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学園編
46.多面的な三角関係の足音
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今日のバイトは少し早く終わった。
生徒が順調に成長しているようで満足満足。このままいけば、私の生徒たちを文官として紹介できるかも。ゆくゆくは職業斡旋事業にも取り組むことができれば――なんてことを考えるのは後にしよう。
ナナミの姿でランチを食堂で、しかもゆっくり落ち着いて――となると、少し時間をずらさないといけない。
まだお腹も空いていないし、寮室で時間になるまで大人しく待つか。
――と思っていたのだけれど、女子寮エントランスにデリア・リナウドご一行様がたむろしてる。
一戦交えるのは面倒だ。
例の子息令嬢は来ないスポットへ向かおうかな? と思ったけど、あそこはなんだかんだで殿下と遭遇することが多い。控えるか。
じゃあ、旧図書館行ってみる? あそこはパトリックが殿下を連れてきたりしなければ遭遇することもないだろう。子息令嬢も新館があるのだからこっちには来ないだろうし。
◇
そう思って旧図書館へとやって来て――慌てて本棚の陰に隠れた!
――マリー・トーマンとパトリックだ!
エントランスから見える位置にいなかったから気付かなかった!
いい雰囲気でいる……ような気がする。いや、お互い節度ある距離感なんだけど。パトリックの気持ちは知っているし、マリー・トーマンの複雑な乙女心も。
二人は何やら楽しげに小声で話をしながら、近くの本棚を漁っている。
勉強というよりも、何やら捜し物をしているみたい? 授業で必要な資料でもあるのかな?
何を話しているのか……聞き耳を立てるのは無粋だよな。邪魔をしないようにこの場からも立ち去ってお――――。
「君は……ナナミ・キクハラ?」
――クリストフ殿下! あれ? ということは……三人で勉強会?
「彼等もいたようだな」
――知らなかったのか! こ、これはもしや、三角関係に突入??!
考えてみたら、どうせもめるのなら正々堂々とやり合ってしまった方が逆にいいのでは?
「君も大変だな」
「何がですか?」
不意に殿下がそんなことを言ってきた。意味不明だ。
そういう彼の顔は穏やかなのだから、なおさら意味が分からない。
「君も彼女たちを避けてここへ来たのではないか?」
これはもしや…………。
・
・
・
クリストフ殿下の話によると――、
食堂でデリア軍団にまとわりつかれ、それを避けて平民御用達スポットへ向かってもまとわりつかれ、ここへ逃げてきたらしい。
まあ、私はそうなる前にここへ避難してきたわけなんだけど。
ランチの後でお腹いっぱいだったら、アイツラなんて一網打尽なんだけどね!!
「君の目から見て、パトリックはどう見える?」
その視線の先にパトリックを捉えたまま、殿下はそう問いかける。
意味不明再び、だけど――。
「普通に毎日楽しそうだと思いますけど……」
私に対する恐怖心や恨み辛みも、自分で気をつけないと感じられなくなってしまうくらいに、彼は…………優しい。
「何か気にかかることがあるんですか?」
「……いや、私の考えすぎだろう。気にしないでくれ」
逆行してこの方、クリストフ殿下とパトリックは親友のような間柄だと思ってた。
しかし、パトリック側の事情を色々と知っていくと分からなくなる。
派閥の関係で親から強制的に結ばされた縁、そしてそんな王族の尻拭い……。
思うところがあったとしても不思議はない。
以前からそうだったのだとしたら、これは相当根深い問題に発展しそうだ。
「あの、殿下は何を気にされている感じ……なのでしょう?」
「何、とは?」
――パトリックとマリー・トーマンの仲を気にしての発言? それとも、純粋にパトリックとの間に距離を感じているだけ?
私には分からないパトリックの異変を感じ取っているのだとしたら、私もそれは知っておきたい。
知らない間に、何か新しい問題に巻き込まれているのだとしたら、力になりたい。
今も、パトリックの失恋という心の傷に塩を塗り込んでいるようなものだし。
「殿下は、その……マリーを夜会にお誘いしましたよね?」
「……ああ」
「マリーはえっと、とあるご令嬢に謝罪するのが目的だったそうですが……殿下もそうだったんですか? 本当にそれだけですか?」
あの日は、マリー・トーマンがものすごい勢いで逃げたから、あんな結果になってしまっただけなのかも。
「君は、私が彼女を誘ったから、彼女に個人的に好意があるのではないかと思っているのか?」
「えっと……はい……」
威圧されているわけではない。というのに、どうにもこう……やりづらい。
何だろう? 本能がこれ以上の話題はやめた方がいいと告げる。
――そう、だな。遠いとはいえ、同じ空間内にパトリックとマリー・トーマンもいるわけだし。
「好意を抱いていたから誘った、それは正しい」
――おおっ、やっぱり!
「ただ……当人には、断られてしまったのだけれどね」
――――――――――ん?
生徒が順調に成長しているようで満足満足。このままいけば、私の生徒たちを文官として紹介できるかも。ゆくゆくは職業斡旋事業にも取り組むことができれば――なんてことを考えるのは後にしよう。
ナナミの姿でランチを食堂で、しかもゆっくり落ち着いて――となると、少し時間をずらさないといけない。
まだお腹も空いていないし、寮室で時間になるまで大人しく待つか。
――と思っていたのだけれど、女子寮エントランスにデリア・リナウドご一行様がたむろしてる。
一戦交えるのは面倒だ。
例の子息令嬢は来ないスポットへ向かおうかな? と思ったけど、あそこはなんだかんだで殿下と遭遇することが多い。控えるか。
じゃあ、旧図書館行ってみる? あそこはパトリックが殿下を連れてきたりしなければ遭遇することもないだろう。子息令嬢も新館があるのだからこっちには来ないだろうし。
◇
そう思って旧図書館へとやって来て――慌てて本棚の陰に隠れた!
――マリー・トーマンとパトリックだ!
エントランスから見える位置にいなかったから気付かなかった!
いい雰囲気でいる……ような気がする。いや、お互い節度ある距離感なんだけど。パトリックの気持ちは知っているし、マリー・トーマンの複雑な乙女心も。
二人は何やら楽しげに小声で話をしながら、近くの本棚を漁っている。
勉強というよりも、何やら捜し物をしているみたい? 授業で必要な資料でもあるのかな?
何を話しているのか……聞き耳を立てるのは無粋だよな。邪魔をしないようにこの場からも立ち去ってお――――。
「君は……ナナミ・キクハラ?」
――クリストフ殿下! あれ? ということは……三人で勉強会?
「彼等もいたようだな」
――知らなかったのか! こ、これはもしや、三角関係に突入??!
考えてみたら、どうせもめるのなら正々堂々とやり合ってしまった方が逆にいいのでは?
「君も大変だな」
「何がですか?」
不意に殿下がそんなことを言ってきた。意味不明だ。
そういう彼の顔は穏やかなのだから、なおさら意味が分からない。
「君も彼女たちを避けてここへ来たのではないか?」
これはもしや…………。
・
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・
クリストフ殿下の話によると――、
食堂でデリア軍団にまとわりつかれ、それを避けて平民御用達スポットへ向かってもまとわりつかれ、ここへ逃げてきたらしい。
まあ、私はそうなる前にここへ避難してきたわけなんだけど。
ランチの後でお腹いっぱいだったら、アイツラなんて一網打尽なんだけどね!!
「君の目から見て、パトリックはどう見える?」
その視線の先にパトリックを捉えたまま、殿下はそう問いかける。
意味不明再び、だけど――。
「普通に毎日楽しそうだと思いますけど……」
私に対する恐怖心や恨み辛みも、自分で気をつけないと感じられなくなってしまうくらいに、彼は…………優しい。
「何か気にかかることがあるんですか?」
「……いや、私の考えすぎだろう。気にしないでくれ」
逆行してこの方、クリストフ殿下とパトリックは親友のような間柄だと思ってた。
しかし、パトリック側の事情を色々と知っていくと分からなくなる。
派閥の関係で親から強制的に結ばされた縁、そしてそんな王族の尻拭い……。
思うところがあったとしても不思議はない。
以前からそうだったのだとしたら、これは相当根深い問題に発展しそうだ。
「あの、殿下は何を気にされている感じ……なのでしょう?」
「何、とは?」
――パトリックとマリー・トーマンの仲を気にしての発言? それとも、純粋にパトリックとの間に距離を感じているだけ?
私には分からないパトリックの異変を感じ取っているのだとしたら、私もそれは知っておきたい。
知らない間に、何か新しい問題に巻き込まれているのだとしたら、力になりたい。
今も、パトリックの失恋という心の傷に塩を塗り込んでいるようなものだし。
「殿下は、その……マリーを夜会にお誘いしましたよね?」
「……ああ」
「マリーはえっと、とあるご令嬢に謝罪するのが目的だったそうですが……殿下もそうだったんですか? 本当にそれだけですか?」
あの日は、マリー・トーマンがものすごい勢いで逃げたから、あんな結果になってしまっただけなのかも。
「君は、私が彼女を誘ったから、彼女に個人的に好意があるのではないかと思っているのか?」
「えっと……はい……」
威圧されているわけではない。というのに、どうにもこう……やりづらい。
何だろう? 本能がこれ以上の話題はやめた方がいいと告げる。
――そう、だな。遠いとはいえ、同じ空間内にパトリックとマリー・トーマンもいるわけだし。
「好意を抱いていたから誘った、それは正しい」
――おおっ、やっぱり!
「ただ……当人には、断られてしまったのだけれどね」
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