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呼ぶ人
呼ぶ人15召喚の儀式
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武器を持つ男達によって学校が制圧され、第1校舎の玄関広場が封鎖される。
その封鎖された中には後から訪れた魔術師や召喚師が入り、儀式の場を作り上げていく。
「わあっ。ここで特別な召喚術をするんだね」
「ええ。お願いします」
儀式の場に、クリュアとクルクもやってきた。
クルクはその異様さ、外から悲鳴や怒号が聞こえ、血の気が失せて顔を青ざめさせていた。
「ク、クリュア、何か、おかしくない…? 外が騒がしいし」
「そりゃあ今日は英雄祭だからでしょ? クルクは恐がりだね。君は見ているだけでいいんだから、いいでしょ」
「で、でも、」
「ねえ、まだ何もしなくていいの?」
「そうですね…、そろそろのようです」
クルクの話はもう聞かないとばかりに、クリュアはここまで案内してきた男にこの先のことを訊ねた。男は儀式の状況を見回し、準備ができたようだと、儀式を作り上げている神官服の男のもとに2人を連れていく。
「それでは、魔法陣を完成させる為に血をいただけませんか? 少しでいいので」
「そうなの? …しかたないな。いいよ」
血が欲しいということにはさすがにクリュアも眉を寄せたが、仕方ないかと応じる。
ナイフで指を切って皿の上に垂らす。
それを神官服の男は祭壇らしき場所に持っていき、小さく描かれた魔法陣の上に血を垂らした。
すると赤い炎が吹きあがる。
その後、神官服の男はここまで案内してきた男に視線を送った。
「ああ、やっぱり、そっちですか」
「? 何がどうなったの?」
男は視線だけで意味が分かったようだが、クリュアはまったく分からない。
「あなたは呼ぶ人ではないということが証明されたんですよ。クリュア殿。気持ちも分からなくはないですし、罪にはしないので、このままどこかに行ってくれればいいですよ」
「は…? なに言って…」
「さて、ではあなたの血をもらいましょうか」
「へ? え、やっ!」
呼ぶ人でないとあっさり断定されたクリュアは、混乱していたが、そんなことは関係ないと、男はクルクへと血を求める。
当然、そんなの理解できないクルクの腕を無理矢理掴んだ男はさらにナイフで切りつける。
「いった…」
クリュアよりも多めの血が出て痛い。
それを再び神官服の男が祭壇の上の魔法陣に垂らす。
今度は白く輝く炎が吹き出した。
「おお…! 確かに情報通りだ。その者こそ呼ぶ人に違いない」
「それはよかった。では早く儀式を。時間がかかっては騎士団が来てしまう」
「わかった」
「待ってよ! どういうこと? クルクが呼ぶ人って、僕が呼ぶ人なんだよ!」
男達は2人を置いて話を進めていくが、そこにクリュアが反論した。
「違いますよ。さっき確認しました。邪魔しないでもらえます? もし邪魔するなら、強制的に排除しますよ?」
「ヒッ!」
ここまで案内してきた男が持っていたナイフをクリュアに向ける。そんなことをされるのが初めてなクリュアはそれで大人しくなった。
「では儀式を!」
何も知らないクルクは呆然とし、状況についていくことはできずにいた。
その間にも儀式は進んでいく。
「よし。呼ぶ人を魔法陣の中央に」
「ほら、歩け」
「あ、う…」
小突かれたクルクは恐怖で従うしかなく、魔法陣の中央へと歩く。
そうして周囲にいる何人もの召喚師が詠唱を始めた。
魔法陣が少しづつ光を増してていく。
「違う! 呼ぶ人は僕だ!」
もうすぐ召喚の儀式が完成するという時、クリュアが叫んで魔法陣の中へと踏み入った。
そんな馬鹿なことをするなんて思ってもみなかったので、止めるのが遅れた。
クリュアは足元の魔法陣を崩し、クルクを突き飛ばす。
「あうっ」
ただ呆然としていたクルクは衝撃に倒れる。
その時、魔法陣が激しく光りを吐き出す。白と黒の光が複雑に魔法陣から出ている。そんな事態に誰もがどうなったのか分からない。
光が落ち着くと魔法陣の上にはいくつもの影があった。
「ひっ…! 化け物…!」
その影は黒い塊でうねっていて、クリュアへと向かって動き出した。それに驚いたクリュアは後ずさり逃げる。
クルクはまだ呆然としていた。周囲は阿鼻叫喚が起こっているが、頭がついていかない。
その封鎖された中には後から訪れた魔術師や召喚師が入り、儀式の場を作り上げていく。
「わあっ。ここで特別な召喚術をするんだね」
「ええ。お願いします」
儀式の場に、クリュアとクルクもやってきた。
クルクはその異様さ、外から悲鳴や怒号が聞こえ、血の気が失せて顔を青ざめさせていた。
「ク、クリュア、何か、おかしくない…? 外が騒がしいし」
「そりゃあ今日は英雄祭だからでしょ? クルクは恐がりだね。君は見ているだけでいいんだから、いいでしょ」
「で、でも、」
「ねえ、まだ何もしなくていいの?」
「そうですね…、そろそろのようです」
クルクの話はもう聞かないとばかりに、クリュアはここまで案内してきた男にこの先のことを訊ねた。男は儀式の状況を見回し、準備ができたようだと、儀式を作り上げている神官服の男のもとに2人を連れていく。
「それでは、魔法陣を完成させる為に血をいただけませんか? 少しでいいので」
「そうなの? …しかたないな。いいよ」
血が欲しいということにはさすがにクリュアも眉を寄せたが、仕方ないかと応じる。
ナイフで指を切って皿の上に垂らす。
それを神官服の男は祭壇らしき場所に持っていき、小さく描かれた魔法陣の上に血を垂らした。
すると赤い炎が吹きあがる。
その後、神官服の男はここまで案内してきた男に視線を送った。
「ああ、やっぱり、そっちですか」
「? 何がどうなったの?」
男は視線だけで意味が分かったようだが、クリュアはまったく分からない。
「あなたは呼ぶ人ではないということが証明されたんですよ。クリュア殿。気持ちも分からなくはないですし、罪にはしないので、このままどこかに行ってくれればいいですよ」
「は…? なに言って…」
「さて、ではあなたの血をもらいましょうか」
「へ? え、やっ!」
呼ぶ人でないとあっさり断定されたクリュアは、混乱していたが、そんなことは関係ないと、男はクルクへと血を求める。
当然、そんなの理解できないクルクの腕を無理矢理掴んだ男はさらにナイフで切りつける。
「いった…」
クリュアよりも多めの血が出て痛い。
それを再び神官服の男が祭壇の上の魔法陣に垂らす。
今度は白く輝く炎が吹き出した。
「おお…! 確かに情報通りだ。その者こそ呼ぶ人に違いない」
「それはよかった。では早く儀式を。時間がかかっては騎士団が来てしまう」
「わかった」
「待ってよ! どういうこと? クルクが呼ぶ人って、僕が呼ぶ人なんだよ!」
男達は2人を置いて話を進めていくが、そこにクリュアが反論した。
「違いますよ。さっき確認しました。邪魔しないでもらえます? もし邪魔するなら、強制的に排除しますよ?」
「ヒッ!」
ここまで案内してきた男が持っていたナイフをクリュアに向ける。そんなことをされるのが初めてなクリュアはそれで大人しくなった。
「では儀式を!」
何も知らないクルクは呆然とし、状況についていくことはできずにいた。
その間にも儀式は進んでいく。
「よし。呼ぶ人を魔法陣の中央に」
「ほら、歩け」
「あ、う…」
小突かれたクルクは恐怖で従うしかなく、魔法陣の中央へと歩く。
そうして周囲にいる何人もの召喚師が詠唱を始めた。
魔法陣が少しづつ光を増してていく。
「違う! 呼ぶ人は僕だ!」
もうすぐ召喚の儀式が完成するという時、クリュアが叫んで魔法陣の中へと踏み入った。
そんな馬鹿なことをするなんて思ってもみなかったので、止めるのが遅れた。
クリュアは足元の魔法陣を崩し、クルクを突き飛ばす。
「あうっ」
ただ呆然としていたクルクは衝撃に倒れる。
その時、魔法陣が激しく光りを吐き出す。白と黒の光が複雑に魔法陣から出ている。そんな事態に誰もがどうなったのか分からない。
光が落ち着くと魔法陣の上にはいくつもの影があった。
「ひっ…! 化け物…!」
その影は黒い塊でうねっていて、クリュアへと向かって動き出した。それに驚いたクリュアは後ずさり逃げる。
クルクはまだ呆然としていた。周囲は阿鼻叫喚が起こっているが、頭がついていかない。
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