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05.僕に贈ることが出来るメッセージ
しおりを挟むスマホの中、桜吹雪の中、悠真が笑っている。
机の上に広げたノートと教科書。本当は、そっちを見なければならないのに、僕は勉強そっちのけで、スマホばかり眺めている。
悠真のことがいつから好きなのかよく解らないけど、気が付いたら、好きになっていて。
修学旅行とか、学校行事の間でも、今まで写真を撮ったことはなかったから、いま、こうして自分のスマホに、悠真の写真があるのが、信じられないような気がしている。
同時に、少し、悪いことをしているような気にもなっている。
悠真は、僕の気持ちを知ったら、気持ち悪がるんじゃないだろうか?
そんなことを思っていると、メッセージが入った。
クラス全員向けのメッセージだ。
悠真:今日、陽翔と一緒に通学路の写真撮った。桜並木。陽翔は共有よろしく。
青木:やる気ある!
池田:たしかに桜なんて明日まで持つか解らないからな。
中川:成瀬君、写真よろしく。今後、写真の保存とかってどうする?
中川:このメッセージに貼り付けていく感じ?
中川:私達も良い感じの写真が撮れたらここに流してOK?
悠真:じゃ、専用のグループ作ろう。アルバム用のやつ。
舞依:そうだね。それが良さそう!
僕がモタモタしているうちに皆の会話が進んでいく。
なんとなく、あの桜の満開のなかの悠真の写真をここに流したくなくて、気後れしていると、促されたので仕方がなく僕は写真を投げる。
結城:おーっ、笑顔じゃん。もっと桜メインのほうが良いんじゃない?
舞依:でも、悠真くん、めっちゃ笑顔だからこれはこれで良いと思うんだけど。
青木:藤本の言うとおりじゃないかな。桜だけの写真も良いと思うけど、校舎とか通学路は、人が居てこそのものだ。
中川:それにしても、良い写真だね。佐伯が男前に見える。
悠真:ひどいなー。俺は男前でしょ。
結城:うちらの中では一番モテるんじゃないか? 修学旅行の時、他校の女の子から告白されてただろ。
悠真:俺のことはいいよ。それより、次、写真とるならどこがいい? アイディア出してよ。
その為にメッセージを立ち上げたのか、と僕は納得した。実際、今日から動き始めているということを伝えて、その上でアイディアを募る。その法が、色々な案を出してくれそうだった。
舞依:教室とかは? 誰も居ない教室とか、授業中の様子とか。
悠真:その為には、先生達の説得も必要だな。
中川:解った、早急に案を考えよう。青木もよろしく。
青木:そうだね。こっちは任せて貰って大丈夫。できるだけ早く許可が貰えるようにするよ。一旦、資料が出来たら皆で作戦会議はさせてね。あと、細部は佐伯に相談するから。
悠真:解った。よろしく頼む。
僕は、「じゃあ、明日は教室を撮影すれば良い?」とメッセージを投げる。
悠真:そうだな。手が空いてる人はとりあえず撮影に向かってくれ。写真は沢山あった方が良いだろう。
結城:じゃ俺らも写真を撮る。藤本は、どういうところが『エモ』そうなのか、教えてくれ。
舞依:『エモ』は見たら解るでしょ~。良いよ、私も一緒に行くね。
アルバムの話をしているうちに、一人二人、と寝落ちしたらしく応答がまばらになっていく。
そろそろ、終わりにしようと、僕が言おうとした時、悠真がぽんっとメッセージを投げてきた。グループ宛ではなかった。
悠真:今日の写真ありがとう。良い感じに撮って貰えて嬉しい。今度、駅前のコンビニでプリントしてくる。
僕が撮った写真を、悠真は部屋に飾ってくれるのだろうか。
そうだとしたら嬉しい。
ドキドキしつつ、僕は照れ隠しに心にもないことを言った。
僕:ナルシストかよ。
僕に贈ることが出来るメッセージなんて、こんなモノだけだ。
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