悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ

文字の大きさ
69 / 106
学園編

46.多面的な三角関係の足音

しおりを挟む
 今日のバイトは少し早く終わった。

 生徒が順調に成長しているようで満足満足。このままいけば、生徒たちを文官として紹介できるかも。ゆくゆくは職業斡旋あっせん事業にも取り組むことができれば――なんてことを考えるのは後にしよう。

 ナナミの姿でランチを食堂で、しかもゆっくり落ち着いて――となると、少し時間をずらさないといけない。
 まだお腹もいていないし、寮室で時間になるまで大人しく待つか。
 ――と思っていたのだけれど、女子寮エントランスにデリア・リナウドご一行様がたむろしてる。

 一戦交えるのは面倒だ。
 例の子息令嬢は来ないスポットへ向かおうかな? と思ったけど、あそこはなんだかんだで殿下と遭遇することが多い。控えるか。
 じゃあ、旧図書館行ってみる? あそこはパトリックが殿下を連れてきたりしなければ遭遇することもないだろう。子息令嬢も新館があるのだからこっちには来ないだろうし。

 ◇

 そう思って旧図書館へとやって来て――慌てて本棚の陰に隠れた!

 ――マリー・トーマンとパトリックだ!

 エントランスから見える位置にいなかったから気付かなかった!
 いい雰囲気でいる……ような気がする。いや、お互い節度ある距離感なんだけど。パトリックの気持ちは知っているし、マリー・トーマンの複雑な乙女心も。

 二人は何やら楽しげに小声で話をしながら、近くの本棚をあさっている。

 勉強というよりも、何やら捜し物をしているみたい? 授業で必要な資料でもあるのかな?
 何を話しているのか……聞き耳を立てるのは無粋だよな。邪魔をしないようにこの場からも立ち去ってお――――。


「君は……ナナミ・キクハラ?」
 ――クリストフ殿下! あれ? ということは……三人で勉強会?
「彼等もいたようだな」
 ――知らなかったのか! こ、これはもしや、三角関係に突入??!
 考えてみたら、どうせもめるのなら正々堂々とやり合ってしまった方が逆にいいのでは?

「君も大変だな」
「何がですか?」
 不意に殿下がそんなことを言ってきた。意味不明だ。
 そういう彼の顔は穏やかなのだから、なおさら意味が分からない。
「君もを避けてここへ来たのではないか?」
 これはもしや…………。
 ・
 ・
 ・
 クリストフ殿下の話によると――、
 食堂でデリア軍団にまとわりつかれ、それを避けて平民御用達ごようたしスポットへ向かってもまとわりつかれ、ここへ逃げてきたらしい。
 まあ、私はそうなる前にここへ避難してきたわけなんだけど。

 ランチの後でお腹いっぱいだったら、アイツラなんて一網打尽なんだけどね!!

「君の目から見て、パトリックはどう見える?」
 その視線の先にパトリックを捉えたまま、殿下はそう問いかける。
 意味不明再び、だけど――。
「普通に毎日楽しそうだと思いますけど……」
 私に対する恐怖心やうらつらみも、自分で気をつけないと感じられなくなってしまうくらいに、彼は…………優しい。

「何か気にかかることがあるんですか?」
「……いや、私の考えすぎだろう。気にしないでくれ」

 逆行してこの方、クリストフ殿下とパトリックは親友のような間柄だと思ってた。
 しかし、パトリック側の事情を色々と知っていくと分からなくなる。
 派閥の関係で親から強制的に結ばされた縁、そしてそんな王族の尻拭い……。
 思うところがあったとしても不思議はない。
 からそうだったのだとしたら、これは相当根深い問題に発展しそうだ。

「あの、殿下は何を気にされている感じ……なのでしょう?」
「何、とは?」
 ――パトリックとマリー・トーマンの仲を気にしての発言? それとも、純粋にパトリックとの間に距離を感じているだけ?
 私には分からないパトリックの異変を感じ取っているのだとしたら、私もそれは知っておきたい。

 知らない間に、何か新しい問題に巻き込まれているのだとしたら、力になりたい。
 今も、パトリックの失恋という心の傷に塩を塗り込んでいるようなものだし。

「殿下は、その……マリーをにお誘いしましたよね?」
「……ああ」
「マリーはえっと、とあるご令嬢に謝罪するのが目的だったそうですが……殿下もそうだったんですか? 本当にそれだけですか?」

 あの日は、マリー・トーマンがものすごい勢いで逃げたから、あんな結果になってしまっただけなのかも。

「君は、私が彼女を誘ったから、彼女に個人的に好意があるのではないかと思っているのか?」
「えっと……はい……」

 威圧されているわけではない。というのに、どうにもこう……やりづらい。
 何だろう? 本能がこれ以上の話題はやめた方がいいと告げる。
 ――そう、だな。遠いとはいえ、同じ空間内にパトリックとマリー・トーマンもいるわけだし。

「好意を抱いていたから誘った、それは正しい」
 ――おおっ、やっぱり!
「ただ……当人には、断られてしまったのだけれどね」

 ――――――――――ん?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

【完結】領主の妻になりました

青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」 司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。 =============================================== オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。 挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。 クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。 新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。 マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。 ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。 捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。 長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。 新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。 フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。 フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。 ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。 ======================================== *荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください *約10万字で最終話を含めて全29話です *他のサイトでも公開します *10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします *誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです

婚約破棄された令嬢の細やかな異世界生活

岡暁舟
恋愛
奥手な第一王子クロビッツから婚約破棄を宣告された公爵令嬢のカナエ。与えられた自由に生きる権利。権利を謳歌する令嬢の物語。

結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。 そして、屋敷から出ると決め 計画を実行したら 皮肉にも失敗しそうになっていた。 そんな時彼に出会い。 王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす! と、そんな時に聖騎士が来た

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang
恋愛
皇女シエラ・ヒペリュアンと皇太子ジェレミア・ヒペリュアンは血が繋がっていない。 シエラは前皇后の不貞によって出来た庶子であったが皇族の醜聞を隠すためにその事実は伏せられた。 元々身体が弱かった前皇后は、名目上の療養中に亡くなる。 現皇后と皇帝の間に生まれたのがジェレミアであった。 "容姿しか取り柄の無い頭の悪い皇女"だと言われ、皇后からは邪険にされる。 皇帝である父に頼んで婚約者となった初恋のリヒト・マッケンゼン公爵には相手にもされない日々。 そして日々違和感を感じるデジャブのような感覚…するとある時…… 「私…知っているわ。これが前世というものかしら…、」 突然思い出した自らの未来の展開。 このままではジェレミアに利用され、彼が皇帝となった後、汚れた部分の全ての罪を着せられ処刑される。 「それまでに…家出資金を貯めるのよ!」 全てを思い出したシエラは死亡フラグを回避できるのか!? 「リヒト、婚約を解消しましょう。」         「姉様は僕から逃げられない。」 (お願いだから皆もう放っておいて!)

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

処理中です...