悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ

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学園編

31.お休み中は…

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 学園が長期休暇中、私は結局、自宅へは帰らないことにした。

 案の定、マリー・トーマンに対する風当たりが強くなってしまったからだ。
 クリストフ殿下が、あの場で彼女ではなく私を連れて行ってしまったせいで、『マリー・トーマンが私に怪我をさせた!』と、まことしやかにささやかれるようになってしまった。

 人の口に戸を立てることほど、難しいことはない。
 反対に言えば、望みの噂を流すことほど容易たやすいことはないのだ。前回、私はマリー・トーマンを貶める噂を大量に流し続けてきた。それは彼女の精神をさいなみ、後期の考査結果へ影響を与えるに十分なもので……私はとても、満足していた。

 ――――――――――――――――――どこまで愚かだったのだ、自分は。


 噂は別の噂でかき消すしか無い。
 マリー・トーマンにそれなりの地位があれば……。あるいは、前回同様、好成績をおさめていれば……今の彼女を貶める噂以上に彼女を称賛する噂を流すことは容易たやすかっただろう。成績優秀者は、学園創設者の子孫である陛下への覚えめでたいことは間違いないからだ。平民の入学を認めている時点で、偏見がないことは既に明示されている。


 ――さて、どうしたものか………………。





 ◇◆◇ ◇◆◇



 今朝は朝早くから、ふんして王都へ出ていたのだが――。

「ナナミ?!」
「マリー? 何してるの、ここで?」
「あ……ははは……バイト……」

 家庭教師のバイトをこなすため、私はここへ来ていた。
 バイトは午前で終了したため、ランチをとろうと、既に馴染なじみみとなったセオドーニア商会のショッピングモールを訪れ――カートで飲食物を売っているマリー・トーマンと遭遇したのだ。

 ピンクの三角巾とエプロンが制服だろうか? カートもピンク色で随分と可愛らしいではないか。若い女性にターゲットを絞っているようで、ナカナカに公表のようだ。

 彼女のバイトが終わったのは、午後も三時を回った頃だった。
 別に待ち合わせをしていたわけではないが……なんとなく、マリー・トーマンの仕事ぶりを遠くの喫茶店から眺めていた。

 ――なぜバイトを? というか、彼女には有象無象を蹴散らせる程の才女になってもらう必要がある。だから、こんなところで労働せずに、勉学に励んでいて欲しい。寄付金が少なかったのだろうか?

 だとしたら、働く必要があるのは彼女ではなく私…………ああ、そうか!
 前期の最中も、ずっとバイトしていたのではないか?!
 悪の商人が寄付していた金額は、私が寄付している金額より、もっとずっと多かったのかもしれない。私がもっと頑張って働かなくては!!

 について調べようがないから、推察するしかないけど――ともかく!
 彼女と少々――話をする必要がありそうだ。

 前回も隠れてバイトしていたのだろうか? 確かめる術はない。



 ◇


 彼女のバイト終了時刻を見計らって、彼女を喫茶店へ誘い――早速、本題に入った。

「ねえ、孤児院ってそんなに経営状態悪いの?」
「ううん! そんなことはないよ! えっと……ちょっと、学園に入ってからやっぱり物入りで……」

 言葉を濁しながら「えへへ」と笑うマリー・トーマン。
 これは……この表情は、一番始めに彼女をこの街で見かけた際に見たそれと同じではないか。

 の様子を見る限り、パトリックも彼女のバイト地獄のことは知らないようだ。知っていたらあの場で対策していただろうし、私にも何かしら言うだろう。
 その原因が、孤児院の経営難ではなくとか……。

 ……原因はデリアだけではないのかもしれない。
 この間の熱湯ポットの件もあるし、諸々と再燃してしまったものもあるだろう。

 ひとまず、学園から補助金という形にして彼女に送金するとして……性質の悪い者たちは……どうしたものか。






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