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呼ぶ人
呼ぶ人23進展しない
しおりを挟む「どうでもいいけど、腹減った。クルク、寮で作って。あ、そうだ。今日は泊まっていっていい?」
「え、あ、いいのなら、別に」
「何がだ。いいに決まってるだろ。食ったら動きたくないからな」
「駄目に決まってんだろ。なんだそれ」
「お前に言われることじゃないし。クルクー」
「うん。ちょっと待って、準備する」
クルクは荷物をまとめて、シェンにいっぱい撫で撫でをして、すでに図書室を出ているリンメルの後を追う。
「あの、セルツァー。えと、また今度…、あう、やっぱり、取り消しで」
声をかけられないでいるセルツァーに申し訳なくて声をかけたクルクだったけど、今はどういう態度をとっていいか迷って何も言えず、図書室を出ていく。
「あー、くそっ。……シェン。どうしたらいい?」
図書室に残ったセルツァーはシェンに話しかけるが、そっぽを向いて姿を消してしまう。
完全に1人になって、深い溜息が出た。
この事で嫉妬したのは、セルツァーばかりではない。
「…いいんだけどね? クルクはいい子で、リンメルの唯一の友達だと思うから、仲良くしたっていいよ。それでリンメルが嬉しそうにするなら。けれど、いきなり帰ってこないとか、心配もするじゃない? そりゃお守りあるから、心配する必要はないって分かってるけど、でも、リンメルは馬鹿だから、浮気くらいしそうだし。だから、ね。つまりね、連絡ぐらい入れてほしいんだよ。セルツァー」
「………はい。すみません」
次の日には乗り込んできたウィンレイ。生徒会室の客用のソファーの上座に座っている。
その前でセルツァーが頭を低くして話を聞いていた。
「ほら、これをあげるよ。この前のことで、呼ぶ人の存在が少し知られてしまって、危険な可能性もあるから、連絡用の魔術道具を渡しておくよ」
鳥の形の掌サイズの置物がテーブルの上に置かれた。遠くにいる相手と会話をすることができるもので、連絡を受けると所有者にのみ鈴の音で知らせる。連絡があった時に何かで受け取ることができなくても、光り続けて教えてくれる優れものだ。ただ、連絡を入れる時はちょっと難しい呪文を言う必要があり、不器用だとできない。
「ありがとうございます! 高価な品なのでは?」
げんなりと疲れていたセルツァーも、魔術道具ということに目を輝かせる。
「大貴族なのにそんなこと気にするものなの? たしかに、どっかの国に持っていけば、国費を使ってでも買うだろうけど、これは俺が作ったから、かかった金はこの置物代かな? 街の露天で売ってたものだよ。それでも売っていた人が作ったもので一品らしい」
「さすがですウィンレイ様。俺は生徒会の仕事をしているので、予算のやりくりに苦労してるんですよ」
「そう。よく生徒会なんてやるね。とにかくそれで、リンメルの報告を頼むよ。それと、一体どうしたのかな?」
「…なんでしょうか」
「分かってるだろ。クルクのことだ」
「…告白したんですけど、…身分の違いが邪魔をして…。今はそれが憎いです」
ウィンレイに隠し事しても無駄なので、このさい相談に乗ってもらおうと話した。
「ああ…。リンメルは馬鹿だから気にしないけど、普通、頭のいい子ならそう考えるよね。まあ、そのうちなんとかなるよ。けど、早くものにしてね」
「は、はい…」
言いたいこと言って満足したのか去っていくウィンレイ。そのウィンレイの言葉はリンメルが関係しているからだろうと考えたセルツァーであるが、他にも呼ぶ人を守る騎士の立場に、セルツァーがなって欲しいという意図もある。
それと占術でクルクとセルツァーの相性はとても良かったので問題なくくっつくと思っている。
はげまし?の言葉をいただいたものの、セルツァーはクルクの仲は告白の前より悪くなっている気がする。
そんなもやもやとした状態で生徒会室にいると、セルツァーが特別業務を任せている生徒が突然やってきた。
「大変です! またクルクが連れていかれました!」
「どこに連れてかれた!」
セルツァーは勢いよく立ち上がり、すぐに外へと向かう。
この前の騒動で生徒は不安が続いたが、あれから何事もなく安心してくるとクルクの存在を思い出す。
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