『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊

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第一章:九条カケル、世界の終わりにマイホームを買う。

第10話「現代侵食の序曲、守る者の選択」

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 ……状況が完全に、おかしい。

 

 俺のマイホームのリビングに、異世界の草が生え始めていた。
 壁にはうっすらと、蔦のような魔力の筋が這い、
 冷蔵庫の表面には――魔導文字にしか見えない謎の刻印が浮かび上がっている。

 

「これ、絶対ヤバいやつだろ……!」

 

 クローゼットの中からは、風のような魔力の波が断続的に漏れ出していた。
 扉の奥には、昨日見た異世界――エルダリア王国の石畳が、淡く揺らいでいる。

 

 リュシアが、静かに告げた。

「カケル様。これは“世界の重なり”です。あなたの聖域認定によって、異世界と現代が結合を始めました」

「俺の“黒歴史設定”が……世界侵食してんのか……!」

 

 だがそれだけでは終わらない。
 異世界女子たちは、どこか遠足気分だった。

 

「カケル~! この“魔導鏡”ってどうやって使うんだ?」
 ソファでティアラが、テレビのリモコンをカチャカチャ。

 

「その小箱に浮かぶ光景……まさか、記録された幻影精霊……?」
 ティアラは、リモコンをまるで使役杖のように握って、
 「この“刻印”を押せば、命令が通るのか?」と真剣に語っていた。

 

 一方、ユリィカはPCの前で眉をひそめる。

「この“端末”、内部に……精霊が封じられている……?」

 マウスを逆さに持ち、画面上のアイコン群を指でなぞりながら、うなるように呟いた。

「各所に浮かぶこの“制御符”……魔道具のインターフェースか……。直感的ではありますが、魔力反応が極めて高い……!」

 

 いずれにしても――

「誰も正しい意味では理解してねぇ!!」

 

 突っ込む気力も失われかけたその瞬間――

 

 ――ピンポーン。

 

 玄関チャイムが鳴った。

 

「……っ!」

 俺はインターホンへダッシュ。画面を見ると――
 町内会のおばちゃんがニコニコしながら立っていた。

 

『あら~、こんにちは。昨日お引っ越しされた九条さんよね? これ回覧板なんだけど、あとゴミの分別ルールをちょっとだけ……』

 

 日常。リアル。超現実。

 

 この状況で、町内会の人が来る――
 その瞬間、最悪の事態が起きた。

 

「カケル様ぁ♡ 脱いだ下着、まだ乾いてないみたいです~♡」
「“かいらんばん”……それは“脱衣の合図”と解釈してよろしいのですか?」
「玄関に敵性存在確認。戦闘準備、装備状況:下着」

 

 ――玄関の隙間から、全員半裸で覗き込んできた。

 

 おばちゃん、固まる。

 

 「ち、ちがっ、違うんですうううううううう!!!!」

 

 俺は即座にクローゼットに駆け寄った。

「……この家は、俺の聖域だ。異世界でも現代でも、絶対に“居場所”であるために――ここは、俺が守る!!」

 

 クローゼットから銀光が炸裂。
 空間の重なりが静まり、草が消え、刻印が薄れ、
 家具も元に戻り、家全体が静けさを取り戻していく。

 

 リュシアが微笑んだ。

「これで、境界は安定しました。しばらくは安心です」

「……しばらくって何……?」

 

 ドアを開けると、町内会のおばちゃんは、苦笑いしながら言った。

『……ご、ご家族?』

「ちがうんですぅうううううううううううううううううう!!!!!」

 

 こうして俺のマイホームは、
 異世界と現代をつなぐ“境界領域”として機能することとなった。
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