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学園編
1.天理のヒロインは…
しおりを挟む『ミーシャ・デュ・シテリン無能化計画』は完遂した!
次、取り組むべきは――『マリー・トーマンとクリストフ殿下の縁結び計画』、だ!
◇
入学式の前日、私はかなり疲れていた…………。
前回は、三、四日かけて学園へ向かったところを、今回は二日で到着するよう、強行軍で向かったのだからしかたがない。朝早くに自宅を出て、到着したのは翌朝だった。
強行軍となってしまったのは、諸事情で出発が数日ずれ込んだから。しかも、前日までに行わなければならなかった事務手続きが、一部残っていたことが発覚!
到着期限が一日前倒しになってしまった!
……確認ミスうんぬんは、まあ……はい、自業自得です。言い訳させてもらえば、私はギリギリまで忙しかったんだよ……初めてのことだったし……色々と……。
前回は、使用人を連れて全て行わせた上、わがままを言い事務手続きの締め切りを、数日引き延ばさせていた。今回は、わがままを言わず手続きも自分で行うから、前日には到着していないと、ご迷惑をおかけしてしまう……。
学園の周囲には、警備のために元・常備軍の面々が行商を装いうろついている。しかし今は、王族であるクリストフ殿下が通っているので近衛兵が警備についている。彼等は変装することなく、近衛の制服のまま、正門と裏門、そして校内にも数名配備されている。
到着後、入寮手続きを済ませ、馭者の帰りを見送り、自室(寮)の片付けに取りかかったのだが――――疲れた!! 荷物は極力減らしたのだけれど、本とか変装道具とか諸々増えて、結局、結構な量になってしまった。
四階建ての女子寮は、階ごとに仕様が異なっている。
一階は平民(準男爵や騎士)、二階は下位貴族、三階は上位貴族、四階は王族や教会上層部に属する者が使用することとなっている。
前回、私はわがままを言って四階の使用権を得た。今回はそんなことはしない。なんなら一階でも二階でも構わない。
……と思っていたのに、なぜか学園側が気を回して四階に割り当てられた!
理由は、『わたくし』が使っていたのと同じ、「王族の婚約者だから」。
前回は「婚約者と言えども、特別扱いはできない!」と言われていたのに??
四階にも部屋は複数あるが、現在使われているのは私にあてがわれた部屋のみ。ここ数年は使用されていなかった。後に増設された昇降棟と呼ばれるエレベーターでの移動が可能だ。私が知るそれと比べると、かなり速度は遅いけど。
室内は、簡易キッチンが一つ、リビングルームが二つ、寝室が一つで、バストイレは別。これで一人部屋なのだ。三階は一人部屋と二人部屋、二階は二人部屋で一階は三人部屋となっている。
時間も体力も奪われたが、昼過ぎにはなんとか片付いた。一段落がつくと、今度は小腹がすいてきた。四階には特別に小さな食堂施設がある。事前予約必要なしに、学園の食堂から職人を派遣してもらうことが可能なのだけれど……それは使わないようにしよう!
なぜなら、今の私は作業員姿で片付けを行っていたからだ!
ドレス姿で力仕事なんてできるはずないだろう! この作業服はかなり頑丈に出来ていて、多少の切り傷、擦り傷からは確実に身を守ってくれる。
――食堂行くか。
試しに作業員姿で、三階へ階段へ降りてみた。三階には上流階級のドレス姿のご令嬢方がいた。だが、こちらをまるで空気を見るような目で一瞥すると、すぐに楽しいおしゃべりに戻った。
――四階から使用人が降りてきても、誰も不思議に思わない…………と。
寮を出て、学内の様子を確認すると、あちこちに私服姿の少年少女がいる。制服姿の者もいるが、大抵の者はスーツやドレスを身にまとっていた。
制服を着ているのは、恐らく、平民だろう。
ドレス姿のご令嬢の前を、頭を下げながら足早に通り過ぎる制服姿の少女。
スーツ姿の御子息の後を、荷物持ちのようについて歩く制服姿の少年。
……うーん、進歩的な光景ではない……かな。
じっと見ていると絡まれそうだったので、足早にその場を通り過ぎ、食堂へと急いだ。
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