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42.王妃との癒着(1)
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「ホロゥも眠るって、あまりイメージ出来ないけど、コンスタンツェは『寝る』って言うのよねぇ」
「まったくわからないことだらけだな、コンスタンツェについては……いや、ホロゥ全般について、まったく謎が解けないって感じだけど」
マリウスはそう言っていたが、涼しげな表情だ。特に彼はコンスタンツェが何をしてももうそんなに驚かない様子だった。
「今、コンスタンツェが君の代わりに回った時のこと、覚えているかい?」
「ううん、残念ながら記憶にないわ。そこだけ、すとん、と抜けている感じ。そうはならないだろうってコンスタンツェは思っていたんでしょうけど……」
「なるほどね」
小さく笑って、マリウスは手をティアナに差し出した。
「まだ10日も時間はあるよ。だけど、折角だ。ターンのところをもう一度だけやって、それからお茶にしよう。情緒のところは、まあ、なんとかなるだろう……多分」
もうすっかり自信を失くしていたティアナだったが、彼のその言葉に「うん」と頷き、差し出された手にそっと手をのせた。
「呆れていない?」
「何がだい?」
「わたしが下手すぎて」
「呆れていないよ」
マリウスのその言葉は、特に何を考えた感じもなくすんなり出た言葉だ。ティアナはそれを聞いて、ほっと胸を撫でおろす。
「ありがとう。申し訳ないけれど、あと10日間わたしの練習に付き合ってくださるかしら?」
「勿論だ」
そう言って、もう一度2人は踊りだした。例のターンのところは、やっぱりうまく回れなかったが、マリウスに「少しはうまくなったみたいだ」と言われて、ティアナは少しだけ安心したのだった。
2人はマリウスの部屋に戻って、茶を飲みながら話を始めた。勿論、それはマイツェンのことだ。
「君から教えてもらってから、マイツェン氏について調べたよ」
「まっ、早いのね?」
「僕のホロゥとラルフの情報網からね。なかなか、ちょっとえげつない話が出て来た」
「え?」
「マイツェン氏、王妃付きの魔導士ではあるけれど、本当は1人の王城御用達商人の令息だからさ。そういう立場に抜擢されるのはよろしくないんだよ」
彼の言葉でティアナは「はっ!?」と驚きの声をあげた。
「あっ? 王城御用達の商人って、複数人いるの?」
「そりゃそうだよ。1人だけに絞ったら、利益一人占めになってしまうし、みな、得意不得意の分野があるからね」
「ああー、なるほど。それじゃ、王妃様がマイツェンさんを王妃付きにしたら……」
「限られた商人と癒着していると言われかねないからね。で、だ。問題というのは、王妃とマイツェン家の癒着が……という話は少し置いといて。過去に、僕の父以外にもあと2件同じように借金をした貴族がいるって話をしただろう?」
「ええ」
「それぞれのね、借金先がわかったのさ。勿論、今調べてもその借金先はわからない。金を返すまではきちんとその名前の人物はいたのかもしれないが、借金を返した後からはやっぱり消息が不明でね。そちらは調べても無駄な感じがした」
だけど、とマリウスの声色が変わる。
「だけど、それぞれの同じ時期に、マイツェン家は国外からの仕入れをしている。それは、魔石のね。今まで、借金の金額に気を取られて、その金額分の取引がないのかと調べていたんだが、これが……」
彼の説明では、どうやら借金額の3割。その金額で魔石の輸入を行っているとの話だった。一商人が魔石の輸入をしても、そこから魔力を吹き込むことは出来ないため、王城側との取引になる。その魔石を王城に買い取ってもらうことになるわけだ。
「だが、近年魔石も高騰しているから、他の商人は一定の量以上は仕入れが出来ない。そこで、マイツェン家はかなり力を入れて魔石を購入している様子でね」
「でも、何もおかしくないんじゃないの? その金額、マイツェン家の方では普通に投資できる金額で、なんていうの、そう。支出? 収入と支出の管理とかは、その、王族御用達であれば余計に管理されたりしてるんじゃない? 違うの?」
「ご明察。その収入側は、王妃だ」
「え?」
「どうも、王妃が援助をしているようでね」
おかしいじゃない? と言うティアナ。何故なら、先ほどマリウスは言っていたからだ。王族御用達とはいえ、そういう商人は複数人いて、王妃とマイツェン家の癒着が問題視すると。
「そう。王妃は、同じように他の王城御用達の商人たちに援助をしている。だから、何も問題はない。表向きね」
「表向き……?」
「言っただろう。商人には得手不得手があるって。魔石はみんな同じように扱いたい。あれは、王城側は高値でも買うからね。魔道具も魔石も、王城からすればすべて買い取りたいんだ。何故なら、魔法使いがあまりいないから。その代わりになるもの、生活魔法として自分たちが使っている分は最低限欲しい。勿論、貴族もそうだ」
意識はしていなかったが、マリウスの話ではずいぶんと魔石に価値があるようだと気づくティアナ。それを言えば、彼は笑って
「そりゃそうだよ。王城の通路は夜になっても明るい場所がある。それらは全部魔石だよ。下手に火を焚けば、まかり間違えば火事になってしまうけれど、魔石ならば問題がない。魔石のほとんどは他のもので代わりが効くけれど、それ以上の価値があるんだ。それから、王城の見張り台に設置された魔石。それらは遠見が出来る石だ。しかも、暗くても見える。他にもいろいろあるよ。それに、貴族の邸宅でも大量に使われているしね」
と、改めて説明をしてくれた。
「まったくわからないことだらけだな、コンスタンツェについては……いや、ホロゥ全般について、まったく謎が解けないって感じだけど」
マリウスはそう言っていたが、涼しげな表情だ。特に彼はコンスタンツェが何をしてももうそんなに驚かない様子だった。
「今、コンスタンツェが君の代わりに回った時のこと、覚えているかい?」
「ううん、残念ながら記憶にないわ。そこだけ、すとん、と抜けている感じ。そうはならないだろうってコンスタンツェは思っていたんでしょうけど……」
「なるほどね」
小さく笑って、マリウスは手をティアナに差し出した。
「まだ10日も時間はあるよ。だけど、折角だ。ターンのところをもう一度だけやって、それからお茶にしよう。情緒のところは、まあ、なんとかなるだろう……多分」
もうすっかり自信を失くしていたティアナだったが、彼のその言葉に「うん」と頷き、差し出された手にそっと手をのせた。
「呆れていない?」
「何がだい?」
「わたしが下手すぎて」
「呆れていないよ」
マリウスのその言葉は、特に何を考えた感じもなくすんなり出た言葉だ。ティアナはそれを聞いて、ほっと胸を撫でおろす。
「ありがとう。申し訳ないけれど、あと10日間わたしの練習に付き合ってくださるかしら?」
「勿論だ」
そう言って、もう一度2人は踊りだした。例のターンのところは、やっぱりうまく回れなかったが、マリウスに「少しはうまくなったみたいだ」と言われて、ティアナは少しだけ安心したのだった。
2人はマリウスの部屋に戻って、茶を飲みながら話を始めた。勿論、それはマイツェンのことだ。
「君から教えてもらってから、マイツェン氏について調べたよ」
「まっ、早いのね?」
「僕のホロゥとラルフの情報網からね。なかなか、ちょっとえげつない話が出て来た」
「え?」
「マイツェン氏、王妃付きの魔導士ではあるけれど、本当は1人の王城御用達商人の令息だからさ。そういう立場に抜擢されるのはよろしくないんだよ」
彼の言葉でティアナは「はっ!?」と驚きの声をあげた。
「あっ? 王城御用達の商人って、複数人いるの?」
「そりゃそうだよ。1人だけに絞ったら、利益一人占めになってしまうし、みな、得意不得意の分野があるからね」
「ああー、なるほど。それじゃ、王妃様がマイツェンさんを王妃付きにしたら……」
「限られた商人と癒着していると言われかねないからね。で、だ。問題というのは、王妃とマイツェン家の癒着が……という話は少し置いといて。過去に、僕の父以外にもあと2件同じように借金をした貴族がいるって話をしただろう?」
「ええ」
「それぞれのね、借金先がわかったのさ。勿論、今調べてもその借金先はわからない。金を返すまではきちんとその名前の人物はいたのかもしれないが、借金を返した後からはやっぱり消息が不明でね。そちらは調べても無駄な感じがした」
だけど、とマリウスの声色が変わる。
「だけど、それぞれの同じ時期に、マイツェン家は国外からの仕入れをしている。それは、魔石のね。今まで、借金の金額に気を取られて、その金額分の取引がないのかと調べていたんだが、これが……」
彼の説明では、どうやら借金額の3割。その金額で魔石の輸入を行っているとの話だった。一商人が魔石の輸入をしても、そこから魔力を吹き込むことは出来ないため、王城側との取引になる。その魔石を王城に買い取ってもらうことになるわけだ。
「だが、近年魔石も高騰しているから、他の商人は一定の量以上は仕入れが出来ない。そこで、マイツェン家はかなり力を入れて魔石を購入している様子でね」
「でも、何もおかしくないんじゃないの? その金額、マイツェン家の方では普通に投資できる金額で、なんていうの、そう。支出? 収入と支出の管理とかは、その、王族御用達であれば余計に管理されたりしてるんじゃない? 違うの?」
「ご明察。その収入側は、王妃だ」
「え?」
「どうも、王妃が援助をしているようでね」
おかしいじゃない? と言うティアナ。何故なら、先ほどマリウスは言っていたからだ。王族御用達とはいえ、そういう商人は複数人いて、王妃とマイツェン家の癒着が問題視すると。
「そう。王妃は、同じように他の王城御用達の商人たちに援助をしている。だから、何も問題はない。表向きね」
「表向き……?」
「言っただろう。商人には得手不得手があるって。魔石はみんな同じように扱いたい。あれは、王城側は高値でも買うからね。魔道具も魔石も、王城からすればすべて買い取りたいんだ。何故なら、魔法使いがあまりいないから。その代わりになるもの、生活魔法として自分たちが使っている分は最低限欲しい。勿論、貴族もそうだ」
意識はしていなかったが、マリウスの話ではずいぶんと魔石に価値があるようだと気づくティアナ。それを言えば、彼は笑って
「そりゃそうだよ。王城の通路は夜になっても明るい場所がある。それらは全部魔石だよ。下手に火を焚けば、まかり間違えば火事になってしまうけれど、魔石ならば問題がない。魔石のほとんどは他のもので代わりが効くけれど、それ以上の価値があるんだ。それから、王城の見張り台に設置された魔石。それらは遠見が出来る石だ。しかも、暗くても見える。他にもいろいろあるよ。それに、貴族の邸宅でも大量に使われているしね」
と、改めて説明をしてくれた。
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