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繊細な悪党
繊細な悪党19一緒に
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次の日、渋々学校に向かったリンメル。金は手に入らなくて、無駄働きしたので機嫌はよくない。それでもクルクのことが少しは気になっているので、授業を無視してクルクに会いに行く。
「…来るのが遅くないか」
「いいだろ。こっちも色々大変だったし。クルクが落ち着くまで待ったほうがいいと思ったし」
「取って付けたようないい訳はいい」
リンメルがやってきたのは生徒会長セルツァーの部屋だ。何故そこにクルクがいるのか不思議だが、どうでもよく、中に入る。
「リンメル! 大丈夫?」
寝室の寝台にクルクが横になっていた。ひとまず元気そうで、リンメルの姿を見て驚いた顔をする。
「…そっちのが危ないめにあったんじゃないのか」
「リンメルも危ないめにはあったんでしょ? 僕はたいしたことないけど、一応、安静にしてたほうがいいって言われたから、寝台の上にいるだけなんだ」
「それならいいけど」
「あ、お守りありがとう。効果あったみたい」
枕元に置いてあったお守りを取りクルクは笑顔を見せる。
「おー。そういや…、いや、いいや」
「なに?」
「なんでもねー。じゃあな」
リンメルも気遣うというスキルはちびっとはある。好奇心で呼ぶ人としてどうだったのか知りたいと思ったが、口を閉じて部屋を出ようと背を向ける。
「あ、待って!」
「んあ?」
「これからも学校来るよね…?」
「わかんねえよ。俺を推薦してた奴が捕まったしな」
ぽろっと裏事情喋った。純粋なクルクはそれでリンメルを疑いの目では見ないが、近くにいるセルツァーは怪訝な目でリンメルを見た。ウィンレイから話を聞いてると余計にリンメルが変なものに見える。
「そっか…。でも、もしこのままいられるなら、これからも、えと、勉強一緒にしない?」
「はああ?」
「ご、ごめん。やっぱりもう僕なんていらないよね」
いつも以上に卑屈なクルクは、リンメルの言葉を待たずに自分で引いた。
「なに言ってんだか、学校にこれからも通うことになったら、お前なしでどうやってくんだよ」
「リンメル…。そっか…。ありがと」
「意味分からん。俺の頭の悪さを舐めるな」
変な方向に自信満々に言うリンメルに、セルツァーは呆れたように見る。これにいちいち怒る自分のほうが馬鹿なんじゃないかと思えてくる。
寮暮らしがなくなったので、ウィンレイのいる住処に戻ってくる。
「リンメル」
「なんだよ」
リンメルは食事の誘いに釣られ、ウィンレイと共に食事をしていた。
「こうして一緒に暮らせることになったんだけど、俺って待つのって面倒なんだよね」
「ああ、分かる分かる」
「そう言ってくれると思った。それで、俺は伴侶をリンメルにしようと思うんだ」
「…は?」
「本気ですか?!」
リンメルは理解できず、近くにいたシャスのほうが驚愕の声をあげた。
「はい、シャス邪魔。出ていけ」
「う…。失礼します」
ウィンレイの目が本気だったのでシャスは反論することなく出ていった。
部屋に2人だけになり、意味が分からないままのリンメル。
それに説明するでなく、ウィンレイは装飾具をテーブルの上に置く。貴族の好むような華美なものでなく、独特の雰囲気を漂わせていて、歴史を感じさせる。
「…なんだ? これ」
「祈れば願いが叶う。ほら、手をこの上に置いてみて」
「願いが? 魔術師の道具か?」
「そんな感じ。ほらほら」
「ん。で、どうすんだ?」
「とくに何かする必要はないよ。願いを思い浮かべればいい」
リンメルの乗せた手の上にウィンレイが手を乗せた。
「そんなんで効果あんのか?」
「だから、使うんだ。でね、リンメル。俺の伴侶になってほしい」
「はあ? 寝ぼけるには早いぞ」
「そういう反応がくるのは分かってる。俺もただで望むわけじゃない」
「いや、どう考えたって男同士で伴侶って変な趣味の奴だけだろ」
同姓で恋仲になることは差別されることはないものの、少ない。というのは表向きの話で趣味な人はこっそり多く、同姓婚も認められている。親が反対することは多いのでこっそりしている場合が多い。リンメルの発言は、異性だけを好む男からすると当然の考えであるが、一般的には差別なんてサイテーと言われることだ。
「条件は俺の遺産をリンメルにあげるってことだ。伴侶なら当然なんだけど」
「…遺産?」
「そう。けっこう持ってるよ。長だからね。仕事は好きじゃないけど、リンメルの為に稼ぐし」
「…遺産…」
リンメルは悪仲間が話していたことを思い出す。
楽して金を手に入れる方法は、金持ちと結婚することだと。
金持ちの年寄りとか、顔が少々悪いとか、選ばれにくい人だと結婚相手を選り好みしないから、美形でなくとも可能性はあると。
結婚したって好きに行動すればいいし、主導権を握ればいいわけで、少し我慢すれば莫大な金が手に入るという話だ。
リンメルは相手がどんな存在かなんて忘れて、心の中でにやりとする。表情を隠してるつもりのリンメルだが、悪い顔になっており、ウィンレイに心情はばればれで、ウィンレイは表情に出すことなく、心の中で綺麗な笑顔を作った。
表に出ていたとすれば、綺麗なのに寒気を感じる表情だったろう。
「ちゃんと契約しろよ? 騙そうったって無駄だから」
契約とか全然分からないが、強気に言う。クルクあたりに見てもらえばいいかと考えてる。
「騙さないって。伴侶になってもらうんだから、当然のことだし」
「…結婚とか、するのか?」
「んー、まだそこまでは考えにないかな。でも、ちゃんとリンメルに遺産残すって契約するから問題ないだろ?」
「…そっちがいいならこっちは問題ない」
「よし。決まりだ。それじゃあ、今日は一緒に寝ようね」
「はあ?……うお?!」
ウィンレイが手を振れば、明かりが消え暗くなる。そしていきなり抱き上げられて、ばたばたと暴れているうちに寝台の上に乗せられた。
魔術師ってひょろひょろで力ないんじゃないのか。
そして、次の日の朝に絶叫が響くことになる。
後悔してもすでに遅い。
「馬鹿な子だよね。だけど、どうも気に入ってしまったし、ひとまず離す気はないよ」
実は永遠に離す気はないウィンレイだったりする。
20150112
「…来るのが遅くないか」
「いいだろ。こっちも色々大変だったし。クルクが落ち着くまで待ったほうがいいと思ったし」
「取って付けたようないい訳はいい」
リンメルがやってきたのは生徒会長セルツァーの部屋だ。何故そこにクルクがいるのか不思議だが、どうでもよく、中に入る。
「リンメル! 大丈夫?」
寝室の寝台にクルクが横になっていた。ひとまず元気そうで、リンメルの姿を見て驚いた顔をする。
「…そっちのが危ないめにあったんじゃないのか」
「リンメルも危ないめにはあったんでしょ? 僕はたいしたことないけど、一応、安静にしてたほうがいいって言われたから、寝台の上にいるだけなんだ」
「それならいいけど」
「あ、お守りありがとう。効果あったみたい」
枕元に置いてあったお守りを取りクルクは笑顔を見せる。
「おー。そういや…、いや、いいや」
「なに?」
「なんでもねー。じゃあな」
リンメルも気遣うというスキルはちびっとはある。好奇心で呼ぶ人としてどうだったのか知りたいと思ったが、口を閉じて部屋を出ようと背を向ける。
「あ、待って!」
「んあ?」
「これからも学校来るよね…?」
「わかんねえよ。俺を推薦してた奴が捕まったしな」
ぽろっと裏事情喋った。純粋なクルクはそれでリンメルを疑いの目では見ないが、近くにいるセルツァーは怪訝な目でリンメルを見た。ウィンレイから話を聞いてると余計にリンメルが変なものに見える。
「そっか…。でも、もしこのままいられるなら、これからも、えと、勉強一緒にしない?」
「はああ?」
「ご、ごめん。やっぱりもう僕なんていらないよね」
いつも以上に卑屈なクルクは、リンメルの言葉を待たずに自分で引いた。
「なに言ってんだか、学校にこれからも通うことになったら、お前なしでどうやってくんだよ」
「リンメル…。そっか…。ありがと」
「意味分からん。俺の頭の悪さを舐めるな」
変な方向に自信満々に言うリンメルに、セルツァーは呆れたように見る。これにいちいち怒る自分のほうが馬鹿なんじゃないかと思えてくる。
寮暮らしがなくなったので、ウィンレイのいる住処に戻ってくる。
「リンメル」
「なんだよ」
リンメルは食事の誘いに釣られ、ウィンレイと共に食事をしていた。
「こうして一緒に暮らせることになったんだけど、俺って待つのって面倒なんだよね」
「ああ、分かる分かる」
「そう言ってくれると思った。それで、俺は伴侶をリンメルにしようと思うんだ」
「…は?」
「本気ですか?!」
リンメルは理解できず、近くにいたシャスのほうが驚愕の声をあげた。
「はい、シャス邪魔。出ていけ」
「う…。失礼します」
ウィンレイの目が本気だったのでシャスは反論することなく出ていった。
部屋に2人だけになり、意味が分からないままのリンメル。
それに説明するでなく、ウィンレイは装飾具をテーブルの上に置く。貴族の好むような華美なものでなく、独特の雰囲気を漂わせていて、歴史を感じさせる。
「…なんだ? これ」
「祈れば願いが叶う。ほら、手をこの上に置いてみて」
「願いが? 魔術師の道具か?」
「そんな感じ。ほらほら」
「ん。で、どうすんだ?」
「とくに何かする必要はないよ。願いを思い浮かべればいい」
リンメルの乗せた手の上にウィンレイが手を乗せた。
「そんなんで効果あんのか?」
「だから、使うんだ。でね、リンメル。俺の伴侶になってほしい」
「はあ? 寝ぼけるには早いぞ」
「そういう反応がくるのは分かってる。俺もただで望むわけじゃない」
「いや、どう考えたって男同士で伴侶って変な趣味の奴だけだろ」
同姓で恋仲になることは差別されることはないものの、少ない。というのは表向きの話で趣味な人はこっそり多く、同姓婚も認められている。親が反対することは多いのでこっそりしている場合が多い。リンメルの発言は、異性だけを好む男からすると当然の考えであるが、一般的には差別なんてサイテーと言われることだ。
「条件は俺の遺産をリンメルにあげるってことだ。伴侶なら当然なんだけど」
「…遺産?」
「そう。けっこう持ってるよ。長だからね。仕事は好きじゃないけど、リンメルの為に稼ぐし」
「…遺産…」
リンメルは悪仲間が話していたことを思い出す。
楽して金を手に入れる方法は、金持ちと結婚することだと。
金持ちの年寄りとか、顔が少々悪いとか、選ばれにくい人だと結婚相手を選り好みしないから、美形でなくとも可能性はあると。
結婚したって好きに行動すればいいし、主導権を握ればいいわけで、少し我慢すれば莫大な金が手に入るという話だ。
リンメルは相手がどんな存在かなんて忘れて、心の中でにやりとする。表情を隠してるつもりのリンメルだが、悪い顔になっており、ウィンレイに心情はばればれで、ウィンレイは表情に出すことなく、心の中で綺麗な笑顔を作った。
表に出ていたとすれば、綺麗なのに寒気を感じる表情だったろう。
「ちゃんと契約しろよ? 騙そうったって無駄だから」
契約とか全然分からないが、強気に言う。クルクあたりに見てもらえばいいかと考えてる。
「騙さないって。伴侶になってもらうんだから、当然のことだし」
「…結婚とか、するのか?」
「んー、まだそこまでは考えにないかな。でも、ちゃんとリンメルに遺産残すって契約するから問題ないだろ?」
「…そっちがいいならこっちは問題ない」
「よし。決まりだ。それじゃあ、今日は一緒に寝ようね」
「はあ?……うお?!」
ウィンレイが手を振れば、明かりが消え暗くなる。そしていきなり抱き上げられて、ばたばたと暴れているうちに寝台の上に乗せられた。
魔術師ってひょろひょろで力ないんじゃないのか。
そして、次の日の朝に絶叫が響くことになる。
後悔してもすでに遅い。
「馬鹿な子だよね。だけど、どうも気に入ってしまったし、ひとまず離す気はないよ」
実は永遠に離す気はないウィンレイだったりする。
20150112
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