82 / 218
扉の奥の秘宝 (23) 頭脳明晰
しおりを挟む
「いや、待て。それはおかしいぞ。お前はギルドからの紹介状を持って、選抜試験に臨んだはずだ。オレも持っているが、そう簡単に偽造できる品ではない。
今回の試験は急に決まったものだから、精巧な偽物を用意する時間はなかったはずだ」
フューイが、淡々と語ります。
「おうよ。確かに、あんたの言う通りだ。だから、俺様が持っていた紹介状は、まごう事なき本物だよ」
「……つまり、ゾルウッドという人物は実在していて、彼の貰った紹介状をお前が奪ったわけか。まぁ、そいつはもう生きてはいまい」
フューイの表情が少し曇ります。もちろん、本物のゾルウッドに会った事はありませんが、突然命を奪われた彼の口惜しさを思うと胸が痛みました。
「やっぱり、あんたは頭がいい。違う出会い方をしていたら、是非、仲間に欲しい人材だよ。実に惜しいねぇ」
「だが、お前が選抜試験で合格する保証なんてないだろう。落ちたらどうする気だったんだ?」
フューイが、問います。
「そしたら合格者を殺っちまって、後釜におさまるだけよ。病気や事故に見せかけて始末するなんざ、お手の物だからな」
「なるほど。だが、どうしてそこまでして、ここへ潜り込んだんだ。鍵が掛かっていては、秘宝も盗めないだろうに」
フューイの意識は、言葉とは裏腹に、更に後ろの兵士へと注がれます。
「その通り、まぁ、ここからが冥土の土産話の本番よ。俺様たちは、かねてからこの宝物要塞に眠る秘宝を狙っていてよ。だが色々調べても、ラチが明かねぇ。
そんな時、鍵の選抜試験の話を聞きつけたんだ。俺様も、昔は一流の鍵士でならした腕利きよ。ま、ちょっとした挑戦心が湧いて来たわけさ。それに合格者は二人だと、予め決まっていたからな。そいつが鍵開けに成功しても、全く問題ないわけだよ。
実際、もう一人の合格者であるあんたが、こうして開けてくれたわけだしな」
「なるほど、それがスパイからの情報か」
フューイが、突然言いました。
「ス、スパイ? お、おめぇ、何でそれを!」
モゼントが思わず、宝箱から腰を浮かします。
「そりゃ、そうだろう。オレは今回の具体的な依頼、つまり宝物庫の鍵を開けるという内容をここに到着してから初めて知らされた。それを事前に知っていたとなると、どこかにスパイを潜り込ませていたと考えるしかないだろう」
フューイは平然と答えます。モゼントが思っている以上に、彼は頭が働くようですね。
「て、てめぇ……、そこまでわかってるのか。感心……というよりも、むしろ恐ろしいぜ。やい、他に何に勘付いている? 言わないと、今すぐ喉元をかっ切ってやるぞ」
モゼントは、次第にイラつき始めました。余裕しゃくしゃくでいた所を、次々とフューイに企みを言い当てられているのですから当然ですね。
「おいおい、そっちが冥土の土産話をしてくるんじゃなかったのか?」
「うるせぇ!さっさと話しやがれ」
モゼントが怒鳴ると、フューイの首にかざされているナイフが、一段と彼の頸動脈に近づきました。
今回の試験は急に決まったものだから、精巧な偽物を用意する時間はなかったはずだ」
フューイが、淡々と語ります。
「おうよ。確かに、あんたの言う通りだ。だから、俺様が持っていた紹介状は、まごう事なき本物だよ」
「……つまり、ゾルウッドという人物は実在していて、彼の貰った紹介状をお前が奪ったわけか。まぁ、そいつはもう生きてはいまい」
フューイの表情が少し曇ります。もちろん、本物のゾルウッドに会った事はありませんが、突然命を奪われた彼の口惜しさを思うと胸が痛みました。
「やっぱり、あんたは頭がいい。違う出会い方をしていたら、是非、仲間に欲しい人材だよ。実に惜しいねぇ」
「だが、お前が選抜試験で合格する保証なんてないだろう。落ちたらどうする気だったんだ?」
フューイが、問います。
「そしたら合格者を殺っちまって、後釜におさまるだけよ。病気や事故に見せかけて始末するなんざ、お手の物だからな」
「なるほど。だが、どうしてそこまでして、ここへ潜り込んだんだ。鍵が掛かっていては、秘宝も盗めないだろうに」
フューイの意識は、言葉とは裏腹に、更に後ろの兵士へと注がれます。
「その通り、まぁ、ここからが冥土の土産話の本番よ。俺様たちは、かねてからこの宝物要塞に眠る秘宝を狙っていてよ。だが色々調べても、ラチが明かねぇ。
そんな時、鍵の選抜試験の話を聞きつけたんだ。俺様も、昔は一流の鍵士でならした腕利きよ。ま、ちょっとした挑戦心が湧いて来たわけさ。それに合格者は二人だと、予め決まっていたからな。そいつが鍵開けに成功しても、全く問題ないわけだよ。
実際、もう一人の合格者であるあんたが、こうして開けてくれたわけだしな」
「なるほど、それがスパイからの情報か」
フューイが、突然言いました。
「ス、スパイ? お、おめぇ、何でそれを!」
モゼントが思わず、宝箱から腰を浮かします。
「そりゃ、そうだろう。オレは今回の具体的な依頼、つまり宝物庫の鍵を開けるという内容をここに到着してから初めて知らされた。それを事前に知っていたとなると、どこかにスパイを潜り込ませていたと考えるしかないだろう」
フューイは平然と答えます。モゼントが思っている以上に、彼は頭が働くようですね。
「て、てめぇ……、そこまでわかってるのか。感心……というよりも、むしろ恐ろしいぜ。やい、他に何に勘付いている? 言わないと、今すぐ喉元をかっ切ってやるぞ」
モゼントは、次第にイラつき始めました。余裕しゃくしゃくでいた所を、次々とフューイに企みを言い当てられているのですから当然ですね。
「おいおい、そっちが冥土の土産話をしてくるんじゃなかったのか?」
「うるせぇ!さっさと話しやがれ」
モゼントが怒鳴ると、フューイの首にかざされているナイフが、一段と彼の頸動脈に近づきました。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる