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15-4.コンラート無双(4)
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(よかった。わたしの家の様子を見ているっていうことは、まだ、わたしの家族を殺していない……わたしの監視をしていた男たちから、合図みたいなものが送られていなかったっていうことよね……?)
そうでなければ、ここにその男たちがまだいるはずがない。それに「家の様子を見ている」とコンラートは言っていた。要するに、家には入っていない。そして、この近くにいる、という意味なのだろう。
(お願い。そうであって欲しい……)
と、彼女が祈っていると、少し離れた場所で「ぎゃっ」という男性の声が小さく聞こえる。バネッサの鼓動は、どくん、と高鳴った。
「!」
それから、先ほどの声とは別の場所で、何かが上から落ちる音がした。ドン、と地面にぶつかる音。それから、そこに近づくコンラートが何かを話している声。
(ああ、まさか、また、殺してしまうの? 自分が殺される側だったから……?)
バネッサはよろりと立ち上がった。終わるまでここにいて、と言われたが、じっとしていられないと思ったからだ。だが……。
「バネッサ」
「きゃっ!?」
「わあ、驚かせましたか、すみません」
「お、お、驚いた、わ……」
短い距離だったのに、コンラートは転移をしてバネッサの目の前に突然現れた。突然のことで、立ち上がったバネッサはそのままどん、と腰を地面についてしまう。
「男たちは気を失ってもらったので、あなたの家族の安全を確認しましょう」
「あっ……そう、そうね。でも、その、こんな夜中なので……」
「うーん? そうか。そうしたら、えーーーっと……この家ですよね?」
コンラートは手のひらを上に向けて、呪文を唱えた。すると、手のひらの上に、ぽうっと柔らかな光を放つ球体が現れる。
「そう。この家よ」
「じゃあ、わたしが中の探知をしますね」
「探知って、なぁに」
「人の存在を確認するという意味です。ああ、やつらがあなたにやったみたいに、監視をするとかではなくてですね……人が、生きているのか、何人いるのか、それを感じ取る。そんなところかな」
そう言ってコンラートは家の前に立った。うん、うん、と何やら頷きながら、彼はじっと家を見ている。が、その目は家を見ているわけではない……そんな風にバネッサには思えた。
「男が一人。女が一人。子供、ええっと、十歳ぐらいかな? それぐらいの、男の子と女の子が一人ずつ。みんな眠っているようですね」
「……よかった」
ほっと息をつくバネッサ。彼女のその様子を見て、彼女の家の家族構成がそれであっていたのだとコンラートも小さくほっと息をついた。
「一応、この家に対して誰かが魔法を行使したらわかるようにしていきます。うーん、この家から出た場所で何かをされたらそれはわかりませんけど……多分、もう大丈夫じゃないかな。そんなことをするメリットは本来やつらにもなさそうですしね」
そう言ってコンラートは何やら呪文を口の中でもごもごと唱えた。その様子を、バネッサは不思議そうに見ている。
(この人、本当に色んな魔法を使うのね。そのどれも、当たり前のように……)
つくづく、彼は規格外なのだろう。魔塔の主と呼ばれるだけはある、と今更ながら「あなた、凄いのね」と言えば、彼は笑って「そうなんです、凄いんですよ」と返して来る。それらは、あまりにもいつも通りの応酬だ。そのおかげで、やっとバネッサは肩の力が少し抜けた気になった。
「ひとまずはこれで。思う所はあるのでまた後で……」
コンラートの小さな呟きを聞き取れなかったバネッサは「え?」と声をあげたが、彼は何も言わずに小さく笑った。
「いえいえ。じゃあ、帰りましょうか」
「その、二人は……?」
「大丈夫です。後で、回収にこさせますから」
彼の言葉の意味をバネッサはよくわからなかったが、とにかく家族の安全を確保出来たことだけは理解をした。
のちのち、仕方なく魔塔に三人を運んだハーニィが更にここにいた二人も回収をしていった、ということをバネッサは知ることになるのだが、今日のところはよくわからないまま、転移をして娼館に戻るのだった。
そうでなければ、ここにその男たちがまだいるはずがない。それに「家の様子を見ている」とコンラートは言っていた。要するに、家には入っていない。そして、この近くにいる、という意味なのだろう。
(お願い。そうであって欲しい……)
と、彼女が祈っていると、少し離れた場所で「ぎゃっ」という男性の声が小さく聞こえる。バネッサの鼓動は、どくん、と高鳴った。
「!」
それから、先ほどの声とは別の場所で、何かが上から落ちる音がした。ドン、と地面にぶつかる音。それから、そこに近づくコンラートが何かを話している声。
(ああ、まさか、また、殺してしまうの? 自分が殺される側だったから……?)
バネッサはよろりと立ち上がった。終わるまでここにいて、と言われたが、じっとしていられないと思ったからだ。だが……。
「バネッサ」
「きゃっ!?」
「わあ、驚かせましたか、すみません」
「お、お、驚いた、わ……」
短い距離だったのに、コンラートは転移をしてバネッサの目の前に突然現れた。突然のことで、立ち上がったバネッサはそのままどん、と腰を地面についてしまう。
「男たちは気を失ってもらったので、あなたの家族の安全を確認しましょう」
「あっ……そう、そうね。でも、その、こんな夜中なので……」
「うーん? そうか。そうしたら、えーーーっと……この家ですよね?」
コンラートは手のひらを上に向けて、呪文を唱えた。すると、手のひらの上に、ぽうっと柔らかな光を放つ球体が現れる。
「そう。この家よ」
「じゃあ、わたしが中の探知をしますね」
「探知って、なぁに」
「人の存在を確認するという意味です。ああ、やつらがあなたにやったみたいに、監視をするとかではなくてですね……人が、生きているのか、何人いるのか、それを感じ取る。そんなところかな」
そう言ってコンラートは家の前に立った。うん、うん、と何やら頷きながら、彼はじっと家を見ている。が、その目は家を見ているわけではない……そんな風にバネッサには思えた。
「男が一人。女が一人。子供、ええっと、十歳ぐらいかな? それぐらいの、男の子と女の子が一人ずつ。みんな眠っているようですね」
「……よかった」
ほっと息をつくバネッサ。彼女のその様子を見て、彼女の家の家族構成がそれであっていたのだとコンラートも小さくほっと息をついた。
「一応、この家に対して誰かが魔法を行使したらわかるようにしていきます。うーん、この家から出た場所で何かをされたらそれはわかりませんけど……多分、もう大丈夫じゃないかな。そんなことをするメリットは本来やつらにもなさそうですしね」
そう言ってコンラートは何やら呪文を口の中でもごもごと唱えた。その様子を、バネッサは不思議そうに見ている。
(この人、本当に色んな魔法を使うのね。そのどれも、当たり前のように……)
つくづく、彼は規格外なのだろう。魔塔の主と呼ばれるだけはある、と今更ながら「あなた、凄いのね」と言えば、彼は笑って「そうなんです、凄いんですよ」と返して来る。それらは、あまりにもいつも通りの応酬だ。そのおかげで、やっとバネッサは肩の力が少し抜けた気になった。
「ひとまずはこれで。思う所はあるのでまた後で……」
コンラートの小さな呟きを聞き取れなかったバネッサは「え?」と声をあげたが、彼は何も言わずに小さく笑った。
「いえいえ。じゃあ、帰りましょうか」
「その、二人は……?」
「大丈夫です。後で、回収にこさせますから」
彼の言葉の意味をバネッサはよくわからなかったが、とにかく家族の安全を確保出来たことだけは理解をした。
のちのち、仕方なく魔塔に三人を運んだハーニィが更にここにいた二人も回収をしていった、ということをバネッサは知ることになるのだが、今日のところはよくわからないまま、転移をして娼館に戻るのだった。
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