の「恋愛がしたい」発言。できることなら今すぐに廃嫡してしまいたいくらいの発言です。王太子として大丈夫でしょうか?しかしながら、現在、国王直系の王子はアレクシス王太子ただ一人!廃嫡はできないのです。
王太子殿下は一体誰と恋愛をする気なんでしょう?もうお相手を見つけているのでしょうか?
ため息が出てしまいますね…。
お相手はわたくしの義妹のラールシアですか。そうですね。何度も我が家の方にいらしていますし、お目通りをしていますね。
義妹ですか…。あの、わたくしのものを何でも欲しがる義妹。可哀そうに王太子殿下は義妹に目をつけられていたのですね。
なんとか母様の遺品として小さなブローチは死守したものの、他のものは全部持っていきましたね。使いもしないのに。特にドレス。「流行遅れなのよ」とか文句を言ってました。そんなに言うならわたくしから盗らなきゃ良かったのに…。
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