夏が来る頃に
よくある物語の話だ。
偶然知り合った人が不治の病で、最後には悲しい悲しい永遠のお別れ。主人公は泣き崩れて、でもその数日後には立ち直って前を見て歩き出す。そんな、ありふれた感動物語。
何度も小説で読んできた。
そもそもそのジャンルが好きだった。バトル系のド派手な物語や、古文や日本文学のような訳の分からない名作などではなく、ただ泣ける綺麗な物語が好きだった。
僕はあの日、図書館に来ていた。
いつも通り、泣ける本を探そうと思って。
書棚の1つ向こう側。
僕は顔も名前も声も何も知らない女の人の、命が朽ちる時を見た。
死ぬこともなく、老いることもない彼女は、僕より年上なのに、精神年齢は多分僕より少し下。
辛いのに笑顔で、嫌なのに引き受けて、「ごめんなさい」なんて一言も言わなくて、見せる笑顔はまるで幼稚園児のように無邪気で。でも、死の話をすると、真剣になって。色々な表情を持っていた。病室にいるとたくさん話して、息苦しい学校のことも忘れて。唯一の至福の時間だった。
でも、とある夏の日、君は死んだ。
いや、病気が治ったと言うべきか。
治せば死、治さねば永命。ようは不老不死。
治しても治さなくても報われないその病は、とても憎くて、酷いものだった。
最後に君が言っていた。
「いつかまた、あの時のように偶然にも君に会えたりするかな?」
夏が来る。
君がいなくなると同時に風鈴の音がした。
君は、何度目の夏ですか?
偶然知り合った人が不治の病で、最後には悲しい悲しい永遠のお別れ。主人公は泣き崩れて、でもその数日後には立ち直って前を見て歩き出す。そんな、ありふれた感動物語。
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いつも通り、泣ける本を探そうと思って。
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最後に君が言っていた。
「いつかまた、あの時のように偶然にも君に会えたりするかな?」
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君がいなくなると同時に風鈴の音がした。
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