君と過ごした最後の一年、どの季節でも君の傍にいた

七瀬京

文字の大きさ
6 / 42

05.僕に贈ることが出来るメッセージ

しおりを挟む

 スマホの中、桜吹雪の中、悠真が笑っている。
 机の上に広げたノートと教科書。本当は、そっちを見なければならないのに、僕は勉強そっちのけで、スマホばかり眺めている。
 悠真のことがいつから好きなのかよく解らないけど、気が付いたら、好きになっていて。
 修学旅行とか、学校行事の間でも、今まで写真を撮ったことはなかったから、いま、こうして自分のスマホに、悠真の写真があるのが、信じられないような気がしている。
 同時に、少し、悪いことをしているような気にもなっている。
 悠真は、僕の気持ちを知ったら、気持ち悪がるんじゃないだろうか?
 そんなことを思っていると、メッセージが入った。
 クラス全員向けのメッセージだ。

 悠真:今日、陽翔と一緒に通学路の写真撮った。桜並木。陽翔は共有よろしく。

 青木:やる気ある!

 池田:たしかに桜なんて明日まで持つか解らないからな。

 中川:成瀬君、写真よろしく。今後、写真の保存とかってどうする?
 中川:このメッセージに貼り付けていく感じ?
 中川:私達も良い感じの写真が撮れたらここに流してOK?

 悠真:じゃ、専用のグループ作ろう。アルバム用のやつ。

 舞依:そうだね。それが良さそう!

 僕がモタモタしているうちに皆の会話が進んでいく。
 なんとなく、あの桜の満開のなかの悠真の写真をここに流したくなくて、気後れしていると、促されたので仕方がなく僕は写真を投げる。

 結城:おーっ、笑顔じゃん。もっと桜メインのほうが良いんじゃない?

 舞依:でも、悠真くん、めっちゃ笑顔だからこれはこれで良いと思うんだけど。

 青木:藤本の言うとおりじゃないかな。桜だけの写真も良いと思うけど、校舎とか通学路は、人が居てこそのものだ。

 中川:それにしても、良い写真だね。佐伯が男前に見える。

 悠真:ひどいなー。俺は男前でしょ。

 結城:うちらの中では一番モテるんじゃないか? 修学旅行の時、他校の女の子から告白されてただろ。

 悠真:俺のことはいいよ。それより、次、写真とるならどこがいい? アイディア出してよ。


 その為にメッセージを立ち上げたのか、と僕は納得した。実際、今日から動き始めているということを伝えて、その上でアイディアを募る。その法が、色々な案を出してくれそうだった。


 舞依:教室とかは? 誰も居ない教室とか、授業中の様子とか。

 悠真:その為には、先生達の説得も必要だな。

 中川:解った、早急に案を考えよう。青木もよろしく。

 青木:そうだね。こっちは任せて貰って大丈夫。できるだけ早く許可が貰えるようにするよ。一旦、資料が出来たら皆で作戦会議はさせてね。あと、細部は佐伯に相談するから。

 悠真:解った。よろしく頼む。


 僕は、「じゃあ、明日は教室を撮影すれば良い?」とメッセージを投げる。

 悠真:そうだな。手が空いてる人はとりあえず撮影に向かってくれ。写真は沢山あった方が良いだろう。

 結城:じゃ俺らも写真を撮る。藤本は、どういうところが『エモ』そうなのか、教えてくれ。

 舞依:『エモ』は見たら解るでしょ~。良いよ、私も一緒に行くね。



 アルバムの話をしているうちに、一人二人、と寝落ちしたらしく応答がまばらになっていく。
 そろそろ、終わりにしようと、僕が言おうとした時、悠真がぽんっとメッセージを投げてきた。グループ宛ではなかった。

 悠真:今日の写真ありがとう。良い感じに撮って貰えて嬉しい。今度、駅前のコンビニでプリントしてくる。

 僕が撮った写真を、悠真は部屋に飾ってくれるのだろうか。
 そうだとしたら嬉しい。
 ドキドキしつつ、僕は照れ隠しに心にもないことを言った。

 僕:ナルシストかよ。


 僕に贈ることが出来るメッセージなんて、こんなモノだけだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

青い炎

瑞原唯子
BL
今日、僕は同時にふたつの失恋をした——。 もともと叶うことのない想いだった。 にもかかわらず、胸の内で静かな激情の炎を燃やし続けてきた。 これからもこの想いを燻らせていくのだろう。 仲睦まじい二人を誰よりも近くで見守りながら。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

三ヶ月だけの恋人

perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。 殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。 しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。 罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。 それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。

向日葵畑で手を繋ごう

舞々
BL
琥珀は付き合っていた彼氏に「やっぱり男とは手が繋げない」とフラれてしまい、そこから更に人を避けて生きるようになった。笑うことさえなくなった琥珀を心配した母親は、琥珀の夏休み期間だけ自分の生まれ故郷である秩父へと送り出す。そこで久しぶりに再会した悠介は、琥珀のことを子ども扱いするものの、事あるごとに自然と手を繋いでくれる。秩父の自然に触れながら、琥珀はいつしか明るく優しい悠介に惹かれていったのだった。

笑って下さい、シンデレラ

椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。 面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。 ツンデレは振り回されるべき。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

孤毒の解毒薬

紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。 中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。 不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。 【登場人物】 西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。 白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

処理中です...