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あの夏
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あの日、僕は愛夜さんの過去を知った。病気になった時のこと、死ねないという残酷、愛夜さんは僕に教えてくれた。
そして、近々永命病を治すための手術をするらしい。でも、その手術が成功したら愛夜さんは………
「なぁに?そんな浮かない顔して」
叔母が病院のナース服を着替えて、いつもの私服で更衣室から出てきた。叔母は心配してるのかからかっているのかよく分からない瀬戸際の反応を見せたと同時に、冷たい缶のサイダーを僕にくれた。
「ねぇ、愛夜さん、本当に手術を受けること受理したの?」
「らしいけど、もうご両親もご親族の方もお亡くなりになられているのよ。だから多分本人の意思だと思うわ」
「やっぱりそうだよね……」
僕は叔母のその応答にさらに気分がどんよりした。
自らが望んで、本当にそんな選択をするのかな。どうして……
不意に思い出すことなんて山ほどあった。でも、その記憶をいちいち深追いはできなかった。今も見なきゃならなかった。なにせ、僕は明日未来ちゃんに言わなければならないことがある。
僕は叔母の車に乗って、家まで送ってもらった。当たりは既に真っ暗で、時間もかなり遅くなっていた。
「平気?」
叔母は車から降りて背を向けた僕に、心から心配するように言った。僕はその言葉が少し胸に刺さって、大丈夫じゃないと甘えたいところだったが、深呼吸をしてその言葉をしまい込んだ。
「うん、大丈夫。おやすみなさい」
僕は極力元気な声で答えて、叔母のほうは見ずにアパートの自分の部屋へ入った。
部屋に入った瞬間、何かが溢れ出た。
冷たくてぬるい。目の前のすべてがぼやけて、白昼夢を見ているようだった。僕はそのまま力が抜けて、眠り込んでしまった。
「ねぇ見て!」
「愛夜さん?」
「私、手術成功したの!」
「本当ですか!?」
「そう!無事に手術も終えて、私は生きてるの!最近の科学とかの発展のおかげで、死ななくても良くなった!これからは、君と同じ時間を過ごせる!」
「本当によかった!じゃあ、どこかへ遊びに行きましょうよ。2人だけで!」
「ねぇ、ずっと聞いてなかったの。君の名前は?」
その瞬間、ゆっくりと目が覚めた。こぼれ落ちた涙は頬の上で乾いていた。
「名前……僕の名前は……」
そう言えば、誰かに名前を呼ばれる機会がなくなっていた。クラスではいつも根暗、家族もいないから名前は呼ばれないし、叔母にはあまり会えないから呼ばれることもない。人との関わりが少なくなって、唯一自分を示す名前さえ呼ばれなくなっていた。けれど、僕自身それにはきづいていなかった。
「……なんだっけ」
冗談だ。もちろん。名前はわかってる。けれどそれは、自分の中でわかっている自分の名前。僕が覚えていないのは、他人から呼ばれる他人からした名前。もう僕は、他人に呼ばれる名前を忘れてしまっていた。
リリリリリ。リリリリリ。
目覚まし時計の音がして時計を見た。時計は6時過ぎを示していた。僕は音を切ろうと、目覚まし時計の電源を落として、制服に着替えた。
朝ごはんは適当にコンビニで買って済ませて、またいつもの通りに学校へ行く。
玄関まで来て、不意に何か嫌になった。学校って何だって、不意にそんなこと思うほど、もう無気力だった。
「うわ」
そんな声がして目の前を見ると、未来ちゃんが丁度下駄箱のところにいた。
未来ちゃんは携帯の画面をつけたままで、僕を睨んで舌打ちをした。たまたま、ちらっとだけ画面が見えて、そこには「出会い系」とあった。
「なに?そのサイト」
「あ?」
未来ちゃんは苛立ちをむき出しにしながらきつく睨みつけてきた。
「あ、いや」
「勝手に見といて首突っ込もうってわけ?クッソ迷惑」
未来ちゃんはそう吐き捨てて去ってしまった。
予想はしていたけど、さすがにこたえた。
このまま引き返して逃げ帰りたいとさえ思った。また悪夢が蘇るなら、もう成績なんてどうでもよかった。
とりあえず教室に行くと、黒板には「死ね」の文字と数々の悪口、それとどこかで盗撮でもされたのか、病室で愛夜さんと話す僕の写真があった。
「おいお前ー、今度は病人に手ぇ出すんか?」
男子の誰かがそういうとみんなして笑った。「ありえねぇ!」「死んだ方がいいってー」そんな言葉も聞こえた。
こんなの……あんまりだ
僕は悲しみと怒りに任せて、黒板に貼られた無数の写真と、乱雑に書かれた文字という文字を、黒板消しが見当たらないので手のひらで必死に消した。
嫌になって黒板消しを探し出した。でも、どこにも見当たらなかった。
僕は悔しくなって、笑い転げるみんなを見た。中には俯いて見ないふりをしている人もいたし、教室から逃げ出す人もいた。
「なんで……何でこんなこと」
僕は涙目だったんだと思う。笑いがますます大笑いになっていった。
「何泣いてんだよ」
「女かお前」
男子達は笑いながらそう言った。女子はただただ笑っていた。
「俺の女泣かせた罰だ。お前ら、派手にやれ」
主犯格っぽい男子がそういうと、その周りの男子が寄ってたかって僕の顔や体を殴る、蹴る、投げる、骨が折れたんじゃないかって思うくらい痛かった。折れたどころか、砕けたんじゃないかってくらい痛かった。
「おい根暗、次に作真の未来に手ぇ出したらぶっ殺すからな」
赤い宝石が光るネックレスをした男子がそう言うと、作真(?)君は鼻で笑って上から目線で僕を睨みつけた。
たった数分で、何もかも嫌になった。ダメになってしまった。こんなことが毎日続くのかと考えると、お先真っ暗だった。しかし、逃げずにいようとは思った。
逃げたくはなかった。なぜだろう……
その日の放課後、僕は逃げるように愛夜さんの元へ行った。
「どうしたのその怪我!?」
愛夜さんは、まるでどこかの奥さんみたいにそう言った。でも僕は答えられなかった。愛夜さんだって1人の患者。不安にさせるのはいけないと思った。
「何でもないんです。ただぶつけただけで」
「違うよね?あれ?忘れたの?隠し事はだめだよ」
愛夜さんは罪な顔でそう言って、僕に無理矢理にでも吐かせようとした。でも僕は、出そうになる言葉という言葉を無理やり押し込んだ。愛夜さんが無理やり出そうとするように、無理矢理しまい込んだ。
「何でもないんです。本当に」
その翌日もその翌日も、こんなことが続いた。理由もなく殴られ蹴られ、悪口を言われ、嫌がらせを受け、盗撮を繰り返され。
そんなある日、愛夜さんがいる病院から学校へ連絡があって、盗撮をしている生徒を見かけた、生徒から直接の謝罪を受けるまで、家族などの関係ではない人は、患者への面会は一切謝絶と言われた。最悪の気分だった。少しでも多く愛夜さんの顔が見たい。少しでも長く。
「おい、お前のせいだからな」
「お前が土下座なりして謝罪してこいよ」
「好きな人に会えなくなるぜ?」
みんな笑いながら僕にそう言った。
「愛夜に会いたいんでしょ?ほら、土下座の練習しなよ」
置くから未来ちゃんが出てきて、僕を見下ろしてそう言った。屈辱なんかなかった。ただ、怖かった。その目が、その態度が、何かが怖くて、戦いた。恐れた。
怖くて口が開かなかった。
怖くて体が動かなかった。
怖くて意識がぐらついた。
怖くて吐きそうになった。
ダメだ……何も出来ない
「つまんな」
多分、作真君だったと思う。
背中に強く何かが当たって、僕は力なく倒れ込んでしまった。その姿を見て、また誰かが笑う。みんながつられて笑い出す。
もうダメだった。もう、何もかも残ってない。もう何も……
僕は教室のドアの前で道を塞ぐ女子達を力の限り押し飛ばして、ドアを勢いよく開けてその場が逃げた。逃げる先なんてないのに、ただそこから消えたくて、何も無いどこかへと逃げた。
とりあえず屋上にいてみた。
ここなら、気兼ねなく呼吸できた。
会えなくなって、どれくらいたった?まるで、1年経ったんじゃないかと思えた。日課のように通っていた愛夜さんのいる病院も、立ち入り禁止のようなもの。どうやって会いに行けばいいのかわからなかった。
謝ればそれで終わるだろうか。
謝ればまた会いに行けるだろうか。
そもそも、愛夜さんは僕と会うことを望んでいるのだろうか。
会いたくないから面会謝絶なんて処分を下したのか。僕が…何をしたっていうんだ
「おーい、根暗君今日は女に会いに行かないのか?」
男子達はからかった。
校門を出、帰り道を向く。頭にペットボトルが当たって、少し痛い。反対方向は愛夜さんの場所。
「僕が何したっていうんだよ!!」
気づけばそんな言葉を吐いていた。吐き捨てて去る。走り抜けて反対へ。愛夜さんのいる場所は……どこだろう?
男子達はびっくり仰天して、僕を凝視していたと思う。そんなこと、どうでもよかった。人目もはばからず、泣きわめいて走り去った。みっともなかった。自分でも大笑いしたくなるほど、みっともなかった。でも笑う余裕がなくて、笑う代わりに泣いた。泣き散らした。涙が頬を伝い風に吹かれて、ぐちゃぐちゃだった。
涙が空気に浮いて、形を見せる前に消えてなくなった。今僕はどこにいるの?ここはどこなの?
あれ?愛夜さんはどこにいるの?
僕の中の愛夜さんは……どこ?
ボーッとしていた。
しばらく、意識がないみたいだった。生きてるのに、死んでる気分だった。あんなに泣き散らしたあとで、学校に行くなんてまず無理だ。どうしよう。これから、僕はどうしよう。中退……しようかな
「電車が入りまーす。黄色い線より内側にお入りください」
そんなアナウンスが聞こえて、かおをあげた。
黒いスーツの人達が大勢ゾロゾロとホームに流れ込んできた。
僕は座っていた長椅子から立ち上がって、ただボーッと踏み出した。ただ呆然として、何をしてるのかなんて考えていなかった。
一歩一歩踏みしめるように歩いて、歩いて。
電車が近づく轟音がした。
体が浮いた。浮いて、無重力。
不意に脳裏に愛夜さんの笑顔が見えた。「君は死にたい?生きたい?」
そういえば僕は、まだその問への答えをしていなかった気がする。答えていたとしてもそれは、その場のがれの気まぐれ。愛夜さんに吐いた嘘、まだ本当のことひとつも言ってない……死ねない愛夜さんは、死んだ僕に何を思うの?
すると、急に体が後ろの方へ引き戻された。勢いに負けて、僕は後ろへ尻餅をつきそうになったが、誰かの腕に支えられて、ギリギリ倒れずにすんだ。
僕はその体制からすぐに体制を整えて、後ろを振り返った。すると、一人の男性が息を切らして、驚きと怒りを含んだ顔で、見ず知らずの僕を怒鳴った。
「馬鹿か君は!!」
その言葉を聞いて、僕の後に電車が入ってきてハッとした。
僕は今、あの鉄の塊にはねられようとしてたのか?
自分でも信じられなかった。電車の轟音が耳に刺さって、急に怖くなった。
「僕……」
ふと、なぜこんなことをしてるのか答えが見えた気がした。
「愛夜さんに会いたかった……でも、もう会えない」
「愛夜?」
「せめて顔を見るだけでもしたかった……なのに」
「愛夜って……」
「愛夜さんを知ってるんですか?」
男性の表情が曇り出して、不安になった。
「時雨愛夜、知ってるのか?」
「え」
「俺、愛夜の彼氏の岡田誠司だ」
誠司と聞いて何かを思い出しかけた。
愛夜さんがなにかに一瞬だけ名前出していたような気がした。でも、それが誠司さんの事だったのかは、怪しくて言えなかった。
「そうなんですか?」
「まぁ、一応ね」
「……」
「とにかく場所を移そう。ここじゃあれだろ?」
誠司さんは優しくそう言って、腕を引いた。僕はなんだか恥ずかしくて、大丈夫です。歩けますといい、ゆるりと腕を解いた。
誠司さんのあとについて行くと、来た場所は少しオシャレだが、日本全国多数の店舗を構えるカフェに来た。
「カフェモカ、アイスで」
誠司さんはこなれた様子でそう言うと、僕に促した。
「…き、キャラメルフラペチーノ」
とりあえずそう頼んでみた。
「サイズはどうしますか?」
店員は液晶のパネルを見ながら言った。
僕は少し困って黙り込んでしまった。サイズなんて知らない。
「トールで。2つとも」
そんな僕を見かねて、誠司さんがそう返した。
少しだけ、情けなかった。
それからそんなに待たないうちに、頼んだものを受け取って、適当に空いている場所へ腰掛けた。
「早速本題に入るけど」
誠司さんはコーヒーをテーブルの上に置いて、「本題」を切り出した。
「君、どこで愛夜と知り合ったの?」
やっぱり聞かれると思った。多分、浮気相手だとでも思われてるのかもしれないとも思った。
「叔母が病院で働いていて、その手伝いでたまたま愛夜さんのいる病室に入って、そこから」
「そっかー。どう?人懐っこいでしょ」
誠司さんは、愛夜さんをそんな風に言った。でも、嫌じゃなかった。彼氏と彼女、その関係だからこそ知る何か、言える何か、それは高くて越えられない壁。超えちゃいけない壁だとも思った。
「君は、愛夜のことが好きだね?」
誠司さんはコーヒーを口に含み喉に流すと、いきなりそんなことを言い出した。僕は、飲んでいたキャラメルフラペチーノを吐き出すかと思って口で抑えた。
「いやいやいや、そんな」
「ほら。頬が赤いよ。それに、愛夜に会いたいって言っただろ?」
「……誠司さんは、僕のこと、浮気相手って思いますか?」
そう聞くと、2人の間に沈黙が落ちた。
しかしその沈黙も、誠司さんの大笑いで掻き消えた。
「なんで?いや、どこが?」
「え?」
存外バカにしているような返答で、僕は間抜けな声が出た。
「いや、細くてひょろひょろで弱気な、青春を謳歌するような高校を、愛夜は好きにはならないよ」
誠司さんに、悪気はなかったと思う。なにせ、悪いながらそんなこと言い出したから。
でも、なんだろうかこの気持ち。「好きにはならないよ」その言葉を聞いた時、胸がぐっと苦しくなった。変な気持ちだった。困ったな、僕は愛夜さんが好きなのか?でも、そんなこと言ったら誠司さんはどう思うのかな。
「……ですよね、こんな僕を好きになるのは相当マニアックな人だけですよね」
僕はあくまで明るく振舞った。ただ、悔しくなってきた。
愛夜さんを知る誠司さんは、愛夜さんの好みのタイプも理解している。愛夜さんと誠司さんは相思相愛。まさに純愛カップル。おしどりカップルという言葉が良く似合うと思った。ただ、それが僕にとって喜ばしいこのなのかどうか、わからなかった。
悔しくなって、何かが目から溢れ出そうだった。
「そんなことは無いんじゃないかい?きっといるよ。好きになってくれる人」
誠司さんはそう言った。言葉は無責任だったかもしれないけど、言い方はそうではなかったと思う。一語一句に何かが込められていて、落ち込んでいたかもしれない僕を、まるで励ましていた。
「そうですか?」
「きっとね」
誠司さんは笑っていた。
僕もこんな余裕のある生き方をして、今を楽しいと思える人になりたかった。とても憧れた。ただ、尊敬と憧れと、そして何かが溢れた。
それは形になって現れていた。
誠司さんはそんな僕を見て少し慌てた様子で、ポケットに入っていたのか、ハンカチを渡してくれた。僕はあくまで品を保ちながら涙を拭いた。
「あ、その制服ってことは、この前から面会謝絶になったよね?」
「はい。僕のせいです……」
「違うよ。君を悪戯に盗撮してた生徒がいたんだろ?」
「………」
なぜか、何も答えられなかった。その代わりに、こんなことを吐いていた。
「僕が悪いんです……僕がいじめられなければ、盗撮なんてされなかった。僕がこんなんだから……」
涙が溢れて、嗚咽が出てしまうのを押さえ込みながら、あえぎあえぎ言った。
「違う」
誠司さんが厳しい口調でそう断言した。
僕は少し驚いて、落としていた視線を上にやり誠司さんを見た。
誠司さんはまっすぐ僕の目を見て、見据えて力強く頷いた。
「……どうして…」
「学校で何があったか知らないけど、何があっても、傷つけていい理由にはならない。君は、生きていいんだよ」
そう言われた瞬間、感動や感謝とは全く別のよく分からない感情が湧き上がった。
僕が生きていい……?そんなはずない。だったらなんで、なんであんなに人に好かれる性格で、いつも明るくて、嫌な事言われても恨んだりしなくて、いじめなんて知らないって感じで、病気であることも感じさせない明るさで、きっと本当ならば万人に好かれていたであろう愛夜さんは、生きる事も死ぬこともできないの?永命病のせいで死ぬことなんてできないし、かといって治療すれば死んでしまう。僕みたいな虫けらがいきるなら、こんな醜い心臓なんかなにもかも愛夜さんにあげたい。
もしも、愛夜さんの病気が、初めからなかったのなら、きっと幸せだっただろうに……。誠司さんだって、永年生き続ける愛夜さんのそばに、永年いられるわけじゃない。その恐怖と絶望は計り知れない。
「どうして、誠司さんは愛夜さんのそばにいようと思ったんですか?」
僕がそう問うと、誠司さんは困ったような顔で少し苦笑いをして見せた。
「愛してるから。例え、彼女が永年生き続け、しまいには殺されてしまうような運命であっても、それでも、愛してるんだよ。君もそうだろ?」
「え……でも、僕は……」
答えられなかった。答えられるはずがなかった。ダメだった。答えちゃいけないと思った。そんな綺麗な言葉、こんな僕には似合わない。だから、僕はまた無理矢理しまいこんだ。
「ま、きっと君も同じだよ。答えなんかすぐには出ないだろうね。俺もそうだった。だからゆっくり見つけてみてよ。生きる理由と、そばにいたい理由を」
誠司さんは最後にそういうと、僕にコーヒー代と言ってお金を渡し、「終電があるからそろそろ」そう言って席を立った。
「もしかしたら、昔愛夜が見た男の子は君なのかもね」
誠司さんはすれ違いざまそんな訳の分からないことを言って、その後は振り返らずにそのまま去ってしまった。
1人取り残された空間で、あの時僕は何を思っただろうか。
たしか、僕は悔しいよりも悲しいよりも先に……
そして、近々永命病を治すための手術をするらしい。でも、その手術が成功したら愛夜さんは………
「なぁに?そんな浮かない顔して」
叔母が病院のナース服を着替えて、いつもの私服で更衣室から出てきた。叔母は心配してるのかからかっているのかよく分からない瀬戸際の反応を見せたと同時に、冷たい缶のサイダーを僕にくれた。
「ねぇ、愛夜さん、本当に手術を受けること受理したの?」
「らしいけど、もうご両親もご親族の方もお亡くなりになられているのよ。だから多分本人の意思だと思うわ」
「やっぱりそうだよね……」
僕は叔母のその応答にさらに気分がどんよりした。
自らが望んで、本当にそんな選択をするのかな。どうして……
不意に思い出すことなんて山ほどあった。でも、その記憶をいちいち深追いはできなかった。今も見なきゃならなかった。なにせ、僕は明日未来ちゃんに言わなければならないことがある。
僕は叔母の車に乗って、家まで送ってもらった。当たりは既に真っ暗で、時間もかなり遅くなっていた。
「平気?」
叔母は車から降りて背を向けた僕に、心から心配するように言った。僕はその言葉が少し胸に刺さって、大丈夫じゃないと甘えたいところだったが、深呼吸をしてその言葉をしまい込んだ。
「うん、大丈夫。おやすみなさい」
僕は極力元気な声で答えて、叔母のほうは見ずにアパートの自分の部屋へ入った。
部屋に入った瞬間、何かが溢れ出た。
冷たくてぬるい。目の前のすべてがぼやけて、白昼夢を見ているようだった。僕はそのまま力が抜けて、眠り込んでしまった。
「ねぇ見て!」
「愛夜さん?」
「私、手術成功したの!」
「本当ですか!?」
「そう!無事に手術も終えて、私は生きてるの!最近の科学とかの発展のおかげで、死ななくても良くなった!これからは、君と同じ時間を過ごせる!」
「本当によかった!じゃあ、どこかへ遊びに行きましょうよ。2人だけで!」
「ねぇ、ずっと聞いてなかったの。君の名前は?」
その瞬間、ゆっくりと目が覚めた。こぼれ落ちた涙は頬の上で乾いていた。
「名前……僕の名前は……」
そう言えば、誰かに名前を呼ばれる機会がなくなっていた。クラスではいつも根暗、家族もいないから名前は呼ばれないし、叔母にはあまり会えないから呼ばれることもない。人との関わりが少なくなって、唯一自分を示す名前さえ呼ばれなくなっていた。けれど、僕自身それにはきづいていなかった。
「……なんだっけ」
冗談だ。もちろん。名前はわかってる。けれどそれは、自分の中でわかっている自分の名前。僕が覚えていないのは、他人から呼ばれる他人からした名前。もう僕は、他人に呼ばれる名前を忘れてしまっていた。
リリリリリ。リリリリリ。
目覚まし時計の音がして時計を見た。時計は6時過ぎを示していた。僕は音を切ろうと、目覚まし時計の電源を落として、制服に着替えた。
朝ごはんは適当にコンビニで買って済ませて、またいつもの通りに学校へ行く。
玄関まで来て、不意に何か嫌になった。学校って何だって、不意にそんなこと思うほど、もう無気力だった。
「うわ」
そんな声がして目の前を見ると、未来ちゃんが丁度下駄箱のところにいた。
未来ちゃんは携帯の画面をつけたままで、僕を睨んで舌打ちをした。たまたま、ちらっとだけ画面が見えて、そこには「出会い系」とあった。
「なに?そのサイト」
「あ?」
未来ちゃんは苛立ちをむき出しにしながらきつく睨みつけてきた。
「あ、いや」
「勝手に見といて首突っ込もうってわけ?クッソ迷惑」
未来ちゃんはそう吐き捨てて去ってしまった。
予想はしていたけど、さすがにこたえた。
このまま引き返して逃げ帰りたいとさえ思った。また悪夢が蘇るなら、もう成績なんてどうでもよかった。
とりあえず教室に行くと、黒板には「死ね」の文字と数々の悪口、それとどこかで盗撮でもされたのか、病室で愛夜さんと話す僕の写真があった。
「おいお前ー、今度は病人に手ぇ出すんか?」
男子の誰かがそういうとみんなして笑った。「ありえねぇ!」「死んだ方がいいってー」そんな言葉も聞こえた。
こんなの……あんまりだ
僕は悲しみと怒りに任せて、黒板に貼られた無数の写真と、乱雑に書かれた文字という文字を、黒板消しが見当たらないので手のひらで必死に消した。
嫌になって黒板消しを探し出した。でも、どこにも見当たらなかった。
僕は悔しくなって、笑い転げるみんなを見た。中には俯いて見ないふりをしている人もいたし、教室から逃げ出す人もいた。
「なんで……何でこんなこと」
僕は涙目だったんだと思う。笑いがますます大笑いになっていった。
「何泣いてんだよ」
「女かお前」
男子達は笑いながらそう言った。女子はただただ笑っていた。
「俺の女泣かせた罰だ。お前ら、派手にやれ」
主犯格っぽい男子がそういうと、その周りの男子が寄ってたかって僕の顔や体を殴る、蹴る、投げる、骨が折れたんじゃないかって思うくらい痛かった。折れたどころか、砕けたんじゃないかってくらい痛かった。
「おい根暗、次に作真の未来に手ぇ出したらぶっ殺すからな」
赤い宝石が光るネックレスをした男子がそう言うと、作真(?)君は鼻で笑って上から目線で僕を睨みつけた。
たった数分で、何もかも嫌になった。ダメになってしまった。こんなことが毎日続くのかと考えると、お先真っ暗だった。しかし、逃げずにいようとは思った。
逃げたくはなかった。なぜだろう……
その日の放課後、僕は逃げるように愛夜さんの元へ行った。
「どうしたのその怪我!?」
愛夜さんは、まるでどこかの奥さんみたいにそう言った。でも僕は答えられなかった。愛夜さんだって1人の患者。不安にさせるのはいけないと思った。
「何でもないんです。ただぶつけただけで」
「違うよね?あれ?忘れたの?隠し事はだめだよ」
愛夜さんは罪な顔でそう言って、僕に無理矢理にでも吐かせようとした。でも僕は、出そうになる言葉という言葉を無理やり押し込んだ。愛夜さんが無理やり出そうとするように、無理矢理しまい込んだ。
「何でもないんです。本当に」
その翌日もその翌日も、こんなことが続いた。理由もなく殴られ蹴られ、悪口を言われ、嫌がらせを受け、盗撮を繰り返され。
そんなある日、愛夜さんがいる病院から学校へ連絡があって、盗撮をしている生徒を見かけた、生徒から直接の謝罪を受けるまで、家族などの関係ではない人は、患者への面会は一切謝絶と言われた。最悪の気分だった。少しでも多く愛夜さんの顔が見たい。少しでも長く。
「おい、お前のせいだからな」
「お前が土下座なりして謝罪してこいよ」
「好きな人に会えなくなるぜ?」
みんな笑いながら僕にそう言った。
「愛夜に会いたいんでしょ?ほら、土下座の練習しなよ」
置くから未来ちゃんが出てきて、僕を見下ろしてそう言った。屈辱なんかなかった。ただ、怖かった。その目が、その態度が、何かが怖くて、戦いた。恐れた。
怖くて口が開かなかった。
怖くて体が動かなかった。
怖くて意識がぐらついた。
怖くて吐きそうになった。
ダメだ……何も出来ない
「つまんな」
多分、作真君だったと思う。
背中に強く何かが当たって、僕は力なく倒れ込んでしまった。その姿を見て、また誰かが笑う。みんながつられて笑い出す。
もうダメだった。もう、何もかも残ってない。もう何も……
僕は教室のドアの前で道を塞ぐ女子達を力の限り押し飛ばして、ドアを勢いよく開けてその場が逃げた。逃げる先なんてないのに、ただそこから消えたくて、何も無いどこかへと逃げた。
とりあえず屋上にいてみた。
ここなら、気兼ねなく呼吸できた。
会えなくなって、どれくらいたった?まるで、1年経ったんじゃないかと思えた。日課のように通っていた愛夜さんのいる病院も、立ち入り禁止のようなもの。どうやって会いに行けばいいのかわからなかった。
謝ればそれで終わるだろうか。
謝ればまた会いに行けるだろうか。
そもそも、愛夜さんは僕と会うことを望んでいるのだろうか。
会いたくないから面会謝絶なんて処分を下したのか。僕が…何をしたっていうんだ
「おーい、根暗君今日は女に会いに行かないのか?」
男子達はからかった。
校門を出、帰り道を向く。頭にペットボトルが当たって、少し痛い。反対方向は愛夜さんの場所。
「僕が何したっていうんだよ!!」
気づけばそんな言葉を吐いていた。吐き捨てて去る。走り抜けて反対へ。愛夜さんのいる場所は……どこだろう?
男子達はびっくり仰天して、僕を凝視していたと思う。そんなこと、どうでもよかった。人目もはばからず、泣きわめいて走り去った。みっともなかった。自分でも大笑いしたくなるほど、みっともなかった。でも笑う余裕がなくて、笑う代わりに泣いた。泣き散らした。涙が頬を伝い風に吹かれて、ぐちゃぐちゃだった。
涙が空気に浮いて、形を見せる前に消えてなくなった。今僕はどこにいるの?ここはどこなの?
あれ?愛夜さんはどこにいるの?
僕の中の愛夜さんは……どこ?
ボーッとしていた。
しばらく、意識がないみたいだった。生きてるのに、死んでる気分だった。あんなに泣き散らしたあとで、学校に行くなんてまず無理だ。どうしよう。これから、僕はどうしよう。中退……しようかな
「電車が入りまーす。黄色い線より内側にお入りください」
そんなアナウンスが聞こえて、かおをあげた。
黒いスーツの人達が大勢ゾロゾロとホームに流れ込んできた。
僕は座っていた長椅子から立ち上がって、ただボーッと踏み出した。ただ呆然として、何をしてるのかなんて考えていなかった。
一歩一歩踏みしめるように歩いて、歩いて。
電車が近づく轟音がした。
体が浮いた。浮いて、無重力。
不意に脳裏に愛夜さんの笑顔が見えた。「君は死にたい?生きたい?」
そういえば僕は、まだその問への答えをしていなかった気がする。答えていたとしてもそれは、その場のがれの気まぐれ。愛夜さんに吐いた嘘、まだ本当のことひとつも言ってない……死ねない愛夜さんは、死んだ僕に何を思うの?
すると、急に体が後ろの方へ引き戻された。勢いに負けて、僕は後ろへ尻餅をつきそうになったが、誰かの腕に支えられて、ギリギリ倒れずにすんだ。
僕はその体制からすぐに体制を整えて、後ろを振り返った。すると、一人の男性が息を切らして、驚きと怒りを含んだ顔で、見ず知らずの僕を怒鳴った。
「馬鹿か君は!!」
その言葉を聞いて、僕の後に電車が入ってきてハッとした。
僕は今、あの鉄の塊にはねられようとしてたのか?
自分でも信じられなかった。電車の轟音が耳に刺さって、急に怖くなった。
「僕……」
ふと、なぜこんなことをしてるのか答えが見えた気がした。
「愛夜さんに会いたかった……でも、もう会えない」
「愛夜?」
「せめて顔を見るだけでもしたかった……なのに」
「愛夜って……」
「愛夜さんを知ってるんですか?」
男性の表情が曇り出して、不安になった。
「時雨愛夜、知ってるのか?」
「え」
「俺、愛夜の彼氏の岡田誠司だ」
誠司と聞いて何かを思い出しかけた。
愛夜さんがなにかに一瞬だけ名前出していたような気がした。でも、それが誠司さんの事だったのかは、怪しくて言えなかった。
「そうなんですか?」
「まぁ、一応ね」
「……」
「とにかく場所を移そう。ここじゃあれだろ?」
誠司さんは優しくそう言って、腕を引いた。僕はなんだか恥ずかしくて、大丈夫です。歩けますといい、ゆるりと腕を解いた。
誠司さんのあとについて行くと、来た場所は少しオシャレだが、日本全国多数の店舗を構えるカフェに来た。
「カフェモカ、アイスで」
誠司さんはこなれた様子でそう言うと、僕に促した。
「…き、キャラメルフラペチーノ」
とりあえずそう頼んでみた。
「サイズはどうしますか?」
店員は液晶のパネルを見ながら言った。
僕は少し困って黙り込んでしまった。サイズなんて知らない。
「トールで。2つとも」
そんな僕を見かねて、誠司さんがそう返した。
少しだけ、情けなかった。
それからそんなに待たないうちに、頼んだものを受け取って、適当に空いている場所へ腰掛けた。
「早速本題に入るけど」
誠司さんはコーヒーをテーブルの上に置いて、「本題」を切り出した。
「君、どこで愛夜と知り合ったの?」
やっぱり聞かれると思った。多分、浮気相手だとでも思われてるのかもしれないとも思った。
「叔母が病院で働いていて、その手伝いでたまたま愛夜さんのいる病室に入って、そこから」
「そっかー。どう?人懐っこいでしょ」
誠司さんは、愛夜さんをそんな風に言った。でも、嫌じゃなかった。彼氏と彼女、その関係だからこそ知る何か、言える何か、それは高くて越えられない壁。超えちゃいけない壁だとも思った。
「君は、愛夜のことが好きだね?」
誠司さんはコーヒーを口に含み喉に流すと、いきなりそんなことを言い出した。僕は、飲んでいたキャラメルフラペチーノを吐き出すかと思って口で抑えた。
「いやいやいや、そんな」
「ほら。頬が赤いよ。それに、愛夜に会いたいって言っただろ?」
「……誠司さんは、僕のこと、浮気相手って思いますか?」
そう聞くと、2人の間に沈黙が落ちた。
しかしその沈黙も、誠司さんの大笑いで掻き消えた。
「なんで?いや、どこが?」
「え?」
存外バカにしているような返答で、僕は間抜けな声が出た。
「いや、細くてひょろひょろで弱気な、青春を謳歌するような高校を、愛夜は好きにはならないよ」
誠司さんに、悪気はなかったと思う。なにせ、悪いながらそんなこと言い出したから。
でも、なんだろうかこの気持ち。「好きにはならないよ」その言葉を聞いた時、胸がぐっと苦しくなった。変な気持ちだった。困ったな、僕は愛夜さんが好きなのか?でも、そんなこと言ったら誠司さんはどう思うのかな。
「……ですよね、こんな僕を好きになるのは相当マニアックな人だけですよね」
僕はあくまで明るく振舞った。ただ、悔しくなってきた。
愛夜さんを知る誠司さんは、愛夜さんの好みのタイプも理解している。愛夜さんと誠司さんは相思相愛。まさに純愛カップル。おしどりカップルという言葉が良く似合うと思った。ただ、それが僕にとって喜ばしいこのなのかどうか、わからなかった。
悔しくなって、何かが目から溢れ出そうだった。
「そんなことは無いんじゃないかい?きっといるよ。好きになってくれる人」
誠司さんはそう言った。言葉は無責任だったかもしれないけど、言い方はそうではなかったと思う。一語一句に何かが込められていて、落ち込んでいたかもしれない僕を、まるで励ましていた。
「そうですか?」
「きっとね」
誠司さんは笑っていた。
僕もこんな余裕のある生き方をして、今を楽しいと思える人になりたかった。とても憧れた。ただ、尊敬と憧れと、そして何かが溢れた。
それは形になって現れていた。
誠司さんはそんな僕を見て少し慌てた様子で、ポケットに入っていたのか、ハンカチを渡してくれた。僕はあくまで品を保ちながら涙を拭いた。
「あ、その制服ってことは、この前から面会謝絶になったよね?」
「はい。僕のせいです……」
「違うよ。君を悪戯に盗撮してた生徒がいたんだろ?」
「………」
なぜか、何も答えられなかった。その代わりに、こんなことを吐いていた。
「僕が悪いんです……僕がいじめられなければ、盗撮なんてされなかった。僕がこんなんだから……」
涙が溢れて、嗚咽が出てしまうのを押さえ込みながら、あえぎあえぎ言った。
「違う」
誠司さんが厳しい口調でそう断言した。
僕は少し驚いて、落としていた視線を上にやり誠司さんを見た。
誠司さんはまっすぐ僕の目を見て、見据えて力強く頷いた。
「……どうして…」
「学校で何があったか知らないけど、何があっても、傷つけていい理由にはならない。君は、生きていいんだよ」
そう言われた瞬間、感動や感謝とは全く別のよく分からない感情が湧き上がった。
僕が生きていい……?そんなはずない。だったらなんで、なんであんなに人に好かれる性格で、いつも明るくて、嫌な事言われても恨んだりしなくて、いじめなんて知らないって感じで、病気であることも感じさせない明るさで、きっと本当ならば万人に好かれていたであろう愛夜さんは、生きる事も死ぬこともできないの?永命病のせいで死ぬことなんてできないし、かといって治療すれば死んでしまう。僕みたいな虫けらがいきるなら、こんな醜い心臓なんかなにもかも愛夜さんにあげたい。
もしも、愛夜さんの病気が、初めからなかったのなら、きっと幸せだっただろうに……。誠司さんだって、永年生き続ける愛夜さんのそばに、永年いられるわけじゃない。その恐怖と絶望は計り知れない。
「どうして、誠司さんは愛夜さんのそばにいようと思ったんですか?」
僕がそう問うと、誠司さんは困ったような顔で少し苦笑いをして見せた。
「愛してるから。例え、彼女が永年生き続け、しまいには殺されてしまうような運命であっても、それでも、愛してるんだよ。君もそうだろ?」
「え……でも、僕は……」
答えられなかった。答えられるはずがなかった。ダメだった。答えちゃいけないと思った。そんな綺麗な言葉、こんな僕には似合わない。だから、僕はまた無理矢理しまいこんだ。
「ま、きっと君も同じだよ。答えなんかすぐには出ないだろうね。俺もそうだった。だからゆっくり見つけてみてよ。生きる理由と、そばにいたい理由を」
誠司さんは最後にそういうと、僕にコーヒー代と言ってお金を渡し、「終電があるからそろそろ」そう言って席を立った。
「もしかしたら、昔愛夜が見た男の子は君なのかもね」
誠司さんはすれ違いざまそんな訳の分からないことを言って、その後は振り返らずにそのまま去ってしまった。
1人取り残された空間で、あの時僕は何を思っただろうか。
たしか、僕は悔しいよりも悲しいよりも先に……
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