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魔女と奇妙な男 (49) ネリスの抗議
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「クレオンさん。そんな事はどうでもいいの。それよりも、大変なんです。こいつとは別の連中が、師匠の屋敷へ押し入るって!」
二人の会話に、ネリスが割って入りました。
「そうだってね。全部廊下の向こうで聞かせてもらったよ」
「?」
ネリスは一瞬、ポカンとします。
「ちょ、ちょっと待って下さい。じゃぁ、クレオンさんは今来たわけじゃなくて、ずっと前からいたんですか?」
「うん、そうだよ。今、そういう風に、彼に話したじゃないか」
平然と答えるクレオンの態度に、ネリスの神経が一本切れました。
「じゃ、じゃぁ、なんで黙って見てたんですか! さっさと、助けてくれなかったんですか!
……って言うか、クレオンさんの話を総合すると、今まで私を囮にしてたって事ですかぁ!?
ひ、ひど―――いっ!」
化け物がいる事も忘れ、ネリスが猛抗議します。
「ごめん、ごめん。最高のタイミングを探ってたって言うか、出来るだけそいつから情報を引き出したかったんだよ。
まぁ、こっちの思惑通り、ペラペラと色々しゃべってくれたわけだけどね。それに……」
クレオンは、サジルの方にチラリと目をやりました。
もちろんクレオンとしても、サジルを見殺しにするつもりはありませんでした。しかし魔女協会を欺いていた、彼の胸の内を知っておきたかったのです。協会を裏切っているのに、ネリスを何度も助けようとした彼の行動には、いささか矛盾がありましたからね。
第三等級の魔女ともなれば、魔女協会の準幹部と言ってもよい地位ですので、そこは納得のいくところです。
「で、でも、せめて私が投げ飛ばされる前に、出てきて下さいよ!」
ネリスとしては、当然の主張でしょう。殺されないと分かってはいたものの、体がバラバラになるんじゃないかって程の痛みを味わったわけですから。
「それも、ごめん。ただ、そこは勘弁してほしい」
クレオンが、少し困った顔をして言いました。でも、こちらも当然の主張なのです。ネリスと化け物の距離が近い時に出張って来ては、ネリスをそのまま人質にされる恐れがありました。そうなってしまったら、事態は正に最悪です。
「おい、お前ら、もう助かった気でいるらしいな。ふざけた了見だ。そいつは幾分できるみたいだが、今のオレに敵うわけがねぇ」
自分を無視して話を進める二人に、メサイトはムクレます。ただ、どこか嬉しさのような雰囲気も漂っているんですよね。
「そうだ! こいつが私をいつまでも連れて行かなかったら、屋敷へ向かうはずの連中が、こっちへ来るかも知れないですよ! そいつらも、禁忌の薬を持っていたら……」
ネリスが、思い出したように言いました。
「ハーッ、ハッ、ハッ! そりゃ、ない。ないね。あるわけがない」
高らかな笑い声と共に、ネリスの心配を否定したのは、意外にもメサイトでした。
これにはクレオンも、眉を動かし反応します。
「この薬はな、誰にでも分け与えられるものじゃないんだ。オレのように素晴らしい素質を持った者だけが、授けられるものなんだよ!!」
メサイトは、誇らしげに叫びました。
「でも、あんたが知らないだけかも知れないでしょ!」
ネリスが、すかさず疑問を差し挟みます。
二人の会話に、ネリスが割って入りました。
「そうだってね。全部廊下の向こうで聞かせてもらったよ」
「?」
ネリスは一瞬、ポカンとします。
「ちょ、ちょっと待って下さい。じゃぁ、クレオンさんは今来たわけじゃなくて、ずっと前からいたんですか?」
「うん、そうだよ。今、そういう風に、彼に話したじゃないか」
平然と答えるクレオンの態度に、ネリスの神経が一本切れました。
「じゃ、じゃぁ、なんで黙って見てたんですか! さっさと、助けてくれなかったんですか!
……って言うか、クレオンさんの話を総合すると、今まで私を囮にしてたって事ですかぁ!?
ひ、ひど―――いっ!」
化け物がいる事も忘れ、ネリスが猛抗議します。
「ごめん、ごめん。最高のタイミングを探ってたって言うか、出来るだけそいつから情報を引き出したかったんだよ。
まぁ、こっちの思惑通り、ペラペラと色々しゃべってくれたわけだけどね。それに……」
クレオンは、サジルの方にチラリと目をやりました。
もちろんクレオンとしても、サジルを見殺しにするつもりはありませんでした。しかし魔女協会を欺いていた、彼の胸の内を知っておきたかったのです。協会を裏切っているのに、ネリスを何度も助けようとした彼の行動には、いささか矛盾がありましたからね。
第三等級の魔女ともなれば、魔女協会の準幹部と言ってもよい地位ですので、そこは納得のいくところです。
「で、でも、せめて私が投げ飛ばされる前に、出てきて下さいよ!」
ネリスとしては、当然の主張でしょう。殺されないと分かってはいたものの、体がバラバラになるんじゃないかって程の痛みを味わったわけですから。
「それも、ごめん。ただ、そこは勘弁してほしい」
クレオンが、少し困った顔をして言いました。でも、こちらも当然の主張なのです。ネリスと化け物の距離が近い時に出張って来ては、ネリスをそのまま人質にされる恐れがありました。そうなってしまったら、事態は正に最悪です。
「おい、お前ら、もう助かった気でいるらしいな。ふざけた了見だ。そいつは幾分できるみたいだが、今のオレに敵うわけがねぇ」
自分を無視して話を進める二人に、メサイトはムクレます。ただ、どこか嬉しさのような雰囲気も漂っているんですよね。
「そうだ! こいつが私をいつまでも連れて行かなかったら、屋敷へ向かうはずの連中が、こっちへ来るかも知れないですよ! そいつらも、禁忌の薬を持っていたら……」
ネリスが、思い出したように言いました。
「ハーッ、ハッ、ハッ! そりゃ、ない。ないね。あるわけがない」
高らかな笑い声と共に、ネリスの心配を否定したのは、意外にもメサイトでした。
これにはクレオンも、眉を動かし反応します。
「この薬はな、誰にでも分け与えられるものじゃないんだ。オレのように素晴らしい素質を持った者だけが、授けられるものなんだよ!!」
メサイトは、誇らしげに叫びました。
「でも、あんたが知らないだけかも知れないでしょ!」
ネリスが、すかさず疑問を差し挟みます。
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