ツクチホ短編・黒・まとめ

はるば草花

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征服8

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会長であることなんてどうでもいい俺は、会長を辞めるという書類にあっさりサインをした。

そして投票が行われ、その結果を全員が集まって聞くことになる。しかし、投票が行われる前から生徒達の雰囲気が変わったような気がする。

それに首を傾げつつ、一応誰が次の役員になるのか気になってはいるので話を聞いていた。ハルガが会長に選ばれれば笑ってやろうと思ってる。

そして選ばれた会長は再び俺。


…無意味なことをしたものだ。

つい違うところを考えてしまったが、どういうことだ?

生徒の多くは俺を落として自分達が優越感を感じたいと思ってる奴らだった気がする。それが気のせいで、俺の評価が前と変わらないにしても、ハルガの人気はかなりのものなはずだ。

あいつはこの小さな世界もちょっとしたゲームのように支配しようとしたに違いない。でないとあんな自分は上の存在だと自覚する奴が愛想をあそこまでふりまかないだろ。いくら金持ちの子息ばかりでも嫌われたって痛くもかゆくもないだろうからな。

なのに会長ではない。それどころか他の役にもならなかった。

人気の順に会長、副会長、会計、書記、の順に当てはまるのだが、副会長だった三原は書記になった。新しい副会長は1年で補佐になっていた将来の生徒会候補がなっている。元書記はランク外だ。

あいつの画策をひしひしと感じるのは俺の気のせいか?

腑に落ちないが、また会長になるのも別にかまわないので、生徒会室に戻る。この日常の行動ができるのは悪くないかもしれない。




「あ、あの、これでよかったのでしょうか?」


扉が少し開いていたようで、さっきは姿のなかった元副会長三原の声が漏れ聞こえ、俺の足はつい止まった。


「ああ。望んだとおりになってくれて満足だよ。俺は仕事があるからね。たいして忙しくないといっても姿も見せれないなんて迷惑だろ?」

「そう、ですか…」


元副会長としては不満が多いだろうな。役員として残したところはえげつないと思うが、気づかないの?


「君は俺の為にならなんでもすると言ってくれただろ?」

「は、い…」


姿が見えないが、ハルガの声から優しく微笑んででもいるのだろう。それにたいして現書記元副会長は惚けてるといったところか?


「そうか。ならこれからもよろしく頼むよ」

「はい…」


優しい囁きに不満もどこかに、か?

そろそろここに立っている必要もないだろうと、大きく音をたてて扉を開ける。


「かい、ちょう…」


会長という言い方をやめていたのに、驚いて慣れた呼び方になったようだ。しかし、驚きすぎな気がする。現書記は視線をさまよわせた後、足早に部屋を出ていった。


「気まずかったのか?」

「そうだろうな」


気まずいと推測するのは理由がある。


「そうだ。お前、遊ぶのは勝手だが小動物にまで手をだすなよ?」


こういうと逆に手に入れようとする奴だろうが、そこはなんとか食い止めよう。癒しは世界遺産だ。


「? 意味が分からないが、さっきのことを見て思ったのか?」

「それだけじゃない」


ハルガはいつものように近すぎる距離で俺の顔を見る。


「…あまり嫉妬してないようだが?」

「なんで嫉妬すんだよ。あんなの想定済みだ」


さっき見たのは、現書記を抱きしめてたハルガの姿。想像通りの口説き方だったな。


「ああ…。そういうことか。たしかに?俺はかなり遊んでいるのは否定しないが、あれはお前がいると知っていて駆け引きしただけだ」

「はん、あんなちゃちい駆け引きなんてしてどうする」

「男でも女でも気になる相手でなくても、ああいうのは気になるものだ。そうして意識させる」


ハルガは俺の腰を引き寄せた。あんな場面を見た後だと腹が立つ。あれと一緒な扱いか、と。たしかに意識はするか?


「しょうがないなセリは。タネ明かしをしてあげるよ。あれはな、教えてあげたんだ」


わずかにだが、あの時のあの危険な目を見せるハルガ。二度目だからか、前より恐怖がくる。そんな俺の状態を知ってか、ハルガは狂気を隠し穏やかな表情になった。


「俺の一番大事な人は、会長、つまり鷹鐘瀬里だとな」

「…………なん、で…」

「本当のことだから? 見物だったぞ。どれも身を引き寄せればうっとりとして自分が一番になったかのように思っただろう。そう仕向けたしな。そして伝えられた言葉に愕然とした表情をしていた。しかも、それでも俺への信頼がなくなったわけでなく、無理矢理感情を押さえ、俺のご機嫌をとろうとお前の存在を認めるような発言をする。おかしくてしかたない」


隠してた狂気が隠せないかのように笑う。
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