この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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48. 《カイン視点》 『ふれることも、許されたい』

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ルカに触れたとき。
──俺の時間は、いつも止まってしまう。

小さな体。まあるいほっぺ。いつも抱えてる、あの兎のぬいぐるみ。
そして、何よりも──あの優しい声。

名前を呼ばれるたび、胸の奥が苦しくなる。
嬉しいのに、怖い。
この気持ちが“ただの憧れ”じゃないことくらい、自分が一番わかってる。

 



 

最近、俺はルカと少し距離を取っていた。

“あの日”、ルカを泣かせたことがあったから。

強く掴みすぎた。
自分の気持ちを抑えきれなくなって──あんなに怖がらせてしまった。

もう、あんな思いはさせたくない。
だから近づくのをやめた。
触れるのも、声をかけるのも、できるだけ我慢した。

……でも。

 

「カインくん、今日もお昼寝いっしょしてくれないの?」

 

あの声。
少し不安そうな、でも信じてくれてる声。

胸の奥で、なにかが崩れた。

「……いいよ」

思わず答えていた。
もう我慢なんて、できなかった。

 



 

昼寝布団の中、
ルカの小さな手が、俺の指をちょこんと握ってくる。

「カインくんのて、あったかいねぇ……」

「……ルカの手も、あったかいよ」

その一言で、救われた気がした。

震えるような、愛おしい沈黙。

 

ルカがすぅ……と寝息を立てはじめる。

寝顔を見てるだけで、胸がきゅうっとなって、
「……好きだ」って言葉が、喉までこみ上げた。

けど、言えなかった。
言ってしまったら──壊れそうで。

 

だからせめて、この指先くらいは。
そっと、そっと、ルカの手を包み込んだ。

 

魔法日めくりカレンダーより:
『ふれてしまった心には、もう戻れない。
でも、それでも、あなたに優しくありたい』

 

この想いが報われなくてもいい。
でも、もう一度、ルカに「好き」と言ってもらえたなら──

それだけで、俺は生きていける。

 
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