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魔女と奇妙な男 (28) 薬倉庫
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それに倉庫には頑丈な錠前がついており、それを開けられるのはごく少数の従業員か、彼らから鍵を預かった者だけです。錠前を壊そうとすれば大きな音がたって非常に目立ちますし、特別な防犯装置が作動して直ちに警備会社に通報されます。
そう言う事を知らないのかな?
ネリスは、思いました。
防犯装置が作動した様子はありませんから、まだ入っていないのか、そもそも倉庫に来ようとしたわけではないのかと、ネリスは考えます。
ですが全身を覆う悪寒の事を考えれば、この近くにあいつがいるのは確実でした。
「これは、ある意味、チャンスかも……」
ネリスが呟くと、
「チャンスって、何がです?」
サジルが、ささやきかけました。
「もし、あいつがどうにかして倉庫の中へ入ったとしますよね。そうしたらこっちのものなんですよ。っていうのはですね。あの倉庫の防犯装置は、無理やり入ると全ての出入り口に鉄の分厚い扉が降りて来るんです。
そこから逃げ出すなんて、あいつにだって不可能だと思う。
化け物を捕まえられるんですよ」
ネリスが、先輩方に聞いた仕掛けを話します。
「でも、それならわざわざ、私たちが今行かなくてもいいのでは……」
サジルが、またもや当然ながらの反論をしました。
「そうなんですが、あいつが倉庫へ入るとは限りませんよね。単にそっちの方向へ行っただけかも知れません。とにかく私、少しでもハッキリさせたいんです」
ネリスの胸はドキドキと高鳴ります。それが好奇心からなのか、恐怖心からなのか、彼女自身にも区別がつきません。
これはもう性分の問題で、本人でさえどうにも出来ない話なのです。そんな性分に周りの人たちはいつも振り回されっぱなし。それでも嫌われないのは、ネリスが持って生まれた魅力なのかも知れませんね。ちょっぴり羨ましい気がします。
その時です。
「あれ?」
ネリスが突然、悲鳴に近い小声を出しました。
「こ、こんな事って……、でも、でも……」
彼女自身、何が起こったのか全く理解出来ません。
何がどうしたのかというと……、悪寒が消えたのです。しかも忽然と。こんな事は今までありませんでした。忌まわしい感覚が去って行く場合でも、それは徐々に消えていくという具合でありました。
「どうしました?」
彼女の異変を察知したサジルが尋ねます。
「消えちゃった……。消えちゃったんです。あいつの気配が……」
動揺を隠せないネリス。
意外な一言を聞いて、サジルは、
「もう、この近くにはいないって事なんでしょうかねぇ……」
と、どこかホッとしたような声で呟きます。ですが、ネリスは納得できません。やっと得らると思った化け物の手掛かりが、スルリと彼女の手を抜け落ちたのですから。
「そうかも知れない。……でも、一応、倉庫までは行ってみましょう。何か少しでも、発見があるかも」
「もう帰りましょうよ、ネリスさん」
及び腰になるサジルを尻目に、ネリスは一人でドンドン先へと進んでいき、倉庫の門扉に手を掛けました。
ギィ~。
サビついた少し嫌な音を立てながら、扉が開きます。
門には格子の隙間から手を差し入れれば簡単に鍵を開けられます。敷地内には運送業者が荷車を置いたり、清掃業者も立ち入る事から、そのようになっているんですね。もちろんこの段階では、防犯装置は作動しません。
二人は建物の出入り口へと一歩、また一歩と慎重に向かいます。本当にお化けでも出そうな雰囲気です。
「あっ!」
ネリスは目を丸くしました。何故かって? 開いているのです。建物の中へと続く大きな扉がポッカリと。
そう言う事を知らないのかな?
ネリスは、思いました。
防犯装置が作動した様子はありませんから、まだ入っていないのか、そもそも倉庫に来ようとしたわけではないのかと、ネリスは考えます。
ですが全身を覆う悪寒の事を考えれば、この近くにあいつがいるのは確実でした。
「これは、ある意味、チャンスかも……」
ネリスが呟くと、
「チャンスって、何がです?」
サジルが、ささやきかけました。
「もし、あいつがどうにかして倉庫の中へ入ったとしますよね。そうしたらこっちのものなんですよ。っていうのはですね。あの倉庫の防犯装置は、無理やり入ると全ての出入り口に鉄の分厚い扉が降りて来るんです。
そこから逃げ出すなんて、あいつにだって不可能だと思う。
化け物を捕まえられるんですよ」
ネリスが、先輩方に聞いた仕掛けを話します。
「でも、それならわざわざ、私たちが今行かなくてもいいのでは……」
サジルが、またもや当然ながらの反論をしました。
「そうなんですが、あいつが倉庫へ入るとは限りませんよね。単にそっちの方向へ行っただけかも知れません。とにかく私、少しでもハッキリさせたいんです」
ネリスの胸はドキドキと高鳴ります。それが好奇心からなのか、恐怖心からなのか、彼女自身にも区別がつきません。
これはもう性分の問題で、本人でさえどうにも出来ない話なのです。そんな性分に周りの人たちはいつも振り回されっぱなし。それでも嫌われないのは、ネリスが持って生まれた魅力なのかも知れませんね。ちょっぴり羨ましい気がします。
その時です。
「あれ?」
ネリスが突然、悲鳴に近い小声を出しました。
「こ、こんな事って……、でも、でも……」
彼女自身、何が起こったのか全く理解出来ません。
何がどうしたのかというと……、悪寒が消えたのです。しかも忽然と。こんな事は今までありませんでした。忌まわしい感覚が去って行く場合でも、それは徐々に消えていくという具合でありました。
「どうしました?」
彼女の異変を察知したサジルが尋ねます。
「消えちゃった……。消えちゃったんです。あいつの気配が……」
動揺を隠せないネリス。
意外な一言を聞いて、サジルは、
「もう、この近くにはいないって事なんでしょうかねぇ……」
と、どこかホッとしたような声で呟きます。ですが、ネリスは納得できません。やっと得らると思った化け物の手掛かりが、スルリと彼女の手を抜け落ちたのですから。
「そうかも知れない。……でも、一応、倉庫までは行ってみましょう。何か少しでも、発見があるかも」
「もう帰りましょうよ、ネリスさん」
及び腰になるサジルを尻目に、ネリスは一人でドンドン先へと進んでいき、倉庫の門扉に手を掛けました。
ギィ~。
サビついた少し嫌な音を立てながら、扉が開きます。
門には格子の隙間から手を差し入れれば簡単に鍵を開けられます。敷地内には運送業者が荷車を置いたり、清掃業者も立ち入る事から、そのようになっているんですね。もちろんこの段階では、防犯装置は作動しません。
二人は建物の出入り口へと一歩、また一歩と慎重に向かいます。本当にお化けでも出そうな雰囲気です。
「あっ!」
ネリスは目を丸くしました。何故かって? 開いているのです。建物の中へと続く大きな扉がポッカリと。
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