ツクチホ短編・黒・まとめ

はるば草花

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征服9

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「それは、さっきのあいつ以外にも?」

「ああ、この先もセリに逆らわないようにな。あれらも馬鹿ではないな。感情に任せて、どうして、などと言ってくる者はいなかった。プライドが異様に高いのと俺にたいし、まだ希望があると思ってるんだろう」


いきなりの情報に頭がついていけない。それでも俺の頭は導きだすものもある。


「俺を会長にして、俺を一番だと言うのに意味があるのか?」


その質問にハルガは溜息をつく。それには腹が立ち混乱も吹き飛ぶ。


「セリは何故わからない? 自分は捨てられたから価値なんてないと思ってるのか?」


その通りだろ。たとえ特別でも捧げられた生け贄。もういらないものだ。


「ふむ。セリのようなタイプ、いや、セリのように大事に思うことがそもそも初めてか…」


なにかぶつぶつ言い出した。はっきり言いやがれ。


「それでもそんなふうに強く輝いていられるなんて本当にセリは素晴らしい。俺は本気の相手を口説くのはどうも下手なようだな。…降参だ。シンプルにいこう」


なに言ってんだこいつ。


「簡単な話だ。言っただろ? 学生相手にそんな複雑なことはしない。セリは俺の大事な存在だ。例え小さな空間でも一番華やかなところにいてほしい。ただそれだけだ」

「…それだけで、あんな面倒を…」

「回りくどいように見えたか? 俺としてはいつものやり方なんだが、セリがいじめられないように努力したんだぞ? 俺に惚れているから言うことも聞くし、気に食わないと思っても、俺の力には逆らえないということも教えこんである」


二重に縛っているのか。これには同情しかない。


「セリ、そろそろ大人のほうも上手くいく。そうすれば正式にセリは俺のものだ」

「そ、れは…」


そうだった。さっきも話していて忘れてなんてないが、考えたくなかった。

俺が生け贄にされたことは、ただ強姦で終わるはずもなかった。想定していても、恐怖がわく。足がすくむ。


「セリ。大丈夫だ」


そんな俺をハルガは包む。そんなのでごまかされることじゃないぞ!


「無理だ」


怖い。どうなる?


「あー、つまりセリは俺の伴侶になるんだ。ちゃんと守る。これなら安心できないか?」


珍しく自信なさげにハルガが言う。


「伴侶?」

「そう。あ、複数と結婚できるとかないから」

「は?」

「セリ?」

「理解できない…」

頭おかしくなったかな?


「そうか。すぐには無理かな。だが、変更はない」

「伴侶って馬鹿か」


まだ理解できてないが、口が勝手にハルガを罵る。


「…なんでセリにだと馬鹿と言われるのもまたありだと思うのかな?」

「馬鹿だからだろ」

「…それでもいいか」


自信なさそうなハルガはとっくに消え、やっぱり余裕のハルガだ。

俺の肩に顎を乗せたハルガ。それが何故かくすぐったい。

…しばらく理解はできない気がする。




あれから、微妙な空気があるも落ち着いてきた学園。

新しい副会長は何故か俺を尊敬して慕ってくる。

その目の輝きが純粋で、純粋でない俺にはダメージになっている気がする。こいつが選ばれたのもハルガによるものだろう。

現書記や俺の親衛隊隊長などはハルガが来る前と同じような接し方をしてくる。それが滑稽でたしかにおかしいと思うのは、俺もおかしいからだろうか。




「ふ…、あ…」


快楽にたえられず声が漏れる。そんな声は聞きたくない。


「セリは強情だな。いいのか? 俺を煽って」


そんなこと知るか。


「ひっ…、やめ…」


激しい動きで強い感覚が襲う。なんでこんなにも動けるんだ。


「可愛いな俺のセリ」


俺は感覚に耐えるのにせいいっぱいでハルガの言葉のほとんどがはっきりわからない。


変わらず、ハルガは俺を抱く。結局、俺が生け贄ということはなにも変わらない。


「セリ…、いい加減わかれ。たしかに、出会いは最悪だったかもしれないが、俺はセリを伴侶にしたいと思った。それでいいだろ?」


抱かれ終わっても甘い空気なんて生まれない。それがハルガにはお気に召さないらしい。


「黙れ。セレブ思考が。どこをどうとったら安心できる」

「手強い…。ああ、そうだセリ」

「……………」


お決まりにハルガは俺に顔を寄せてきた。何を言おうと無理だぞ。


「愛してるセリ」

「ぬあ!」


いい声を最大限利用しての攻撃。だがしかし、そんな手は古い。


「ふっ。真っ赤だぞ?セリ」

「ウソだ」


俺は、そんな簡単な奴じゃない。


「おい…、泣くなセリ。それは弱い」


俺の目元を舐めてきた。そんな言葉に惑わされて頼りにすれば、俺はお前なしには生きていけない。
そんなことを強いるのか?


「愛してるセリ。信じられないかもしれない。だが、俺も必死なんだ。受け入れてくれないか? 俺を少しでも愛してくれるなら」


愛とか、これだから外国人はストレートでいかん。


「…なら、株の権利くらいよこせ」

「ふはっ。…ああ、ありがとうセリ」


かなり可愛げのない言葉にもハルガが嬉しそうだ。それには邪気がなさそうで、俺の顔も熱くなる。


「だいたい浮気してる奴なんて信じられないだろ」


それなのに受け入れた俺は馬鹿だな。


「は? 誰と」

「ん? 書記の三原とか、俺のとこの隊長とか?」


そう言えば、大きく溜息をついたハルガ。幸せ逃げるとか嘘だな。こいつは世界的セレブだし。


「そんなふうに見えたのか。嫉妬と思えば可愛いが」

「ないっていうのか? 男なら据え膳くうのは当然だろ」

「もっと美味しいものがあるのに不味いのは食わない」

「む。やはりセレブな思考だな」


あれらは中身はともかく身体は一級だろ。


「…セリ、その言い方からするに、もしかして誰かとは関係あるのか?」

「お前の取り巻きほぼだいたいは」


寄ってくれば喰う。寄ってこなくても喰うな。それが男だろ。


「そうかそうか。そうだな。セリは王様だものな?」


ハルガの声が変わったので顔を見てみると目の笑ってない笑顔だった。


その後は足腰立たなくなるまで抱かれて今後浮気はしないということを言わされた。いや、こいつが来てからは誰とも関係なんてないんだが?

男ならこいつも浮気するはずなのに。そうハルガに問いただせば、うなった後努力するから瀬里もするなと言われた。

…どうするか? まあ、この学園ではまずないとは思う。信用できない相手なんてありえないからな。


生け贄にされたということはどうしても忘れがたく恐怖を抱く。それでもほだされたのか、俺はじょじょにハルガに心を許していくことになった。

そうなったことは幸福に繋がったのだから、それでいい。

浮気のほどは分からないが、惚れてしまった俺は、ハルガに捨てられないかぎり、ハルガの側にいるかもしれない。




20130730
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