溺愛魔王は優しく抱けない

今泉 香耶

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魔界召集の夜(2)☆

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 広間の大きな扉の前に並ぶ魔族達。先程の待機室に入ることが出来なかった巨人族の当主を見上げて、アルフレドは小さく笑った。

「オーベリー、入れる高さか」

「はい。お気遣いありがとうございます」

 巨人族の当主は、彼らに伝わる術で小型化をしてから魔王城に来ている。とはいえ、それでもちょうど通路の天井に頭がつくかつかないかといった様子だった。彼らがこれから入る広間と普段アルフレドが謁見を行う間の2部屋は特殊な作りになっており、中に入ってしまえば天井は相当高くなっている。

「巨人族がいると圧迫感すげぇんだよな。術で小さくなってコレなんだろう?」

とダリルは笑って巨人族当主のふとももをパシパシと叩く。温厚なオーベリーは少しだけ屈んで苦笑いを見せた。

「陰になってしまってすまないなぁ」

「陰ぐらいどってことないが、こんだけ密集してる時に転んだりするのはやめてくれよ」

「出来るだけ平静を保って静かに中を歩くさ。俺がどかどか歩くと、床の上でご令嬢達が跳ねてしまうしな……」

 生真面目にオーベリーがそう言うと、魔族達の間にどっと笑いが起きる。アルフレドも口端を一瞬だけ緩めたが、係の魔族が扉の前にやって来たため、すぐさま口を引き結んだ。

「最終確認をいたします。そろそろ転移の時刻です。扉が開きましたら中にお進みになって、花嫁を1人選んで連れてお帰りください。花嫁を巡って争いが起きた場合は交渉をお願いします。それで決まらなければ、花嫁に選ばせる。それも難しいとなった時、初めて戦うことが許可されます」

 実際にはそこまで時間をかけると他の魔族達がどんどん花嫁を決めてしまうため、交渉で終わることがほとんどだ。が、稀に戦が好きな血の気の多い魔族同士がぶつかると、交渉はほんの一言、令嬢に対しても「どうせ選べねぇだろ」と決めつけてすぐさま戦い出す場合もある。昔はそこで当主同士の殺し合いも時にあったと言うのだから、どうしようもない。

「連れ帰った花嫁には迅速にマーキングをして、所有を明示してください。なんらかの問題が発生してマーキングをされない花嫁に関しては、数日間奪い合いが可能です。そちらについては、古きしきたりにより誰も干渉いたしません」

 花嫁に「迅速にマーキング」とは、要するにセックスをして花嫁の中に一定量射精しろ、ということだ。一度マーキングをしてしまえば、高位魔族同士は決してその人間に手を出すことは出来ない。この強引な行為で花嫁達に立場をはっきりと知らせるという意味もあるが、今はもっぱら「争いに巻き込まれないように」とリスク回避の意味合いが強い。 

「ただ、まだマーキングされていない花嫁がいるから、という理由でわざと自分の花嫁に危害を加える行為はお控えください。花嫁は魔界にとっては大切な資源ですから……以上です」

 そこまで話すと係の魔族は扉のドアノブに手をかけ、ぴたりと動きを止めた。 
と、次の瞬間。そこに集まった魔族達は「魔力の流れ」を感じてみな一様に鳥肌を立てた。それは、今から彼らが入ろうとする広間に「多くの人間が転移してきた」ということだ。

(……『いる』……!)

 アルフレドは待ち人が広間の中にいることを確信し、軽く拳を握る。

「それではお入りください」

 その言葉と共に広間の扉は大きく開け放たれ、魔族達の花嫁選びが始まった。



 広間の床に散り散りに座り込んでいるのは見目麗しい令嬢達。人間界から転移された直後で、身を寄せ合うことも出来ず、ただ「そこに出没」したばかりの状態だ。

「揃ったな。今から嫁ぎ先の御方々がお前達を連れて行く。粗相がないように」

 その声と同時に広間の扉が開き、彼女達はみなびくりとそちらに視線を向ける。

「きゃああああああ!」

 扉から異形の者達が入って来た、と気付いた令嬢が甲高い悲鳴を上げた。1人の声が響けば、それがきっかけとなってあちらこちらで金切り声が響く。そして、それに煽られた残虐性が高い魔族は足早に嫁選びを我先にと始める。座り込んでいる令嬢の顔を覗き込んだり、腕を掴んで立たせたり。逃げられるわけもないのに壁側へ身を隠そうとする令嬢は、壁沿いにぐるりと配置されている衛兵に捉えられ、広間の中央へと押し返される。

 花嫁を選ぶ、という言葉は聞こえがいい。が、実際は違う。係の魔族が言っていた「花嫁は魔界の資源」という言葉は、どこか花嫁を「道具」扱いしている言葉だ。そして、それはある種正しい。そもそも、まっとうに「結婚をする将来の伴侶」を選ぶのに、こんな早い者勝ちの集団見合いをさせられることがおかしいのだ。

 見境ない、あるいは「自分は弱いからいち早くマーキングしなければ」と思っている魔族は、ほとんど顔も見ないで手近な場所にいた令嬢を「お前でいいか」と小脇に抱えて、まるでモノを運ぶように広間から出ていく。まだ、少しでも好みの花嫁を、と物色する魔族の方がマシだろう。

 アルフレドは入口近くにいた令嬢に見向きもしないで大股でドカドカと進む。「彼女」が来たならば、他の令嬢の顔すら見る必要はない。この広間で「彼の魔力」を纏っているのはたった1人だ。迷うことも見間違うこともない。

 ああ、やはり「彼女」が魔界召集に選ばれてしまったのか……選ばれなければ人間界で幸せに暮らすことが出来ただろうに。そんな申し訳ない気持ちもあれば、魔界召集でどうせ人間を娶るなら彼女が良かったし、ありがたい……その気持ちもある。どちらも彼にとっては嘘偽りない思いだ。だから、広間の扉が開く直前に。彼女達が転移をして「自分の魔力を纏っている誰かが転移してきた」と感知した瞬間、申し訳なさと喜びはないまぜになって、その感情は彼の足取りを急がせた。

(……いた……! 間違いない。リーエンだ)

 アルフレドが視界に捉えたのは、胸下までのプラチナブロンドをおろして、少しグレーがかった青い瞳を持つ清楚な令嬢だ。眉のカーブが緩やかなせいか、こんな状況で眉根をひそめていても可愛らしい印象の方が強い。

(彼女を見るのは『最後の巡礼の年』以来だから4年前か……その時よりもだいぶ大人になったようだな……)

 アルフレドは床に座り込んでいる彼女の前に立った。彼女は周囲の令嬢が他の魔族に連れていかれた様子に気を取られて、アルフレドが自分の前に立ったことに気付いていなかった。

「お前を娶る」

「え……?」

 声をかければようやく彼女はアルフレドに気付き、座り込んだままで不安そうに彼の顔を見上げる。だが、彼女の反応はそれだけだ。未だ身の上に起こっていることに、現実味を感じられないのだろうと思うアルフレド。ぼんやりと彼を見上げる彼女の唇は、何を言葉にすれば良いのかもわからぬように僅かに半開きになっている。

 そんな彼女の戸惑いはともかく、一刻も早くこの場を離れてマーキングをしなければいけない。いくらなんでもアルフレドが花嫁と決めた者を横取りしようだとか奪おうとするような者はいるはずがないのだが、それでも万が一ということがある……そう思った瞬間。

「……!」

 どくん。

 それは、アルフレドの鼓動のようで彼の鼓動ではない。彼の中の「もう一人が持っている心臓」なんてものは存在しないのだが、言葉にすればそれの音。間違いなくアルフレドの体内で響いたものだが、彼であって彼ではない。アルフレドは胸に手をあてて微かに顔を歪める。

(まずい。おい、まずいぞ。これは……!!)

 清楚な雰囲気の彼女の唇を、胸元が開いたデザインのせいで露わになっている鎖骨を、白い肌を「そういう気持ちで見たわけではない」のに。そうだ。まったく、そういう気持ちで見たわけではないのに、マーキングのことを考えた途端、抑えつけていた「もう一人」が明らかに彼女に欲情しだす。どうしてもマーキングは回避出来ないことだが、それにしたってこれはよろしくない。どうにか抑えなければ……そう思った時にはもう兆候が出ていた。

「聞こえていないのか。お前を娶る。行くぞ」

 それは自分の口から発されたはずなのに少しだけ遠い、と思う。彼女からの返事も聞かずに抱き上げると「きゃあ!」と悲鳴があがる。めくれあがったドレスの裾から見える足を彼女が必死に隠そうとするそのほんの一瞬で、アルフレドは自分の寝室へと強引に転移をした。



 彼の寝室は同じ城内にあるが、居住エリアは広間から離れているため静まり返っている。いつもほんの数刻寝るためだけに使っている殺風景な室内が、あらかじめ灯されていた壁の燭台が橙色に照らしていた。

 アルフレドは広いベッドにそっと彼女を横たえる。彼女は怯えた表情で彼を見上げるばかりで、言葉ひとつ出すことが出来ないようだ。

「お前は今日からこの城で暮らすことになる。ここは俺の寝室だ。お前の部屋は別にある」

「ここは、あなたのお城……?」
 
 リーエンは転移そのものが慣れないためか、驚きつつもなんだかぼんやりしており、声も震えている。人間界から魔界に転移させられ、矢継ぎ早にことが進みすぎて理解が追い付かないのだろう。アルフレドはそんな彼女の靴を勝手に脱がせた。リーエンはびくりと体を震わせたが、靴を脱がせることなぞ一瞬のこと。彼は非難されることも嫌がられることもなく、あっさり床に靴を落としながら説明をする。

「そうだ。お前達を娶るのは高位魔族だけだからな。その多くは自分の城か領地を持っている。中には洞窟暮らしや森暮らしもいるが、俺は違う……ああ、俺の名は、アルフレドだ」

 アルフレドが名乗ると、リーエンは自分が名乗っていないことを思い出したように「あ……」と体を起こそうとした。彼女がはっきりとした意思を見せて動いたのはそれが初めてだ。ようやく、彼女の興味がしっかり自分に向いたな……とアルフレドが感じた瞬間。

(……うっ……)

 プツッ、と、糸が切れたような感触。それは、自分の手で物理的に何かをちぎったのではない。アルフレドの意識の下で張り詰めて、必死に繋ぎとめようとしていたもの。先程からちらりちらりとその兆しを見せていた、それが切れて解き放たれてしまう時が突然やってきた。

(駄目だ……!)

 もう、手が付けられない、とアルフレドは悟る。先程まではリーエンを「抱かなければ」と思ってたのに、今はそれどころではない。抱きたい。いや、抱きたいなんていう優しい表現ではない。犯したい。早く彼女の中に放ちたい。孕ませたい。どんどん大きくなっていく欲望と共に、彼は彼ではないものへと変化してしまう。

「あの、わたしは……」

 リーエンは名乗ろうとしている。彼女の名前はとっくに知っているが「知らない」ことにして、ちゃんと名を聞かなければいけない……聞かなければ。きちんと、聞かなければ……だが、アルフレドのその思考はあっさりと消え去ってしまう。起き上がった彼女のドレスを見て

「邪魔だな」

と口走ると、アルフレドはドレスの胸元に手をかけた。

「え……?」

 突然のことに驚いて体を強張らせるリーエンに、それ以上何の説明もなくその手は驚異的な筋力で彼女のドレスを引きちぎる。

「いやああああああ!!」

 密度が高い布はギチギチと音を立てながら胸元から腰まで裂ける。彼女はドレスの内側に全面レースの肌着を身に着けていたが、それもまるで紙をちぎるかのようにあっけなく彼の手で切り裂かれ、またたく間に白い乳房が零れた。

「やっ、いや、いや、いや!」

「人間の女の服は脱がせるのが面倒だからな」

 必死に抵抗をするリーエンを抱きかかえるように腕を回し、アルフレドは彼女の腰をあっさり持ち上げる。破られて腰のあたりにまとわりついたドレスの残骸をするりと容易に脱がせ、肌着も裂きながら何もかもを床に投げ捨てる。一層リーエンの叫び声は悲痛な響きを増していく。

「嫌、見ないで、やめて! お願い! 離して!」

 あっという間に一糸纏わぬ姿にされてしまった彼女はがくがくと震え、乳房と股間だけは守ろうと腕で隠しながら「やめて……」と必死に声を振り絞って懇願した。が、アルフレドはそれを聞き入れない。

「悪いがあまり時間がない。お前の中に入れて放たせろ」

 彼女はマーキングの必要性も何も知らない。本当はしっかりと説明をして、すぐに抱く無礼を働くことに許し乞うつもりだった。だというのに。なんと強引なことを……アルフレドは他人事のようにそう思うが、残念ながら他人ではない。そんな非道なことを言うのはまごうことなく自分自身だ。

 だが、既に彼自身の制御は失われており、それどころではない。頭のどこかで「どうにかしなければ」と思う意識は僅かに残っているが、それは何の意味もなさない。

 彼であって彼ではないアルフレドは、体を隠すリーエンの腕を無理矢理引き剥がし、怯える彼女を存分に貪ったのだった。
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